ご相談の内容
組合などの法人で経理を担当しており、はじめて国債を購入しました。普通預金から1,000万円を支払い、明細には額面金額、経過利子、経過日数が書かれています。満期まで保有する予定ですが、購入時にどのような仕訳をすればよいのか、ネットで調べても分かりにくい、というご相談です。
(以下、額面1,000万円の国債を、国債の代金998万円+経過利子2万円の合計1,000万円で購入した例で説明します。)
- 支払額は「国債そのものの代金」と「経過利子」に分け、投資有価証券と未収利息で仕訳します
- 利払日には、受け取った利息のうち経過利子分を未収利息の取崩しに充て、残りを有価証券利息(収益)にします
- 満期保有の場合、額面との差額は償却原価法で毎期少しずつ収益に計上します
回答
購入時の仕訳
売買手数料などの別途費用がないとすれば、次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 9,980,000円 | 普通預金 | 10,000,000円 |
| 未収利息 | 20,000円 |
支払った1,000万円は、国債そのものの代金と経過利子の合計です。経過利子とは、前回の利払日から購入日までの利息を、売主に立て替えて支払ったものです。支払額から経過利子を差し引いた998万円が国債の取得価額になります。
- 満期まで保有し、1年を超える予定であれば、勘定科目は「投資有価証券」が一般的です
- 購入時に手数料を支払った場合は、その手数料も取得価額に含めます(法人税法施行令119条1項1号)
経過利子の処理
経過利子は、次の利払日に受け取る利息の前払分のような性格のため、「未収利息」(または「前払金」)で処理しておきます。次の利払日に受け取る利息は、前回の利払日以降の全期間分(経過利子分を含む)です。
受取時は、受け取った利息総額のうち2万円を未収利息の取崩しに充て、残りを「有価証券利息」(収益)とします。
購入時に経過利子を「有価証券利息」の借方(収益のマイナス)で処理する方法もあります。ただし、決算日が利払日より前に来る場合は、未収利息で処理するほうが分かりやすいです。
利息から差し引かれる税金
利息を受け取るときは、所得税(復興特別所得税を含めて15.315%)が差し引かれます。差し引かれた税額は「仮払税金」などで処理し、法人税の計算で所得税額控除(法人税から差し引く制度)の対象になります(法人税法68条)。控除できる額は、国債を保有していた期間に応じて計算する場合があります(法人税法施行令140条の2)。
額面との差額(償却原価法)
この例では、額面1,000万円に対して998万円で取得しているため、差額2万円が生じています。満期まで保有する国債は、この差額を満期までの期間に応じて毎期少しずつ取得価額に加算し、同じ額を収益に計上します(法人税法施行令139条の2、償却原価法)。各期の計上額は、満期日と決算期によって決まります。
注意したいポイント
- 支払総額をそのまま有価証券にしない:経過利子を含めた額で計上すると、取得価額も利息収入もずれてしまいます
- 手数料は取得価額に含める:別に費用処理しないよう注意します
- 差額は満期にまとめて計上しない:償却原価法により毎期の計上が必要です
- 源泉徴収された税額を忘れずに控除する:仮払税金として記録しておかないと、法人税の申告で控除を漏らしやすくなります
決算書の数字の整え方は、決算書を銀行に出す前のチェックポイントもあわせてご覧ください。
まとめ
- 国債の購入額は「代金」と「経過利子」に分け、投資有価証券と未収利息で仕訳する
- 利払日には経過利子分を未収利息の取崩しに充て、残りを有価証券利息とする
- 満期保有なら額面との差額は償却原価法で毎期計上し、源泉徴収税額は所得税額控除の対象になる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
