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コインランドリーなど付帯事業の税務|自営か賃貸かで変わる所得区分・消費税、機器の耐用年数、令和5年改正の特別償却の除外と銀行の見え方

賃貸マンションの1階の空き区画、駐車場の一角、使っていない土地。そこにコインランドリーを置けば、入居者の利便性も上がり、家賃以外の収入も得られる。不動産オーナーから、そうしたご相談を受けることがあります。

ただし、コインランドリーなど付帯事業の税務は、賃貸業とは別の事業として扱われる部分が多くあります。自分で営業するのか、事業者に場所を貸すのかで、所得区分も消費税も、減価償却も変わります。この記事では、所得税法と通達、国税庁の改正資料、公表裁決をもとに整理します。

この記事の結論
  • コインランドリーを自営するなら、個人は事業所得または雑所得。建物・土地を事業者に貸すなら不動産所得
  • 利用料は消費税の課税売上げ。店舗として貸す家賃も課税。土地だけ貸すなら非課税になり得る
  • 機器は別表第二の「洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」で13年
  • 令和5年度改正で、管理のおおむね全部を委託するコインランドリーの資産は、中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制の対象から除外(主要な事業である場合を除く)
  • 付帯事業の損失が雑所得とされると損益通算できない。事業所得が否定された公表裁決がある

付帯事業は「貸す」か「自分で営む」かで分かれる

賃貸物件のオーナーが取り組む付帯事業には、コインランドリーのほか、自動販売機、駐車場、太陽光発電、レンタルスペース、トランクルームなどがあります。税務の扱いは、まず次の2つのどちらに当たるかで分かれます。

形態例個人の所得区分消費税
場所を事業者に貸すコインランドリー事業者に1階店舗を賃貸、土地を事業者に賃貸不動産所得店舗家賃は課税、土地のみの貸付けは非課税になり得る
自分で営業する機器を所有してコインランドリーを営業(運営はフランチャイズや管理会社に委託することも)事業所得または雑所得利用料は課税

自動販売機・看板・アンテナなどの設置料は家賃以外の収入の所得区分と消費税、トランクルームはトランクルーム・レンタル収納の税務、駐車場は駐車場収入の課税・非課税で解説しています。この記事では、コインランドリーを中心に、自営する場合の論点を見ていきます。

コインランドリーを自営する場合の所得区分

不動産所得にはならない

コインランドリーは、洗濯機や乾燥機という機械を利用者に使わせ、その対価を受け取る事業です。建物の一部で営業していても、建物を貸しているわけではないため、不動産所得ではありません。個人の場合は事業所得または雑所得です。

事業所得か雑所得か

事業所得になるか雑所得になるかは、社会通念上「事業」といえるかで判断されます。自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性・有償性があり、反復継続して行う意思と社会的地位が客観的に認められるか、といった点が総合的に見られます。運営をすべて外部に委託し、本人はほとんど関与しない形では、事業性が問われやすくなります。

参考になる裁決:令和4年12月14日裁決(付帯事業の損失)

付帯事業の所得区分が争われた公表裁決に、国税不服審判所 令和4年12月14日裁決(裁決事例集No.129)があります。不動産所得もある請求人が、太陽光発電の取組による損失を事業所得の損失として確定申告をした事例です。

審判所は、請求人が大規模な太陽光発電設備を取得しておらず、自宅屋根に設置した設備からの売電収入は減価償却費に満たない小規模なもので、営利性と物的設備に乏しく、人的設備もないとして、事業所得を生ずべき事業に該当しないと判断しました。

コインランドリーは太陽光とは事業の性質が違いますが、「本業の付帯として始めた事業の損失を、事業所得として他の所得と通算できるか」という点では同じ構造です。雑所得とされれば、損失は給与所得や不動産所得と通算できません。事業計画、運営体制、本人の関与、収支の記録を残しておくことが重要です。

裁決の確認先

国税不服審判所 令和4年12月14日裁決 公表裁決事例(kfs.go.jp)

機器の減価償却と特別償却の除外

耐用年数

コインランドリーの設備は、内容ごとに資産区分が分かれます。

設備資産区分耐用年数
洗濯機・乾燥機などの機器機械及び装置(別表第二「洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」)13年
給排水・ガス・電気の工事建物附属設備設備の種類による
店舗の内装建物または建物附属設備建物の構造・内容による
両替機・精算機・防犯カメラ器具備品など種類による

まとめて「コインランドリー一式」として計上すると、償却期間を誤る原因になります。見積書・請求書の段階で、機器と工事を分けてもらうようにしてください。

令和5年度改正:管理を委託するコインランドリーの除外

コインランドリーの機器は、以前は中小企業経営強化税制などで即時償却ができるとして、節税目的で勧められることがありました。これに対し、令和5年度税制改正で次の見直しが行われました(国税庁「令和5年度法人税関係法令の改正の概要」)。

  • 中小企業経営強化税制:特定経営力向上設備等から、コインランドリー業の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外(中小企業者等の主要な事業であるものを除く)
  • 中小企業投資促進税制:対象となる機械装置から、同じくコインランドリー業の用に供する資産で管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外(主要な事業であるものを除く)

同じ資料では、主要な事業として、継続的に中小企業者等の経営資源(事業用の不動産、従業者の技能・知識など)を活用して行う事業や、主要な事業に付随して行う事業が例示されています。

この記事では、特別償却や税額控除を使うかどうかを勧めることはしません。仮に使える場合でも、即時償却で初年度に大きな費用を計上すると、決算書の利益は大きく落ち込みます。賃貸業の資産に特別償却などが使えるかは、中小企業向けの特別償却・税額控除は賃貸用に使えるかで整理します。

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消費税:利用料は課税、賃貸物件との組み合わせに注意

利用料と家賃

コインランドリーの利用料は、機械の利用という役務の対価で、消費税の課税売上げです。コインランドリー事業者に店舗区画を貸す場合の家賃も、住宅ではないので課税です。土地だけを貸し、事業者が建物を建てて営業するなら、地代は土地の貸付けとして非課税になり得ます。

賃貸物件の中で営業する場合

住宅中心の賃貸物件にコインランドリーを併設すると、次の点に影響します。

  • 納税義務:課税売上高が増え、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えれば課税事業者になる
  • 課税売上割合:住宅家賃(非課税)とコインランドリー売上(課税)の割合で、仕入税額控除の計算が変わる
  • 建物の取得・改装:住宅を含む建物は居住用賃貸建物に当たり得るが、店舗区画のように住宅に使わないことが明らかな部分は、合理的に区分すれば控除の対象になる(消費税法施行令50条の2)

利用者は一般消費者が中心のため、インボイス登録を求められることは多くありませんが、事業者に店舗を貸す場合はテナントから登録を求められることがあります。

法人と個人の違い

項目個人法人
所得区分自営なら事業所得または雑所得。貸すなら不動産所得区分なし(すべて益金・損金)
損失の通算事業所得の損失は通算可、雑所得の損失は不可賃貸業の利益と合算される
特別償却・税額控除個人にも同様の制度があり、除外の考え方も同じ令和5年度改正の除外に注意
消費税同じ基準同じ基準

法人では所得区分の問題はなくなりますが、事業の実態が乏しい付帯事業の損失で賃貸業の利益を相殺しても、銀行から見れば「本業の利益を減らす赤字部門」です。

会計上の扱いと銀行からの見え方

決算書の表示

決算書は、一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)に沿って作ります。中小企業では「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」が拠り所です。

コインランドリーを事業として継続的に営んでいるなら、利用料は売上高に計上するのが自然です。賃貸業と並ぶ事業として、部門別に売上と原価(電気・ガス・水道、洗剤、保守、運営委託料)を管理すると、事業の収益性を説明しやすくなります。一方、規模が小さく付随的なものなら営業外収益とする考え方もあります。税務上の処理とは別に、表示区分は事業の実態で決まるため、顧問税理士・会計の専門家と検討してください。

銀行の見方

  • 事業の収益性:機器の稼働率、1店舗あたりの売上、原価率が見られます。賃貸業より売上の変動が大きいため、月次の実績を示せると説明しやすい
  • 償却前利益:機器は13年、内装や附属設備も比較的短い耐用年数で償却するため、減価償却費が大きくなります。著書のモデルでは、債務償還年数=(借入金−現預金)÷(経常利益+減価償却費−法人税等)で返済能力を見ます
  • リース・借入:機器をリースで導入すると、リース債務や支払リース料が決算書に表れます。賃貸業の借入とあわせた返済負担が見られます
  • 即時償却の影響:特別償却で初年度に大きな費用を計上すると、営業利益や経常利益が一時的に赤字になり、格付けに響くことがあります。税務上の選択が、決算書と融資にどう影響するかを事前に確認してください

実務のチェックポイント

  1. 自営するのか、事業者に場所を貸すのか
  2. 自営する場合、運営体制(委託の範囲、本人の関与、従業員)と事業計画を記録しているか
  3. 見積書・請求書で、機器・工事・内装を分けているか
  4. 特別償却・税額控除を検討する場合、管理の委託の程度と「主要な事業」に当たるかを確認したか
  5. 課税売上げの増加で、納税義務・課税売上割合が変わらないか
  6. 住宅を含む建物で営業する場合、店舗部分の合理的区分の資料があるか
  7. 決算書の表示区分と部門別の管理を、事業の実態に沿って決めているか

まとめ

  • コインランドリーを自営すれば、個人は事業所得または雑所得。貸すなら不動産所得
  • 利用料と店舗家賃は課税。土地だけの貸付けは非課税になり得る
  • 機器の耐用年数は13年(洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備)。工事・内装は区分して計上
  • 令和5年度改正で、管理のおおむね全部を委託するコインランドリーの資産は特別償却などの対象外(主要な事業である場合を除く)
  • 付帯事業の損失が雑所得とされると通算できない。事業所得が否定された公表裁決がある(令和4年12月14日裁決)

付帯事業は、始め方によって税務と決算書の見え方が大きく変わります。クレフティでは不動産投資家向けサポートの中で、事業形態の比較から、融資を見据えた決算書づくりまでご相談いただけます。

よくある質問

個人でコインランドリーを経営した場合の所得区分は何ですか?
自分で機器を持って営業するなら、不動産所得ではなく事業所得または雑所得です。事業として社会通念上認められる規模・体制で営んでいれば事業所得、そうでなければ雑所得になります。雑所得の損失は給与所得などと損益通算できません。建物や土地をコインランドリー事業者に貸して賃料を受け取るだけなら、不動産所得です。
コインランドリーの機器は何年で減価償却しますか?
減価償却資産の耐用年数省令の別表第二(機械及び装置)では、「洗濯業、理容業、美容業又は浴場業用設備」の耐用年数は13年とされています。給排水や電気の工事は建物附属設備、店舗の内装は建物や建物附属設備として、それぞれの耐用年数で償却します。どの区分に当たるかは設備の内容で判断します。
コインランドリーの機器に中小企業経営強化税制は使えますか?
令和5年度税制改正で、コインランドリー業の用に供する資産で、その管理のおおむね全部を他の者に委託するものは、中小企業経営強化税制の特定経営力向上設備等と、中小企業投資促進税制の対象となる機械装置から除かれました。ただし、コインランドリー業が中小企業者等の主要な事業である場合は除外されません。適用期限や要件は改正が続いているため、取得時点の制度を確認してください。

※本記事は2026年10月18日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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