アパートに付いた駐車場、空き地を使った月極駐車場、コインパーキング。駐車場収入は少額に見えても、消費税の課税・非課税の判定を誤りやすい収入です。住宅の家賃は非課税、土地の貸付けも非課税ですが、駐車場は「施設の貸付け」として課税になるのが原則だからです。
この記事では、駐車場収入の消費税の判定(住宅付帯かどうか、施設の利用を伴うかどうか)と、所得税の所得区分、法人と個人の違い、決算書と銀行の見方、公表裁決事例を整理します。
- 住宅付帯の駐車場は、1戸当たり1台分以上が確保され、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられるなどの場合で、家賃とは別に使用料を取っていなければ住宅の貸付けとして非課税
- 入居者向けでも別料金で貸す駐車場は課税
- 単独の駐車場は、地面の整備・フェンス・区画・建物の設置などをしていれば課税。何もしていない土地で車両の管理もしなければ、土地の貸付けとして非課税
- 砂利を敷きロープで区画を分けた程度でも課税とされた裁決がある
- 所得税では、車両の管理責任を負うなら事業所得または雑所得、場所を貸すだけなら不動産所得
駐車場の消費税:3つの判定ポイント
駐車場の消費税は、次の順番で判定すると整理しやすくなります。
| 判定 | 内容 | 結論 |
|---|---|---|
| 1. 住宅の貸付けに含まれるか | 1戸当たり1台以上、保有の有無にかかわらず割当て、家賃と別に使用料を取らない | 含まれれば非課税 |
| 2. 施設の利用を伴うか | 地面の整備、フェンス、区画、建物の設置、車両の管理 | 伴えば課税 |
| 3. 土地の貸付けか | 何も整備していない土地を貸すだけ | 非課税 |
| 共通 | 貸付期間が1か月未満 | 土地の貸付けでも課税 |
1. 住宅の貸付けに含まれる駐車場
消費税法基本通達6-13-3は、駐車場付き住宅として全体が住宅の貸付けとされる駐車場として、一戸建住宅に係る駐車場のほか、集合住宅に係る駐車場で、入居者について1戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられる等の場合で、住宅の貸付けの対価とは別に駐車場使用料等を収受していないものを挙げています。
逆に言えば、次のような駐車場は住宅の貸付けに含まれず、原則として課税です。
- 入居者のうち希望者にだけ貸し、別料金を取っている駐車場
- 台数が戸数より少なく、空きが出たら外部にも貸している駐車場
- 家賃に含めていても、車を持たない入居者には割り当てていない駐車場
2. 施設の利用を伴う駐車場は課税
土地の貸付けは非課税ですが、消費税法施行令第8条により、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は、土地の貸付けから除かれます。国税庁のタックスアンサー(No.6213)でも、駐車している車両の管理を行っている場合や、駐車場としての地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には消費税が課されるとしています。
3. 何もしていない土地の貸付けは非課税
消費税法基本通達6-1-5の注1は、駐車場として土地を利用させた場合でも、その土地に駐車場としての用途に応じる地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置等をしていないとき(車両の管理をしている場合を除く)は、土地の貸付けに含まれるとしています。いわゆる「青空駐車場」のうち、本当に何も手を加えていないものだけが非課税です。
なお、土地の貸付けでも、契約上の貸付期間が1か月に満たない場合は課税です。
駐車場業者に土地を一括で貸す場合
コインパーキング事業者に土地を一括で貸し、事業者が舗装や精算機を設置する形態では、貸主が施設を提供しているわけではないため、土地の貸付けとして非課税と整理されることが一般的です。ただし、貸主側が舗装や区画を整備して貸す場合は、施設の貸付けとして課税になる可能性があります。誰が整備した施設か、契約上何を貸しているかを契約書で確認してください。
所得税・法人税:所得区分と法人と個人の違い
所得区分は「保管責任」で決まる
所得税基本通達27-2は、いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得について、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得または雑所得、そうでない場合の所得は不動産所得としています。
- 月極駐車場で、区画を貸すだけ:不動産所得
- 管理人を置き、車を預かって保管責任を負う:事業所得または雑所得
- 時間貸し駐車場を自ら運営:保管責任の有無など実態で判断
| 項目 | 法人 | 個人 |
|---|---|---|
| 所得区分 | すべて益金(売上高) | 不動産所得、または事業所得・雑所得 |
| 消費税の判定 | 個人と同じ基準 | 同じ |
| 課税の駐車場収入の影響 | 課税売上高に入り、納税義務の判定に影響 | 同じ。住宅家賃しかない大家でも、駐車場収入で課税事業者になることがある |
| 舗装・フェンスの費用 | 構築物として減価償却 | 同じ |
| 青色申告特別控除 | ― | 不動産所得が事業的規模でない場合は65万円・55万円の控除は使えない(10万円) |
舗装・フェンス・照明などの耐用年数は、駐車場舗装・フェンス・外構など構築物の耐用年数で解説しています。
課税の駐車場収入が納税義務の判定に効く
住宅家賃は非課税なので、住宅だけの大家は課税売上高がほとんどなく、免税事業者であることが多いでしょう。しかし、別料金の駐車場収入や、整備した月極駐車場の収入は課税売上高になります。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になります。後述の裁決事例でも、駐車場の貸付けが課税とされたことで、免税事業者だと考えていた請求人に消費税の決定処分が行われています。
会計上の扱いと表示
駐車場収入は、賃貸事業に付随して継続的に得ている収入であれば、本業の一部として売上高(賃貸収入)に含めるのが実態に合うことが多いでしょう。著書でも、駐車場収入、自動販売機収入、付帯サービス料は本業の一部として売上高に、という例を挙げています。家賃以外の収入全体の整理は自販機・看板・アンテナなど家賃以外の収入を参照してください。
税務上は、駐車場収入が課税か非課税か、所得区分は何かが論点です。一方、決算書の表示区分(売上高か営業外収益か)は、企業会計の基準(GAAP:一般に公正妥当と認められる会計基準)に沿って判断する必要があり、どの区分にできるかは取引の実態次第です。賃貸事業に付随して継続的に得ている駐車場収入は売上高に含めるのが実態に合うことが多い一方、本業と関係のない一時的な収入まで売上高に入れることはできません。顧問税理士・会計の専門家と検討してください。
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不動産投資家向け税務・融資支援を見る銀行からの見え方
「雑収入」に埋もれていないか
駐車場収入が雑収入として営業外収益にまとめられていると、営業利益が実態より小さく見えます。著書のモデルでは、ICRの分子に営業利益が入るため、本業として継続的に得ている駐車場収入を売上高に含めるかどうかは、格付けにも影響します。
物件の収益力と、空き区画のリスク
銀行は、駐車場収入を物件の収益力の一部として見る一方、車を持たない入居者が増えると稼働率が下がる収入であることも知っています。レントロールに駐車場の区画数と稼働台数を分けて記載し、住宅部分の収入とは分けて説明できるようにしておくと、物件の評価がぶれにくくなります。
消費税の申告漏れは、決算書の信頼性を下げる
駐車場収入の課税・非課税を誤って消費税を申告していなかった場合、後から決定処分と無申告加算税を受けることがあります。税務調査で修正が入った決算書は、銀行に対しても説明が必要になります。加算税と銀行への影響は過少申告加算税・重加算税・延滞税と銀行への影響で解説しています。
公表裁決事例
砂利とロープの区画でも「施設の利用」で課税(平成22年3月2日裁決)
不動産貸付業を営む個人が、駐車場の貸付けは土地の貸付けで非課税であり、自分は免税事業者だと主張した事案です(裁決事例集No.79、国税不服審判所)。原処分庁は、駐車場の貸付けが課税資産の譲渡等に当たるとして、消費税の決定処分をしていました。
請求人は、駐車場の一部はロープで区画を分け、水たまりができないよう土や砂利を敷いている程度で、アスファルト舗装も料金徴収設備も建物・屋根もなく、一般常識的に施設といわれるものは一切ないと主張しました。
審判所は、請求人が契約で区画を指定し、車両を駐車させる目的に限定して貸し付けていること、駐車場に砂利やアスファルトを敷き、場所によってはロープや白線、区画番号表示による区画を設け、車止めブロックを設置していることから、駐車場としての用途に応じる地面の整備や区画の設置等をしていると認め、施設の利用に伴って土地が使用される場合に該当すると判断しました。区画の区分や車止めのない部分についても、車両を駐車させる目的で貸し付け、砂利を敷いて地面を整備していることから、同様とされています。また、課税対象になるのはアスファルト舗装や料金徴収設備などの施設がある場合に限られる、という請求人の解釈も退けられました。
実務への示唆:「舗装していないから非課税」という判断は危険です。区画を指定して駐車目的で貸し、砂利敷きなどの整備をしていれば課税と判断されうることを前提に、課税売上高と納税義務を確認してください。
実務のチェックポイント
- 住宅付帯の駐車場は、1戸当たり1台以上・保有の有無にかかわらず割当て・家賃と別料金なし、の条件を満たすか
- 入居者向けでも別料金の駐車場を、課税売上として扱っているか
- 単独の駐車場で、舗装・砂利敷き・区画・フェンス・車止めなどの整備をしていないか
- 駐車場業者への一括貸しで、施設を整備したのが誰かを契約書で確認したか
- 貸付期間1か月未満の契約がないか
- 駐車場収入を含めた課税売上高で、消費税の納税義務を判定したか
- 車両の管理責任の有無で、所得区分(不動産所得か事業所得・雑所得か)を確認したか
- 法人の決算書で、駐車場収入を売上高に含めて表示しているか
まとめ
- 住宅付帯の駐車場は、条件を満たし家賃と別料金を取らなければ非課税。別料金なら原則課税
- 単独の駐車場は、地面の整備・区画・フェンスなど施設の利用を伴えば課税。何もしていない土地の貸付けだけが非課税
- 砂利とロープの区画程度でも課税とされた裁決がある(平成22年3月2日裁決)
- 所得税では、保管責任を負うなら事業所得または雑所得、場所を貸すだけなら不動産所得
- 継続的な駐車場収入は売上高に含めるのが実態に合うことが多く、営業利益とICRの見え方に影響する
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