融資・資金調達

融資の借り換えのメリットと注意点|他行への借り換えで既存の銀行との関係はどうなるか

「他の銀行から、今の借入を借り換えませんかと提案された」「複数の借入をまとめて、毎月の返済を軽くしたい」。融資の借り換えは、条件しだいで会社の資金繰りを大きく改善できる手段です。一方で、銀行の借り換えにはメリットだけでなく、手数料や既存の銀行との関係といった、見落とされやすい注意点もあります。

この記事では、借り換えの種類と、借り換えのメリット・注意点、判断の手順、そして既存の銀行との関係をどう保つかを解説します。

この記事の結論
  • 借り換えのメリットは「金利の引き下げ」「月々の返済の軽減」「担保・保証条件の改善」の3つ
  • 注意点は「手数料・費用」「返済期間の延長による総利息の増加」「既存の銀行との関係」
  • 他行への全額の借り換えは、既存の銀行にとって「取引を失う」こと。まず既存行に相談し、条件見直しの機会を渡すのが基本
  • 借り換えで浮いた資金繰りの余裕を、純資産と現預金の積み上げに回せるかが、次の融資につながる

借り換えには3つのパターンがある

ひと口に借り換えと言っても、中身はいくつかに分かれます。どれを指しているかで、注意点も変わります。

パターン中身主な目的
同じ銀行での借り換え(条件変更・まとめ直し)既存の借入を同じ銀行の新しい融資で返す返済額の平準化、複数本の一本化、追加資金
他行への借り換え(肩代わり)他の銀行が新しく貸して、既存行の借入を返す金利・担保・保証の条件改善
保証付き融資の借り換え信用保証協会の保証付き融資を、保証付きで借り直す、またはまとめる返済期間の延長、月々の返済の軽減

他行が既存行の借入を引き取ることを、銀行業界では「肩代わり」と呼びます。肩代わりは新しい銀行にとっては取引の獲得、既存の銀行にとっては取引の喪失です。この構図が、後で述べる「既存行との関係」の問題につながります。

なお、信用保証協会の保証付き融資には、借り換えや複数の保証付き借入の一本化を目的とした保証制度があります。対象や条件は保証協会や制度ごとに異なるため、利用を考えるときは取引銀行や保証協会に確認してください。

借り換えのメリット

メリット1:金利を下げられる

業績や財務が改善して格付けが上がっていれば、借入をしたときより低い金利で借り直せる可能性があります。創業期や業績の悪い時期に借りた融資は、当時の信用リスクを前提にした金利になっているためです。

メリット2:月々の返済を軽くできる

複数の借入をまとめ、残りの期間を延ばして借り直すと、月々の返済額を下げられます。返済が重く、利益は出ているのに現預金が減っていく会社にとっては、資金繰りを立て直す有効な手段になります。

メリット3:担保や保証の条件を改善できる

借り換えを機に、保証協会の保証付き融資からプロパー融資(保証なしの銀行独自の融資)へ移る、経営者保証や不動産担保を外す、といった条件改善ができることがあります。金利の数字以上に、会社にとって価値が大きい場合も少なくありません。プロパー融資への移行の考え方は、保証協会付き融資とプロパー融資の違いで解説しています。

借り換えの注意点

注意点1:手数料・費用がかかる

固定金利の借入を期限前に返すと、手数料(違約金)がかかる契約が少なくありません。不動産担保がついていれば、抵当権の抹消・設定の登記費用もかかります。保証付き融資であれば、借り換え後の保証料も発生します。金利差による利息の減少額から、これらの費用を差し引いても得になるかを必ず計算してください。

注意点2:期間を延ばすと、総利息は増えることがある

月々の返済を軽くするために期間を延ばすと、金利が多少下がっても、返し終わるまでに払う利息の総額は増えることがあります。月々の楽さと総コストのどちらを優先するかは、会社の資金繰りの状況で判断します。

注意点3:既存の銀行との関係

もっとも見落とされやすいのがこれです。次の章で詳しく見ていきます。

計算例:その借り換えは本当に得か

数字で確かめてみます。残高5,000万円、残り期間5年、金利2.0%の借入(元金均等返済)を、他行の金利1.5%の提案で借り換えるケースです。期限前返済の手数料などの費用は、仮に50万円とします。

パターン毎月の元金返済返し終わるまでの利息の総額(概算)費用を引いた差
現状(2.0%・5年)約83万円約254万円-
借り換え(1.5%・5年)約83万円約191万円約13万円の得
借り換え(1.5%・7年に延長)約60万円約266万円約62万円の損

(説明のための概算です。実際の条件は契約によって異なります)

同じ5年で借り換えれば、利息は約63万円減りますが、費用50万円を引くと実質の得は約13万円です。期間を7年に延ばすと、月々の元金返済は約23万円軽くなる一方、利息の総額は現状より増え、費用と合わせると損になります。

それでも、資金繰りが苦しい会社にとっては、月々の返済を軽くすることに総コスト以上の価値がある場合もあります。何を優先するかを決めてから比べることが大切です。

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既存の銀行との関係をどう保つか

何も言わずに全額を移すのは避ける

ある日突然、他行から全額の返済が振り込まれる。既存の銀行から見れば、何の相談もなく取引を引き揚げられたことになります。担当者は支店内で説明を求められ、「あの会社は条件しだいで黙って出ていく」という記録が残ります。

数年後、業績が落ちたときや大きな資金が必要になったとき、その銀行に頼れるでしょうか。借り換えで得た年間数十万円の利息差より、いざというときに支えてくれる銀行を失うコストのほうが大きいことは珍しくありません。

進め方の基本は「既存行に先に相談する」

他行から提案を受けたら、まず既存の銀行に事実を伝え、条件の見直しを相談します。

  1. 「他行からこういう条件で提案を受けている」と事実を伝える
  2. 「できれば御行との取引を続けたい」と意向を示す
  3. 既存行が条件を見直してくれれば、そのまま継続を検討する
  4. 見直しが難しければ、一部だけを他行に移すなど、取引を残す形を考える

既存行が条件を合わせてくれれば、関係を壊さずに条件が改善します。合わせてもらえなくても、事前に相談した会社と、黙って出ていった会社とでは、その後の扱いがまったく違います。金利の交渉の進め方は融資の金利交渉のしかたでも解説しています。

「全部移す」より「分散させる」

借り換えの提案を受けたことは、取引銀行を増やすよい機会でもあります。1行に借入を集中させていると、その銀行の方針が変わった瞬間に資金調達が止まります。既存の借入の一部を新しい銀行に移し、複数の銀行と取引のある状態をつくるほうが、会社にとっては長期的に安全です。

同じ銀行での「まとめ直し」も選択肢に入れる

借り換えというと他行への乗り換えを思い浮かべがちですが、既存の銀行の中で複数の借入をまとめ直すだけで、目的を達成できることもあります。たとえば、創業期から少しずつ借りてきた5本の借入を1本にまとめ、返済日と返済額をそろえる。これだけでも資金繰りの管理はずっと楽になり、毎月の返済額も平準化されます。

既存の銀行にとっても、取引を失わずに済み、追加の融資を組み合わせる機会にもなります。他行の提案を受けたときこそ、まず既存行でのまとめ直しや条件見直しの余地を確認する価値があります。

借り換えの判断手順

借り換えをするかどうかは、次の順で判断します。

手順確認すること
1. 現状の整理各借入の残高・金利・残期間・担保・保証・期限前返済の手数料
2. 条件の比較新しい条件での毎月の返済額と、返し終わるまでの総支払額
3. 費用の計算手数料、登記費用、保証料などを差し引いた実質のメリット
4. 資金繰りの確認借り換え後の資金繰り表で、数か月先まで現預金が十分に残るか
5. 関係の確認既存行への相談の有無、移す範囲、今後の追加融資の見通し

借り換えで生まれた余裕を何に使うか

ここがクレフティとして最も強調したい点です。借り換えで月々の返済が軽くなると、手元にお金が残ります。その余裕を、現預金と純資産の積み上げに回せるかどうかで、次の融資の通りやすさが変わります。

銀行の格付けで重く見られる債務償還年数は、「(借入金 − 現預金)÷ 年間の返済原資」で計算します。借り換えで借入の総額は変わりませんが、浮いた資金を現預金として残せば、分子が小さくなり、評価は改善します。逆に、浮いた資金を使ってしまえば、借入の期間が延びただけで財務は何も強くなっていません。

借り換えは、それ自体がゴールではなく、財務を立て直すための時間を買う手段です。月々の返済が軽くなったぶんを、毎月決まった額だけ別の口座に積み立てる、社長への貸付や不要な支出に回さないと決めておく。こうした小さなルールが、数年後の格付けの差になって表れます。

まとめ

  • 借り換えのメリットは、金利の引き下げ、月々の返済の軽減、担保・保証条件の改善
  • 手数料・費用と、期間延長による総利息の増加を差し引いて判断する
  • 他行への借り換えは、既存行に先に相談し、条件見直しの機会を渡すのが基本
  • 全額を移すより、取引の分散につなげる
  • 借り換えで生まれた余裕は、現預金と純資産の積み上げに回す

借り換えの条件比較や、既存の銀行への相談の進め方に迷ったら、クレフティの融資・資金調達のご支援をご利用ください。初回30分は無料でご相談いただけます。

よくある質問

借り換えをすると、元の銀行から今後融資を受けられなくなりますか?
必ずそうなるわけではありませんが、取引の大半を他行に移せば、元の銀行にとってあなたの会社の優先度は下がります。全額を移すのではなく一部にとどめる、事前に相談して条件の見直しの機会を渡すなど、関係を残す進め方を選ぶのが無難です。
借り換えのときに、繰上返済の手数料はかかりますか?
契約によります。固定金利の借入では、期限前に返済すると手数料(違約金)がかかる契約が少なくありません。変動金利でも手数料が定められている場合があります。金銭消費貸借契約書を確認し、手数料を差し引いても借り換えのメリットが残るかを試算してください。
赤字でも借り換えはできますか?
新しい金融機関が審査を行うため、赤字の状態では他行への借り換えは通りにくいのが実情です。資金繰りが苦しい場合は、借り換えより先に、既存の銀行に返済条件を相談するほうが現実的なこともあります。どちらを選ぶかは、資金繰り表で数か月先までの資金の動きを確認してから判断します。

※本記事は2026年10月17日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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