「融資に強い税理士に相談したい」。資金調達を考える経営者から、よくいただく言葉です。ところが、ホームページで「融資に強い」とうたう税理士は多く、何をもって強いのかは見えにくいのが実情です。
融資に強い税理士かどうかは、事業計画書を作れるかだけでは判断できません。本当に差がつくのは、銀行がどう評価するかを踏まえて決算書そのものを設計できるか、そして融資を受けた後も借り続けられる関係を一緒につくれるかです。
この記事では、20行を超える金融機関と折衝し、累計120億円超の融資承認を支援してきた税理士法人として、融資に強い税理士を見極めるポイントをお伝えします。
- 融資に強い税理士は、銀行格付けを理解した決算書づくりから関われる人
- 事業計画・資金繰り表を「数字の根拠つき」で作れるか、金融機関を案件に合わせて選べるかも重要
- 「必ず通る」と言う人は要注意。融資の可否は金融機関が決める
- 面談では、債務償還年数、債務者区分、プロパー融資への道筋について質問して見極める
融資の結果は「決算書」でほぼ決まる
金融機関は、融資の申し込みを受けると決算書をもとに企業の格付けを行い、その結果によって融資の可否や金額、金利、保証の有無を判断します。筆者の著書では、銀行格付けを129点満点(安全性34点・収益性15点・成長性25点・返済能力55点)のモデルで解説しています。
つまり、融資の準備は「申し込むとき」ではなく、決算書をつくる段階から始まっています。決算書をまとめるのは税理士です。だからこそ、どの税理士に頼むかが融資の結果を左右します。審査で見られるポイントは銀行融資の審査で見られるポイントで詳しく解説しています。
融資に強い税理士を見分ける6つのポイント
1. 銀行格付けと債務償還年数で話ができるか
「御社の債務償還年数は何年で、銀行の目安と比べてどうか」「純資産を増やすには何をすべきか」。こうした指標で会話ができる税理士は、銀行の目線を理解しています。債務償還年数の計算方法は決算書を銀行に出す前にやるべきチェックで紹介しています。
2. 利益を削りすぎない決算を提案してくれるか
税額を減らすために利益を圧縮しすぎると、決算書が弱くなり、融資が受けにくくなります。目先の税額と将来の融資のバランスを説明してくれるかを見てください。
3. 事業計画書・資金繰り表を「根拠つき」で作れるか
金融機関が知りたいのは、売上や利益の見込みがなぜその数字になるのかです。過去の実績、単価、客数、コスト構造に基づいて計画を組み立てられるかが重要です。
4. 金融機関を案件に合わせて選べるか
都市銀行、地方銀行、信用金庫、政府系金融機関には、それぞれ得意な案件があります。1行に断られて終わりではなく、案件の性質に合う金融機関を選び、複数に打診できるネットワークがあるかを確認しましょう。
5. 保証付き融資からプロパー融資への道筋を描けるか
創業期は信用保証協会付きの融資が中心でも、いずれは金融機関が自らのリスクで貸すプロパー融資を受けられる会社を目指すべきです。その道筋を示せるかどうかは、税理士の力量の差が出るところです。詳しくは保証協会付き融資の落とし穴をご覧ください。
6. 融資を受けた後も伴走してくれるか
融資は一度受けて終わりではありません。試算表や決算の報告を通じて金融機関との信頼関係を積み上げることが、次の調達につながります。決算後の銀行への説明までサポートしてくれるかを確認しましょう。
注意したい「融資サポート」の見分け方
| こんな言葉や特徴 | 注意すべき理由 |
|---|---|
| 「必ず通ります」「審査に通すコツがあります」 | 融資の可否は金融機関が判断する。保証できるものではない |
| 融資額に連動した高額な成功報酬だけを強調する | 借りた後の返済や次の調達まで考えた提案になっているか確認が必要 |
| 決算書の中身には触れず、申込書類の作成だけを行う | 根本的な評価が変わらず、次の融資につながりにくい |
| 実態とかけ離れた計画や数字を作る | 金融機関の信頼を失う原因になり、取り返しがつかない |
面談で聞くべき質問
- 「当社の決算書を、銀行はどう評価すると思いますか?」
- 「債務償還年数を改善するには、何から手をつけるべきですか?」
- 「今回の資金使途なら、どの金融機関に相談するのがよいですか?」
- 「プロパー融資を受けられるようになるには、何が足りませんか?」
- 「融資を受けた後は、どのようにサポートしてもらえますか?」
具体的な指標や金融機関の特徴を挙げて答えられるかどうかが、見極めのポイントです。
クレフティの資金調達支援について
クレフティは、20行を超える金融機関との折衝を通じて、累計120億円超の融資承認を支援してきました。公認会計士・税理士のパートナー2名に加え、ベンチャーのCFOとして資金調達を統括してきたメンバー、地方銀行で融資業務に従事してきた資金調達部長が在籍しています。
支援事例には、創業2年目の会社が都市銀行と地方銀行から合計5,500万円の運転資金を調達したケース、9,000万円のM&Aで政府系金融機関と地方銀行の協調融資が承認されたケースなどがあります。
代表の私自身も、2019年に複数の銀行から融資を断られ、財務を立て直して総投資額82億円まで回復した経験があります。融資を受ける側の苦しさを知っているからこそ、決算書の段階から一緒に設計することを大切にしています。
まとめ
- 融資の結果は決算書でほぼ決まる。だから税理士選びが融資を左右する
- 銀行格付けを理解し、利益を削りすぎない決算を提案できる税理士を選ぶ
- 根拠のある事業計画、金融機関の選定、プロパー融資への道筋、融資後の伴走まで確認する
- 「必ず通る」という言葉には注意する
