ご相談の内容
インボイス制度が始まった令和5年10月に登録して課税事業者になった、12月決算の小さな法人からのご相談です。売上は年に数百万円で、最近は取引先が個人のお客さまだけになり、今後も法人との取引が増える見込みはありません。インボイス登録を取り消して、令和9年の事業年度から免税事業者に戻れるのかを知りたいという内容です。
ここでは、令和7年12月期の売上が税込330万円程度の法人を例に説明します。
- 登録時に経過措置(課税事業者選択届出書を不要とする特例)を使っていれば、令和8年12月17日までに登録取消届出書を出すと、令和9年1月1日からの事業年度は免税事業者になる
- 期限を過ぎると、取消しの効力は令和10年1月1日からになる
- 令和5年当時に課税事業者選択届出書も出していた場合は、不適用届出書を令和8年12月31日までに出す必要がある
回答
登録取消届出書の期限
「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(登録取消届出書)は、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出すれば、その翌課税期間の初日から効力が生じます(消費税法57条の2第10項1号)。
| 決算期 | 免税に戻りたい事業年度 | 提出期限 |
|---|---|---|
| 12月決算 | 令和9年1月1日から | 令和8年12月17日 |
| 12月決算(期限を過ぎた場合) | 令和10年1月1日から | — |
所轄の税務署へ、郵送のほかe-Taxでも提出できます。
取消し後に免税事業者になるかの判定
登録が取り消されたあとに免税事業者になるかどうかは、基準期間(2期前の事業年度。令和9年12月期なら令和7年12月期)の課税売上高で判定します(消費税法9条1項)。基準期間に課税事業者だった場合は税抜で計算します。
- 例:税込330万円 × 100/110 = 300万円 → 1,000万円以下
特定期間(令和8年1月〜6月)の売上高も1,000万円を超えていなければ(消費税法9条の2)、免税事業者に該当します。
課税事業者選択届出書も出していた場合
令和5年当時に「消費税課税事業者選択届出書」(自ら課税事業者を選ぶための届出書)も提出していた場合は、登録取消届出書に加えて「消費税課税事業者選択不適用届出書」を令和8年12月31日までに提出する必要があります(消費税法9条5項・8項)。
この場合、選択期間中に税抜100万円以上の固定資産(調整対象固定資産)を取得して一般課税で申告していると、購入した課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までは免税事業者に戻れません。どちらの届出をしたかは、控えや税務署で確認できます。
注意したいポイント
- 免税になるとインボイスは発行できません。 ただ、取引先が個人のお客さまだけであれば、お客さまは仕入税額控除(支払った消費税を差し引く仕組み)を使わないため、影響はほとんどないと考えられます。
- 取消し前の事業年度は申告が必要です。 令和8年12月期は課税事業者のままなので、例年どおり消費税の申告が必要です。
- 期限は「15日前」。 年末ぎりぎりでは間に合いません。12月決算なら12月17日を目安に早めに準備しましょう。
インボイス登録の判断の考え方は法人設立前に知るべき消費税、免税・簡易課税に戻れない期間の数え方は高額特定資産の「3年縛り」でも解説しています。
まとめ
- 経過措置で登録した12月決算の法人は、令和8年12月17日までに登録取消届出書を出せば令和9年1月から免税に戻れる
- 免税になるかは基準期間の課税売上高(課税事業者だった期間は税抜)と特定期間で判定する
- 課税事業者選択届出書を出していたなら不適用届出書も必要。調整対象固定資産を取得していると戻れない期間がある
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
