証憑・印紙・税務調査

過少申告加算税・重加算税・延滞税とは|割合、損金不算入、決算書の表示と銀行への影響

税務調査で申告漏れを指摘されると、足りなかった本税に加えて、過少申告加算税・無申告加算税・重加算税といった加算税と、納付が遅れた日数に応じた延滞税がかかります。不動産投資家・不動産事業者にとって痛いのは、税金の額そのものよりも、これらが経費にならず、現預金と純資産を直接減らすことです。

この記事では、加算税・延滞税の割合と、令和6年から始まった帳簿の不提示による加重措置を国税庁の公表資料で確認したうえで、法人と個人の税務上の扱い、決算書での表示(企業会計の基準)、銀行からの見え方、不動産投資の裁決事例を整理します。

この記事の結論
  • 過少申告加算税は、調査を受けた後なら原則10%(一部15%)。自主的な修正申告で軽くなり、調査の事前通知の前なら課されない
  • 隠蔽・仮装があれば重加算税(35%、無申告なら40%)。過去5年以内に重加算税等を課されていると10%加重される
  • 延滞税は2026年(令和8年)中は年2.8%、納期限の翌日から2か月を過ぎると年9.1%
  • 加算税・延滞税は、法人でも個人でも経費にならない。会計上は追徴税額に含めて処理する(企業会計基準第27号)
  • 銀行から見ると、純資産・現預金・債務償還年数が悪化し、重加算税は信用そのものに響く。修正申告後は自分から説明に行く

加算税・延滞税の全体像

加算税は、申告義務や納税義務が適正に果たされなかったことに対する行政上の制裁です。延滞税は、納付が遅れた期間に対する利息に近い性格のものです。性格が違うため、同じ修正申告でも両方がかかります。

種類かかる場面主な割合
過少申告加算税期限内に申告したが、税額が少なかった調査後の修正申告・更正で10%(一部15%)
無申告加算税期限内に申告しなかった調査後の期限後申告・決定で15%〜30%
重加算税隠蔽・仮装に基づいて過少申告・無申告をした35%(過少申告加算税に代えて)、40%(無申告加算税に代えて)
延滞税法定納期限までに本税を納めなかった2026年は年2.8%、2か月経過後は年9.1%

このほか、源泉所得税を期限までに納めなかったときの不納付加算税、印紙の貼り漏れに対する過怠税があります。過怠税については印紙の貼り漏れと過怠税で解説しています。

加算税・延滞税の割合:いつ修正申告するかで変わる

過少申告加算税

国税庁タックスアンサーNo.2026 確定申告を間違えたときによると、過少申告加算税の割合は修正申告のタイミングで次のように変わります。

修正申告のタイミング割合
調査の事前通知の前に、自主的に修正申告かからない
事前通知の後、調査による更正を予知する前5%(当初の申告納税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)
調査を受けた後の修正申告、または更正10%(同じく超える部分は15%)

無申告加算税

期限後申告になった場合は無申告加算税です(タックスアンサーNo.2024 確定申告を忘れたとき)。令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものは、調査を受けた後の期限後申告・決定の場合、納付税額のうち50万円までが15%、50万円超300万円までが20%、300万円超の部分が30%です。調査の事前通知の前に自主的に期限後申告をすれば5%に軽減され、法定申告期限から1か月以内の自主的な期限後申告で、期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合(期限までに全額納付している等)は課されません。

重加算税と、繰り返した場合の加重

売上を除外する、架空の経費を計上する、帳簿書類を改ざんするなど、課税の基礎となる事実を隠蔽・仮装し、それに基づいて申告していた場合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。さらに、平成28年度改正により、過去5年以内に同じ税目で無申告加算税(調査による期限後申告等に課されたもの)や重加算税を課されたことがあると、割合が10%加重されます(重加算税なら45%・50%。国税庁「加算税制度の見直し」についての説明資料)。

帳簿を出せないときの加重(令和6年1月から)

令和4年度改正で、帳簿の不保存や記載不備に対する加重措置が設けられました。国税庁の「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」によると、所得税・法人税・消費税の調査で、売上げ(業務に係る収入)に関する帳簿の提示を求められ、次に当たる場合に過少申告加算税・無申告加算税が加重されます。

  • 帳簿を提示しなかった、または帳簿への売上金額の記載が本来の2分の1未満:10%加重
  • 帳簿への売上金額の記載が本来の3分の2未満:5%加重

令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものが対象で、個人の不動産所得も含まれます。同じQ&Aでは、個人の賃貸業で家賃の振込口座の通帳を帳簿の代わりにする場合、私的な入出金と明確に区分し、賃貸期間・賃借人が摘要や契約書から確認できるときに限って帳簿として扱う、としています。通帳だけで済ませている個人オーナーは注意が必要です。

延滞税の割合と計算期間(2026年)

延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、本税に対してかかります。加算税には延滞税はかかりません。国税庁タックスアンサーNo.9205 延滞税についてでは、令和8年1月1日以後の期間の割合は次のとおりです。

納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.8%納期限の翌日から2か月を経過した日以後:年9.1%

修正申告で新たに納める税金は、修正申告書を提出した日が納期限です。提出と同時に納付しないと、2か月を過ぎた部分から割合が大きく上がります。

また、期限内申告をしていて、法定申告期限から1年を経過した後に修正申告や更正があった場合などは、偽りその他不正の行為により税を免れた場合を除き、一定の期間が延滞税の計算期間から除かれます。数年前の年分の修正でも延滞税が際限なく膨らむわけではありませんが、不正があればこの特例は使えません。

税務上の扱い:法人も個人も経費にならない

加算税・延滞税は、制裁や遅延の負担を経費で軽くすることを認めない趣旨から、法人・個人とも経費になりません。

項目法人個人(不動産所得)
法人税・所得税の本税(追徴分)損金不算入必要経費にならない
住民税の本税損金不算入必要経費にならない
事業税の追徴分損金算入(原則として修正申告書を提出した、または更正を受けた事業年度)個人事業税は必要経費
加算税・延滞税損金不算入必要経費にならない
地方税の延滞金損金不算入(納期限延長に係る延滞金を除く)必要経費にならない
固定資産税・印紙税など本来経費になる税の追徴分本税は損金。加算税・過怠税は損金不算入本税は必要経費。加算税・過怠税は経費にならない

法人の扱いは国税庁タックスアンサーNo.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期、個人の扱いは国税庁の確定申告書等作成コーナーの「租税公課」の説明(所得税法45条)で確認できます。

法人の決算では、加算税・延滞税を費用として計上しても、法人税の申告書(別表四)で所得に加算します。「経費で落としたつもり」で翌期の申告を作ると、そこでまた誤りが生じます。

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会計上の扱いと決算書の表示

税務上「損金にならない」ことと、決算書の「どこに表示するか」は別の問題です。企業会計の基準である企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」では、次のように定めています。

  • 過年度の所得に対する法人税等の追徴税額は、追加で徴収される可能性が高く合理的に見積もれる場合、誤謬に当たるときを除き、原則として損益に計上する
  • 追徴に伴う延滞税・加算税・延滞金・加算金は、追徴税額に含めて処理する
  • 法人税・地方法人税・住民税・事業税(所得割)の追徴税額は、損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」の次に、その内容を示す科目で表示する(重要性が乏しければ含めて表示できる)
  • 事業税の付加価値割・資本割の追徴税額は、原則として販売費及び一般管理費

つまり、法人税等の追徴に伴う加算税・延滞税は、原則として税引前当期純利益の下に「過年度法人税等」などの科目で表示され、営業利益・経常利益には影響しません。一方、消費税や固定資産税などに係る追徴分は、この基準の範囲外で、内容に応じて科目を検討することになります。また、過去の決算書の数字そのものが誤っていた(誤謬)場合は、別の取扱いになります。

どの科目・区分で表示するかは、追徴の内容と金額の重要性、会社が採用している会計の基準(中小企業の会計に関する指針など)によって判断が分かれます。税務上の損金算入の可否とは別に、決算書の表示は一般に公正妥当と認められる会計の基準(GAAP:一般に公正妥当と認められる会計基準)に沿って決める必要があるため、顧問税理士・会計の専門家と検討してください。税務と会計の考え方の違いは税務上の損金と企業会計(GAAP)の違いで整理しています。

銀行からの見え方

数字の面:純資産・現預金・債務償還年数が悪化する

追徴税額と加算税・延滞税は、そのまま現預金を減らし、当期純利益を通じて純資産を減らします。経費にならないので、税負担で軽くなることもありません。

著書『総額82億円 税理士投資家が明かす「買い続ける」ための決算書戦略』のモデルでは、債務償還年数を次の式で計算します。

(借入金 − 現預金)÷(経常利益 + 減価償却費 − 法人税等)

追徴があると、分子では現預金が減り、分母では法人税等が増えます。両方が同時に悪化する方向に動くため、決算期の直前に多額の追徴が重なると、その期の数字は大きく崩れます。営業利益や経常利益は守られても、返済能力の指標は傷みます。

信用の面:重加算税は「数字以上」に響く

過少申告加算税は、解釈の違いや計算誤りでも課されます。一方、重加算税は「隠蔽・仮装があった」と認定されたことを意味します。銀行の担当者にとって、決算書の信頼性そのものを疑う材料です。融資の審査で納税証明書や申告書一式の提出を求められれば、修正申告の事実は分かります。

修正申告をしたら、次の内容を整理し、次の決算書を出す前に自分から説明しておくのが基本です。

  • 何が指摘され、なぜ誤りが生じたのか(解釈の違いか、計算誤りか、記帳の不備か)
  • 追徴税額・加算税・延滞税の合計と、納付が完了したか
  • 再発防止策(記帳体制、証憑の保存、税理士とのチェック体制)
  • 資金繰りと次期の決算への影響

税務調査と銀行評価の関係は税務調査が来る会社・来ない会社でも解説しています。

判例・裁決事例

最高裁平成26年12月12日判決:延滞税の計算期間

加算税ではありませんが、延滞税の計算期間についての重要な最高裁判決があります。最高裁判所第二小法廷平成26年12月12日判決(平成25年(行ヒ)第449号、延滞税納付債務不存在確認等請求事件)は、相続税について減額更正の後に増額更正がされた事案で、増額更正により新たに納付すべきこととなった税額については、法定納期限の翌日から納期限までの期間の延滞税は発生しない、と判断しました(一次情報:裁判所 裁判例検索)。この判決の後、延滞税の計算期間の特例が見直され、減額更正の後に修正申告・増額更正があった場合の一定期間が計算期間から除かれるようになっています(No.9205)。

実務への示唆は、延滞税は「機械的に日数を掛けるもの」ではなく、計算期間の特例があるため、修正申告や更正の経緯によって額が変わりうることです。延滞税の通知額は、税理士と経緯に照らして確認する価値があります。

国税不服審判所 平成30年9月3日裁決:販売会社の従業員が作った虚偽の申告書

国税不服審判所 平成30年9月3日裁決は、会社員が平成28年1月に投資用の区分マンションを購入した事案です。販売を代理した会社の営業担当者から「確定申告書類の作成も代行する」と説明を受け、書類作成を任せたところ、従業員が取得日と賃貸開始日を平成27年12月と偽った平成27年分の還付申告書を作成し、本人は内容を確認しないまま押印して提出しました。税務署は、本人が取得時期を偽った申告書を作らせたとして、重加算税を課しました。

  • 争点:販売会社の従業員による虚偽の申告書の作成を、納税者本人の隠蔽・仮装行為と同視できるか
  • 判断:本人が従業員と不正な申告を共謀したとは認められず、従業員の行為を本人の行為と同視することはできないとして、重加算税の賦課要件を満たさないと判断した。一方で、過少申告について国税通則法65条の「正当な理由」があるとは認められないとして、過少申告加算税相当額を超える部分だけを取り消した
  • 実務への示唆:重加算税は免れても、本税・過少申告加算税・延滞税は残りました。「業者が作ってくれた」「中身を見ていなかった」は、申告の誤りの責任を消す理由にはなりません。物件の販売とセットで申告書の作成を代行するという話には、内容を自分で確認し、疑問があれば税理士に相談することが欠かせません

実務のチェックポイント

タイミング確認すること
日常家賃・付帯収入を帳簿に漏れなく記帳しているか。個人で通帳を帳簿代わりにしていないか
決算・申告前前期からの売上の増減、新規取得・売却の処理、取得時期と賃貸開始時期を確認したか
誤りに気づいたとき調査の事前通知の前なら自主的な修正申告で過少申告加算税はかからない。早いほど有利
調査の事前通知を受けたとき帳簿を遅滞なく提示できるよう準備したか(不提示は加算税の加重対象)
修正申告をするとき本税と延滞税を同時に納付したか(2か月を超えると割合が上がる)
決算加算税・延滞税を損金不算入として申告書で加算したか。決算書の表示区分を税理士と確認したか
銀行対応原因・金額・再発防止策・資金繰りへの影響を整理し、自分から説明したか

税務調査でどこを見られるかは不動産業の税務調査で見られるポイント、証憑の残し方は領収書がない支出の扱いもあわせてご覧ください。

まとめ

  • 加算税は、修正申告のタイミングで割合が大きく変わる。調査の事前通知の前なら過少申告加算税はかからない
  • 隠蔽・仮装があれば重加算税(35%・40%)。繰り返すと10%加重され、帳簿を出せない場合の加重もある
  • 延滞税は2026年中は年2.8%、2か月を超えると年9.1%。修正申告と同時に納付する
  • 加算税・延滞税は、法人でも個人でも経費にならない。会計上は追徴税額に含めて処理し、表示区分は会計の基準に沿って税理士と検討する
  • 銀行からは、純資産・現預金・債務償還年数の悪化として見え、重加算税は信用に響く。説明は自分から先に行う

税務調査への備えから、修正申告後の銀行への説明資料づくりまで、不動産投資家向けサービスでご相談いただけます。

よくある質問

税務調査の前に自分で間違いに気づいて修正申告すれば、加算税はかかりませんか?
税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はかかりません。事前通知を受けた後、調査による更正を予知する前に修正申告をした場合は、原則5%(一部10%)です。いずれの場合も、本税の納付が遅れた日数に応じて延滞税はかかります。
加算税や延滞税は、法人の損金や個人の必要経費になりますか?
なりません。法人では各種加算税・延滞税・延滞金(地方税の納期限延長に係る延滞金を除く)は損金不算入、個人でも国税の加算税・延滞税や地方税の延滞金・加算金は必要経費に算入できません。会計上は費用として計上しますが、法人税の申告では所得に加算します。
修正申告をすると、銀行の融資に影響しますか?
追徴税額と加算税・延滞税の分だけ現預金と純資産が減るため、債務償還年数や自己資本比率は悪化します。重加算税が課された場合は、不正があったという事実自体が信用に響きます。修正申告の事実は隠さず、原因と再発防止策、資金繰りへの影響を整理して担当者に先に説明するのが基本です。

※本記事は2026年10月18日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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