「不動産投資に強い税理士を探しているけれど、どこも『不動産に強い』と書いていて違いがわからない」。投資家の方から、よくこう言われます。
不動産投資家にとっての税理士選びは、申告を正しくしてくれるかどうかだけでは足りません。2棟目・3棟目の融資が通るか、法人化のタイミングを誤らないか、売却や相続で損をしないか。税理士の力量の差は、5年後・10年後の資産規模の差になって表れます。
この記事では、税理士・公認会計士であり、自らも総投資額82億円の不動産投資を行ってきた筆者が、「本当に不動産投資に強い税理士」を見分けるためのチェックポイントをお伝えします。
- 不動産投資に強い税理士は「申告が正確」なうえで、融資・法人化・消費税・売却・相続まで見通せる人
- 最重要は「銀行が決算書をどう見るか」を理解しているか。税額だけを減らす税理士だと、融資が止まることがある
- 面談では、格付け、債務償還年数、法人化の判断基準、消費税の論点について具体的に質問して見極める
- 顧問先に不動産投資家が多いか、税理士自身が不動産に関わっているかも判断材料になる
なぜ不動産投資家は「一般的な税理士」では足りないのか
不動産投資は、税金と融資が強く結びついた事業です。税金を減らそうとして利益を削れば、決算書が弱くなり、次の融資が受けにくくなります。反対に、銀行の見方を理解したうえで決算をまとめれば、同じ物件・同じ家賃でも、借りられる金額や条件が変わります。
さらに不動産には、他の業種にはない論点が数多くあります。
| 論点 | 判断を誤ったときの影響 |
|---|---|
| 法人化のタイミング | 個人の属性が使えなくなり、融資が止まる |
| 中古物件の減価償却 | 利益が圧縮されすぎて、銀行の評価が下がる |
| 消費税(居住用賃貸建物・課税事業者の判定) | 想定外の納税が発生する |
| 物件売却(短期・長期譲渡、法人での売却) | 売る時期の違いで税負担が大きく変わる |
| 相続・事業承継 | 法人化やホールディングス化の設計しだいで相続税が変わる |
これらを横断して判断できるかどうかが、「不動産投資に強い」かどうかの分かれ目です。
不動産投資に強い税理士を見分ける7つのチェックポイント
1. 銀行が決算書をどう評価するかを理解しているか
もっとも重要なポイントです。銀行は決算書から格付けを行い、「この会社に次も貸せるか」を判断します。筆者の著書では、銀行格付けを129点満点(安全性・収益性・成長性・返済能力)のモデルで解説しています。
税額を減らすことしか考えない税理士だと、利益を削りすぎて格付けが下がり、2棟目・3棟目で融資が止まる原因になります。「債務償還年数はいくつですか」「純資産はどう増やしますか」と質問して、答えられるかを確認してください。
2. 顧問先に不動産投資家・賃貸業の法人が多いか
不動産特有の論点は、経験の数がものを言います。顧問先のうち不動産投資家や賃貸業の法人がどのくらいいるかを、遠慮なく聞いてみましょう。
3. 法人化を「税額」だけで判断しないか
「所得が〇〇万円を超えたら法人化」と税額だけで勧める税理士は要注意です。法人化には、個人属性の喪失、決算実績ゼロ期間、役員報酬と社会保険料の設計といった落とし穴があります。詳しくは不動産投資の法人化のタイミングで解説しています。
4. 消費税の論点に詳しいか
課税事業者になる時期の判定、インボイス登録、居住用賃貸建物の仕入税額控除の制限、高額特定資産を取得したときの縛りなど、不動産の消費税は誤りやすい分野です。物件を買う「前」に相談に乗ってくれるかが大切です。
5. 売却・組み換えの相談に乗れるか
いつ売るか、個人で売るか法人で売るかによって、税負担は大きく変わります。売却の税金だけでなく、売った後のバランスシートや次の融資まで含めてアドバイスできるかを見てください。
6. 相続・事業承継まで見通せるか
物件が増えるほど、相続の問題は避けて通れません。法人化やホールディングス化の設計は、相続まで見据えて早めに考えるほど選択肢が広がります。
7. 「提案」してくれるか
決算書を作って終わり、ではなく、「来期はこうしましょう」「次の物件はこの銀行に相談しましょう」と提案してくれるかどうか。不動産投資は買い続ける事業なので、伴走してくれる税理士かどうかが重要です。
面談で聞くべき質問リスト
初回面談で次のような質問をすると、不動産投資への理解度がよくわかります。
| 質問 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 私の決算書を銀行はどう評価すると思いますか? | 格付け、債務償還年数、純資産など具体的な指標で答えられるか |
| 法人化すべきかどうか、何を基準に判断しますか? | 税額だけでなく、融資・社会保険料・相続まで触れるか |
| 2棟目を買うとき、どんな点に気をつければいいですか? | 累積負債、現預金、銀行の分散に言及するか |
| 消費税で気をつけることはありますか? | 課税事業者の判定、居住用賃貸建物の論点を説明できるか |
| 不動産投資家の顧問先はどのくらいいますか? | 経験の量と、具体的な事例を話せるか |
税理士に頼む時期の目安
- 法人(資産管理法人)を設立する前:資本金、決算期、消費税の設計は設立後に変えられません
- 2棟目を買う前:購入後のバランスシートをシミュレーションしておくと、3棟目以降に効きます
- 売却を検討し始めたとき:時期と名義の選択で手取りが変わります
- 融資を断られたとき:決算書のどこが原因かを特定することから始めます
クレフティの場合
最後に、私たちクレフティについても書いておきます。代表の私は、税理士・公認会計士であると同時に、2014年から不動産投資を続け、総投資額82億円・45プロジェクトを手がけてきました。2019年に複数の銀行から「あなたには、貸せません」と言われ、財務を立て直した経験もあります。
その経験から、税額だけでなく「次の融資が止まらない決算書」をお客さまと一緒に設計することを大切にしています。事務所としては、20行を超える金融機関との折衝、累計120億円超の融資承認実績があり、公認会計士・税理士のパートナー2名で、法人化、消費税、売却、相続・事業承継まで対応しています。
もちろん、税理士との相性は人それぞれです。この記事のチェックポイントを使って、何人かと面談して比べてみてください。そのうちの一人としてクレフティを選んでいただけたら嬉しいです。
まとめ
- 不動産投資に強い税理士は、申告の正確さに加えて、融資・法人化・消費税・売却・相続まで見通せる
- いちばんの見極めポイントは「銀行が決算書をどう見るか」を理解しているか
- 面談では具体的な質問をして、指標や事例で答えられるかを確認する
- 法人設立前、2棟目の購入前、売却前が、相談のタイミング
