ご相談の内容
資産管理会社を設立し、FXを主な事業に、ほかに有価証券の運用やネット通販の事業も行っています。消費税は本則課税(原則どおりの計算方法)を選んでいます。FXの売買益は非課税だと思っていますが、スワップポイント(通貨間の金利差に相当する受取額)は非課税と不課税のどちらになるのか、というご相談です。
- 差金決済のFXなら、売買益もスワップポイントも「不課税(消費税の対象外)」とするのが一般的な実務
- 売買益も「非課税」ではなく「不課税」と整理されることが多い
- 本則課税では区分が課税売上割合に影響するため、有価証券の運用とも分けて集計する
回答
差金決済のFXは「資産の譲渡等」に当たらない
消費税の課税対象は、事業として対価を得て行う資産の譲渡・貸付け、役務の提供です(消費税法第2条第1項第8号、第4条第1項)。
FXが差金決済(売値と買値の差額だけを受け払いする方式)で、通貨の受渡しをしない取引であれば、外貨という資産を実際に引き渡しておらず、差額の金銭を受け払いするだけです。そのため資産の譲渡等に当たらず、売買益は不課税と考えられます。商品先物取引でも、差金決済のものは資産の譲渡等に該当しないとされています(消費税法基本通達9-1-24)。
スワップポイントも不課税とする整理が自然
スワップポイントは、経済的には金利差の調整ですが、元本の貸付けに対する利子ではありません。建玉(保有ポジション)に付随して差額として受け払いされるものなので、売買益と同様に不課税とする整理が自然と考えます。
ただし、スワップポイントを直接扱った法令・通達は見当たらず、非課税(利子に準ずる)とする見解もあります。
区分によって何が変わるか
| 区分 | 課税売上割合の計算 |
|---|---|
| 不課税(差金決済のFX) | 計算に含めない |
| 非課税とした場合 | 分母に入り、割合が下がる |
| 通貨の現受け・現渡し(支払手段の譲渡、非課税) | 計算から除く(消費税法施行令第48条第2項第1号) |
| 有価証券の譲渡(非課税) | 分母に譲渡対価の5%を算入(同条第5項) |
本則課税の場合、この区分は課税売上割合(売上全体に占める課税売上の割合)に影響し、ネット通販事業の仕入税額控除の額が変わり得ます。課税期間の課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上であれば、仕入税額は全額控除できます(消費税法第30条第2項)。
注意したいポイント
- 決済方法を約款で確認する:不課税とする根拠は「差金決済で資産の引渡しがない」という点です。ご利用中の業者の取引約款で決済方法を確認しておくと安心です。
- 現受け・現渡しがある場合は扱いが変わる:通貨を実際に受け渡す取引は、支払手段の譲渡として非課税になります。
- 有価証券の運用はFXと分けて集計する:有価証券の譲渡は非課税で、課税売上割合の分母に譲渡対価の5%が入ります。
課税売上割合の仕組みは土地を売ると課税売上割合が下がる仕組み、資産管理会社の全体像は資産管理法人のメリット・デメリットでも解説しています。
まとめ
- 差金決済のFXは、売買益もスワップポイントも不課税とするのが一般的な実務
- スワップポイントを直接定めた法令・通達はなく、非課税とする見解もある
- 本則課税では課税売上割合に影響するため、決済方法を確認し、有価証券の運用と区分して集計する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
