減価償却・設備

駐車場舗装・フェンス・外構など構築物の耐用年数|アスファルト10年・コンクリート15年と裁決事例

一棟マンションの駐車場、アパートの外構フェンス、月極駐車場の舗装。建物の周りにある工作物は、税務上「構築物」として、建物とは別の耐用年数で減価償却します。

構築物は建物より耐用年数が短いものが多く、見積書で外構工事を分けておくかどうかで、毎年の償却費が変わります。一方、土地そのものを良くする工事は土地の取得価額になり、償却できません。この記事では、賃貸不動産でよく出てくる構築物の耐用年数、土地との区分、裁決事例、決算書と銀行からの見え方を整理します。

この記事の結論
  • 駐車場舗装はアスファルト敷10年、コンクリート敷15年。塀は構造により10〜30年
  • 構築物は「土地に定着する土木設備又は工作物」。建物・建物附属設備とは別に区分して償却する
  • 整地・盛土・敷地の拡張など土地自体の改良は土地の取得価額になり、償却できないことがある
  • フェンスは発電設備とは別個の資産として取得の日から事業に使っているとした裁決がある
  • 構築物は担保評価にほとんど反映されにくい一方、償却費は利益を押し下げる。取得前に利回りと決算書の見え方を試算する

賃貸不動産でよく出てくる構築物の耐用年数

構築物の耐用年数は、耐用年数省令の別表第一に、構造・用途・細目ごとに定められています。賃貸不動産や駐車場経営で出てくるものを抜き出すと、次のとおりです。

区分構造・細目耐用年数
舗装道路・舗装路面アスファルト敷、木れんが敷10年
舗装道路・舗装路面コンクリート敷、ブロック敷、れんが敷、石敷15年
舗装道路・舗装路面ビチューマルス敷3年
へい鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造30年
へいコンクリート造・コンクリートブロック造15年
へい金属造10年
へい木造10年
街路灯・ガードレール金属造10年
露天式立体駐車設備金属造15年
広告用のもの金属造20年
緑化施設・庭園工場緑化施設以外20年

建物附属設備との違いや、建物本体との区分の考え方は建物と建物附属設備・構築物の区分で解説しています。構築物の償却方法は、平成28年4月1日以後に取得したものは法人・個人とも定額法です。

税務上の扱い:構築物か、土地か

構築物とされるか、土地の取得価額とされるかで、償却できるかどうかが決まります。

工事・支出の例扱いの傾向理由
駐車場のアスファルト・コンクリート舗装構築物土地に定着する工作物
フェンス・塀・門扉構築物同上
駐車場の照明・街路灯構築物(または附属設備・器具備品の場合も)設置の状態による
整地・盛土・地盛り土地の取得価額になりやすい土地そのものの改良
擁壁で敷地を広げる工事土地と構築物に区分裁決事例あり(下記)

法人と個人の違い

区分と耐用年数は法人・個人とも同じですが、償却費の計上のしかたが異なります。

項目法人個人
償却費損金経理した額のうち償却限度額まで(任意)計算した償却費を必要経費に算入
少額の外構工事取得価額10万円未満などは少額減価償却資産の制度の対象になりうる同左(青色申告者は中小特例も)
根拠法人税法31条、法人税法施行令13条所得税法49条、所得税法施行令6条

少額資産の制度については少額減価償却資産・一括償却資産と貸付用資産の除外をご覧ください。また、駐車場の貸付けは、住宅に付随するものを除き消費税の課税取引になることがあります。駐車場収入の扱いは駐車場収入の課税・非課税で整理します。

裁決事例:構築物をめぐる判断

太陽光発電所のフェンスは、発電設備と別個の資産(平成30年6月19日裁決)

  • 出典:国税不服審判所 平成30年6月19日裁決[裁決全文]
  • 事案:法人が太陽光発電設備と、それを囲むフェンス・門扉等を取得しました。発電設備は期末までに系統連系の工事が終わっておらず、その事業年度に事業の用に供したとは認められませんでした。原処分庁は、フェンス等も発電設備と一体として、同じく事業の用に供していないと主張しました。
  • 判断:フェンス等は発電設備とは物理的にも機能的にも一体とはいえない別個の減価償却資産であり、外部からの侵入防止や盗難・感電事故の防止という機能を取得の日から発揮していたとして、取得の日に事業の用に供されたと認め、特別償却の適用を認めました(一部取消し)。
  • 示唆:フェンスや外構は、本体の設備や建物とは別の資産として、それぞれの機能と使用開始時期で判断されます。賃貸物件でも、外構を建物と分けて台帳に載せておく意味があります。

自走式立体駐車場は、構築物「金属造のもの」(平成10年10月8日裁決)

  • 出典:国税不服審判所 平成10年10月8日裁決(裁決事例集No.56・251頁)[裁決全文]
  • 事案:屋外露天式の自走式立体駐車場設備について、法人は劣化が早いことなどを理由に耐用年数15年を主張しました。
  • 判断:当時の耐用年数省令の下で、構築物の「金属造のもの」の「その他のもの」(45年)に該当するとしました。また、耐用年数の短縮承認申請は更正処分の後に行われたもので、対象事業年度の末日までに申請した事実がないとして、短縮を前提とする主張も退けました。
  • 示唆:現行の耐用年数省令の別表第一には「露天式立体駐車設備」(15年)が設けられています。裁決はその時点の法令に基づく判断であり、現在どの細目に当たるかは、設備の構造に照らして改めて確認が必要です。また、耐用年数の短縮は事前に承認を受ける制度だという点も押さえておきたいところです。

借地上の駐輪場屋根:撤去予定は短縮の理由にならない(平成16年10月22日裁決)

  • 出典:国税不服審判所 平成16年10月22日裁決(裁決事例集No.68・125頁)[裁決全文]
  • 判断:賃借した土地に設置した支柱付き鉄骨屋根の駐輪場施設について、賃借期間満了時に解体撤去されることが確実であることを理由とする耐用年数の短縮申請は、法人税法施行令57条1項の事由に当たらないとしました。
  • 示唆:借地上の駐車場設備などでも、「契約期間が終われば撤去する」というだけでは耐用年数を短くできません。

崖地の防壁工事は、土地と構築物の取得価額(昭和59年11月30日裁決)

  • 出典:国税不服審判所 昭和59年11月30日裁決(裁決事例集No.28・250頁)[公表裁決事例要旨(法人税・固定資産の取得価額)]
  • 判断:崖地の突出部分を削って敷地の有効面積を約60平方メートル広げ、厚さ15センチメートルの鉄筋コンクリートによる防護設備を設けた工事について、修繕費の部分は認められず、土地の取得価額と構築物たる防壁の取得価額に計上すべきとしました。
  • 示唆:敷地を広げる、新たに防護設備を設けるといった工事は、修繕ではなく資産の取得です。擁壁の補修工事を行う場合は、元の状態に戻す部分と、新設・拡張の部分を見積書で分けておくことが重要です。
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会計上の扱いと決算書の表示

会社計算規則74条は、有形固定資産の項目として「構築物(ドック、橋、岸壁、さん橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物をいう。)」を、建物とは別に挙げています。貸借対照表では、構築物は建物とは別の科目で表示するのが一般的です。

企業会計の考え方では、償却は資産の使用実態に応じて毎期規則的に行うものです(会社計算規則5条2項の「相当の償却」)。税務上の耐用年数を会計上も使うのが中小企業の実務ですが、税務上の区分と決算書の表示はそれぞれのルールで判断するものであり、同じとは限りません。

銀行からの見え方

構築物は、銀行の見え方で次のような特徴があります。

観点構築物の特徴
担保評価舗装や塀は、不動産の担保評価で独立して大きく評価されることは少ない
償却費耐用年数が短く、取得後しばらくは償却費が利益を押し下げる
償却前利益償却費を足し戻すため変わらない
簿価早く減る。純資産の積み上がりが遅れる

たとえば土地を買って月極駐車場にする場合、舗装や照明、フェンスにかけた工事費は、利回りの計算では「投資額」に入りますが、担保としての価値はほとんど土地の評価だけで見られることが多いと考えてください。自己資金で負担する外構工事の比率が高いほど、手元資金は減り、償却費で利益も小さく見えます。返済能力の見方は減価償却費と銀行の見方を参照してください。

実務のチェックポイント

  1. 外構・舗装・フェンスなどを、建物本体と別の工事項目として見積書に記載してもらったか
  2. 舗装はアスファルトかコンクリートか、塀は構造を確認し、耐用年数表の細目に当てはめたか
  3. 整地・盛土・敷地拡張など、土地の取得価額になる部分を区分したか
  4. 擁壁や土留めの工事で、補修部分と新設・拡張部分を分けたか
  5. 耐用年数の短縮を考える場合、事前に承認申請が必要なことを確認したか
  6. 構築物の投資額と、担保評価・償却費による決算書の見え方を、取得前に試算したか

まとめ

  • 駐車場舗装はアスファルト10年・コンクリート15年、塀は構造により10〜30年など、構築物は建物と別の耐用年数で償却する
  • 土地そのものの改良は土地の取得価額になり、償却できない。敷地を広げる擁壁工事は土地と構築物に区分された裁決がある
  • フェンスは本体設備と別個の資産として、取得の日から事業に使われたと判断された裁決がある
  • 将来の撤去予定は耐用年数短縮の理由にならず、短縮は事前の承認が必要
  • 構築物は担保評価に反映されにくく、償却費は利益を押し下げる。投資額と決算書の見え方を取得前に確認する

外構工事の区分から、駐車場経営の収支と決算書の見え方まで、不動産投資家向けサービスでご相談いただけます。

よくある質問

月極駐車場のアスファルト舗装は何年で償却しますか?
耐用年数省令の別表第一では、構築物の「舗装道路及び舗装路面」のうち、アスファルト敷のものは10年、コンクリート敷・ブロック敷・れんが敷・石敷のものは15年とされています。舗装の下の整地や盛土など、土地そのものの改良にあたる部分は土地の取得価額となり、償却できない場合がある点に注意してください。
賃貸マンションの外構フェンスは、建物と一緒に償却してよいですか?
フェンスや塀は、建物とは別の構築物として、構造に応じた耐用年数で償却するのが基本です。たとえば金属造のへいは10年、コンクリートブロック造のへいは15年、鉄筋コンクリート造のへいは30年です。見積書で外構工事を建物本体と分けておくと、区分の根拠になります。
がけ地の擁壁や土留めの工事は、修繕費になりますか?
内容によります。昭和59年11月30日の裁決では、崖地の突出部分を削って敷地の有効面積を広げ、鉄筋コンクリートの防護設備を設けた工事について、修繕費の部分は認められず、土地の取得価額と構築物(防壁)の取得価額に計上すべきとされました。既存の擁壁を元の状態に直す補修とは区別して判断します。

※本記事は2026年10月18日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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