職員も、顧問先も、「納税者の権利を守る」想いも、そのままに。藤倉先生×クレフティ代表 対談

藤倉真人先生とクレフティ代表の相亰・髙橋
左から 相亰俊信(代表税理士)、髙橋優太(代表税理士)、藤倉真人(品質管理担当)

1984年に渋谷の会計事務所で歩み始めてから40年あまり。2004年に独立して藤倉税務会計事務所を開業し、「納税者の権利を守る」を理念に、地域の中小企業や相続のご相談に向き合ってきた藤倉真人先生。2026年6月からクレフティの業務に関わり、同年9月、藤倉税務会計事務所をクレフティへ事業承継しました。現在はクレフティの品質管理担当として全案件の税務判断と成果物のレビューを統括しながら、これまでの顧問先の担当も続けています。

かつて病気で入院した際、長年お付き合いしてきた顧問先の一部を手放さざるを得なかった——。M&Aコンサルタントの資格を持ち、承継のご相談を受ける側でもあった先生が、その経験から何を考え、なぜ承継を選び、なぜクレフティに託したのか。職員の雇用は、顧問先は、そして承継後の働き方は——。

「いつかは考えなければ」と思いながら、一歩を踏み出せずにいる先生方へ。藤倉先生と、事務所を受け継いだクレフティ代表税理士の髙橋・相亰の3人が、包み隠さずお話しします。

1. きっかけ——入院して知った「自分がいなくなったら」の現実

髙橋

まず、承継を考え始めたきっかけから教えてください。

藤倉

年齢のこともありますが、一番大きかったのは、病気で入院したことです。しばらく仕事ができなくなり、その間は顧問先さんの申告やご相談に十分に対応できませんでした。結局、一部の顧問先さんには、ほかの先生をご紹介して離れていただくしかなかった。長年お付き合いしてきた社長さんに、こちらから「もう見られません」とお伝えしなければならなかったのは、税理士人生でいちばんつらい経験でした。

髙橋

そのとき、どんなことを考えましたか。

藤倉

税理士事務所は、所長ひとりが倒れたら、それで終わってしまう。M&Aのお手伝いをする立場で、そういう事務所をいくつも見てきたのに、自分の事務所でも同じことが起きてしまった。次にもっと大きな病気をしたら、職員も、残ってくださった顧問先さんも、全員が行き場をなくす。元気なうちに、きちんとした受け皿をつくっておかなければ、と思いました。

相亰

先生から最初にそのお話を伺ったときは、胸が痛みました。私もM&A仲介の会社で役員をしていたので、よく分かるんです。後継者がいないまま所長が倒れて、顧問先さんがばらばらに散ってしまう——そういう事務所を見るたびに、もっと早く話ができていれば、と思っていました。

髙橋

承継を考え始めたとき、いちばん不安だったのは何でしたか。

藤倉

やはり職員のことです。入院中は職員がなんとか事務所を回してくれましたが、本当に負担をかけました。長く一緒にやってきた人たちなので、承継で職場が変わって、居づらくなったり、辞めることになったりするのは避けたかった。顧問先さんにも、あのときのように「先生がいないなら」と不安な思いをさせたくありませんでした。

髙橋

廃業や、ほかの事務所への譲渡も考えましたか。

藤倉

正直、考えました。ただ廃業すれば顧問先さんは自分で新しい税理士を探さなければならないし、職員も職を失う。私はずっと「納税者の権利を守る」を理念にやってきました。入院のときのように、また顧問先さんを手放すことになっては、その理念に反してしまう。それが出発点でした。

2. クレフティを選んだ理由

髙橋

最初にお会いしたとき、僕たちの印象はどうでしたか。

藤倉

2人とも若いな、というのが第一印象でした(笑)。ただ、話してみると、こちらの事務所のやり方や顧問先さんとの関係を、まず知ろうとしてくれた。条件の話より先にそこを聞いてくれたのは意外でした。

髙橋

僕から見た藤倉先生の事務所は、「税務署寄りではなく、とことん納税者の側に立つ」事務所でした。相続や不動産の評価でも、最後まで諦めずに納税者のために粘る。顧問先の社長さんが何でも相談できる関係が何十年も続いている。この関係と姿勢は絶対に壊してはいけないと思ったのを覚えています。

相亰

私たちは2人とも監査法人出身の公認会計士で、資金調達やM&A、ベンチャー支援は得意ですが、相続や資産税で40年の現場経験を持つ先生のような方はいませんでした。事務所を「引き取る」のではなく、先生に「来ていただきたい」というのが、私たちの本音でした。

髙橋

最終的な決め手は何でしたか。

藤倉

職員と顧問先さんを、そのまま大事にしてくれると思えたことです。それと、承継の前に3か月ほど、実際にクレフティの仕事に関わらせてもらえたこと。仕事の進め方や、どんな人たちが働いているかを自分の目で確かめてから決められたのは大きかったですね。

髙橋

クレフティは「正しいことをする」を行動規範にしていて、その中に「誠実な行動」と「全員の幸せ追求」があります。先生の信条の「至誠通天」——誠を尽くせば天に通じる——と通じるものを感じていました。職員さんや顧問先さんも含めた「全員」が幸せになる承継でなければ意味がない、というのは最初から決めていたことです。

相亰

先生はM&Aの専門家でもあります。ご自身のこととなると、見方は違いましたか。

藤倉

まったく違いました(笑)。条件や評価額のことは分かっていても、いざ自分の事務所となると、気になるのは数字より「人」のことばかり。だからこそ、条件だけでなく、想いを分かってくれる相手かどうかを一番に見ました。

3. 進め方——いちばん時間をかけたのは「顧問先さんへの伝え方」

髙橋

合意するまでに、いちばん話し合ったことは何でしたか。

藤倉

職員の処遇と、顧問先さんへいつ・どう伝えるかです。

相亰

条件面は私が主に担当しましたが、職員の皆さんの待遇を下げないことは、話し合いの最初に決めました。そこが決まらないと、先生が安心して次の話に進めないと思ったからです。

髙橋

顧問先さんにはどのように説明されましたか。反応はいかがでしたか。

藤倉

私から直接、一社ずつお伝えしました。「担当は変わりません」「私も引き続き関わります」とお話しすると、多くの方が安心してくださって。中には「体制が大きくなるなら心強い」と言ってくださった社長さんもいました。

髙橋

引継ぎで大変だったこと、逆に思ったよりスムーズだったことは。

藤倉

会計ソフトや業務の進め方の違いに慣れるまでは少し時間がかかりました。ただ、職員同士がすぐに打ち解けてくれたのは想像以上でした。

承継の流れ

  1. ご相談5月

    まずは現状とご希望をお聞きする。この段階では職員・顧問先には伝えない

  2. 一緒に仕事をしてみる2026年6月〜

    先生がクレフティの業務に関わり、お互いの仕事の進め方や人柄を確かめる

  3. 条件のすり合わせ

    職員の処遇、先生の今後の関わり方、承継の形を決める

  4. 合意・契約8月
  5. 職員・顧問先へのご説明

    先生ご自身から直接

  6. 並走期間

    先生とクレフティが一緒に担当し、少しずつ引き継ぐ

  7. 承継2026年9月

    先生は顧問先の担当を続けながら、品質管理担当としてクレフティに参画

4. 承継のあと——「肩の荷が下りた」

髙橋

承継してみて、よかったことは何ですか。

藤倉

一番は、肩の荷が下りたことです。いまは、もし私がまた体調を崩しても、クレフティの誰かが顧問先さんを見てくれる。入院を経験した身としては、それが何よりの安心です。事務所の経営や採用、システムのことを一人で抱えなくてよくなりました。顧問先さんの担当はこれまでどおり続けながら、いまは品質管理担当として、事務所全体の税務判断や成果物をチェックする役目もいただいています。40年の経験を、自分の顧問先さんだけでなく、クレフティのお客さま全体のために使えるのは、税理士としてうれしいことです。

髙橋

公認会計士や国税出身の税理士など、経歴の違うメンバーがそろう中で、最後に「この判断で本当に納税者のためになっているか」を見てくださるのが藤倉先生です。承継していただいた事務所の顧問先さんだけでなく、私たち全員が先生に支えられています。

相亰

若いメンバーにとっても、先生のレビューは一番の勉強の場になっています。先生が40年かけて積み上げてきたものが、次の世代に受け継がれていく。事業承継の本当の価値はそこにあると感じています。

髙橋

クレフティに来て、日々の仕事の進め方は変わりましたか。

藤倉

大きく変わりました。いまは秘書についてもらっていて、日程の調整や顧問先さんとの連絡、資料のやりとりといった事務はお任せしています。以前は何から何まで自分でやっていましたから、税務の判断や、顧問先さんのご相談に向き合うといった税理士としての仕事に集中できるのは、本当にありがたいですね。

髙橋

顧問先さんとの面談も、オンラインが増えましたね。

藤倉

ええ。最初は戸惑いましたが、オンラインなら移動の時間がかからないので、体への負担もずいぶん減りました。ちょっとした質問はチャットで気軽にやりとりできますし、クラウド会計で顧問先さんの数字をすぐに確認できる。以前のように「資料が届くまで待つ」ということがなくなりました。

髙橋

クレフティでは、資料の整理や仕訳のチェック、文書の下書きなどにAIも活用しています。手間のかかる作業はできるだけ仕組みに任せて、先生のように経験のある税理士には、判断が必要なところに時間を使っていただく。体調のことも含めて、無理なく長く続けられる働き方をしていただきたいと考えています。

髙橋

職員さんや顧問先さんから、何か声はありましたか。

藤倉

職員からは「相談できる人が増えて仕事がしやすくなった」と言われました。顧問先さんからは「先生がまだいてくれるなら安心」と。

髙橋

働き方や生活はどう変わりましたか。

藤倉

休みがきちんと取れるようになりました。しばらく行けていなかった山や海にも、また出かけるようになりましたね。

5. 承継を迷っている先生へ

髙橋

最後に、承継を迷っている先生に、ひとことお願いします。

藤倉

承継は「事務所を手放すこと」だと思っていましたが、実際には「事務所を続けるための方法」でした。相続の相談でもいつもお伝えしているのですが、対策は元気なうちにしかできません。事務所の承継も同じです。職員と顧問先さんのことを本当に考えるなら、選べるうちに相談したほうがいい。それが私の実感です。

髙橋

「もっと早く相談すればよかった」と思うことはありますか。

藤倉

あります。入院したとき、もし受け皿があれば、顧問先さんを手放さずに済みました。病気はいつ来るか分かりません。体力も気力もあるうちのほうが、引継ぎもじっくりできますから。話を聞くだけなら何の約束にもなりません。まずは一度、話してみることをおすすめします。

相亰

私たちからも、ひとつだけお伝えさせてください。ご相談いただいたからといって、承継を急かすことはありません。先生のペースで、職員の皆さんや顧問先さんにとって一番いい形を一緒に考える。藤倉先生のときと同じように、まずはお話を聞かせていただくところから始めます。

藤倉 真人ふじくら まこと

資格税理士
出身栃木県宇都宮市
経歴亜細亜大学経営学部卒業。1984年、渋谷区の公認会計士事務所に入所。1999年税理士登録、同事務所のパートナーに。2004年に独立し藤倉税務会計事務所を開業。2006年に藤倉税務会計M&Aセンター渋谷を設立。2026年6月よりクレフティに関与し、同年9月に事業承継。現在も顧問先を担当しながら、クレフティ品質管理担当を務める
その他の資格・認定M&Aコンサルタント、MAS監査プランナー、租税訴訟補佐人制度 大学院研修修了者登録、経営革新等支援機関(2013年認定)
得意分野相続税申告・生前対策・不動産評価などの資産税、税務代理(税務調査対応)
理念「納税者の権利を守ること」/信条は「至誠通天」
趣味スキューバダイビング、自転車、登山、温泉

クレフティ代表 髙橋優太・相亰俊信のプロフィールは代表者紹介をご覧ください。

事務所の承継について、まずはお話を。

藤倉先生が40年かけて築いてこられた顧問先さんとの信頼関係と、「納税者の権利を守る」という姿勢、そして職員のみなさんの仕事ぶりは、私たちにとってかけがえのない財産です。

クレフティは、事務所を「買う」のではなく、先生の想いと一緒に「お預かりする」ことを大切にしています。

税理士事務所の事業承継のご相談は、秘密を厳守のうえ、代表の髙橋・相亰が直接お話を伺います。

「まだ先のこと」と思っている段階でも構いません。まずはお気軽にご連絡ください。

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