ご相談の内容
会社の携帯電話の料金は、翌月に口座から引き落とされ、そのときに手数料も差し引かれます。毎月は「通信費2,200円・支払手数料220円/普通預金2,420円」と仕訳しています。
決算月の分は、期末日に「通信費2,200円・支払手数料220円/未払金2,420円」と計上しようと考えていますが、まだ支払っていない手数料まで費用にしてよいのか不安です、というご相談です。
- 手数料を期末に未払金として計上してよいかは、その手数料を誰が、いつ請求するものかで決まる
- 携帯会社の決算月分の請求額に手数料が含まれていれば、ご提示の仕訳で差し支えない
- 引き落とし時に銀行が差し引く手数料なら、期末は通信費だけを計上し、手数料は翌期の費用とするのが原則
回答
費用にできるのは期末までに「債務が確定」したもの
法人税では、販売費や一般管理費などの費用は、期末までに債務が確定したものに限り、その期の損金(税務上の費用)になります(法人税法第22条第3項第2号)。
債務確定とは、次の3つをすべて満たすことをいいます(法人税基本通達2-2-12)。
- 期末までに債務が成立していること
- 支払いの原因となるサービスの提供などが済んでいること
- 金額を合理的に算定できること
手数料の請求元によって処理が分かれる
携帯会社の請求に含まれている場合
携帯会社が決算月分の利用料と一緒に手数料を請求しているのであれば、期末の時点で上の3つの条件を満たします。そのため、ご提示のとおり、通信費2,200円と支払手数料220円を未払金2,420円で計上して問題ありません。
銀行が引き落とし時に差し引く場合
銀行が翌月の引き落としのときに手数料を取る場合は、手数料の原因となる取引(引き落とし)が、期末の時点ではまだ発生していません。そのため、決算月は通信費だけを計上し、手数料は翌期の費用とします。この場合の仕訳は次のとおりです。
| 日付 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 決算月末 | 通信費 2,200円 | 未払金 2,200円 |
| 翌月(翌期)の引き落とし時 | 未払金 2,200円 | 普通預金 2,420円 |
| 〃 | 支払手数料 220円 |
どちらに当たるかの見分け方
携帯会社の請求書(明細)に、手数料が記載されているかで確認できます。
- 請求書に記載がある → 携帯会社の請求に含まれるもの(まとめて未払計上できる)
- 請求書に記載がなく、通帳上で別に差し引かれている → 銀行の手数料(翌期の費用)
注意したいポイント
- 少額でも原則に沿って処理する:金額が少額で、毎期同じ方法で処理している場合、どちらの処理でも所得への影響は期ずれ程度にとどまります。ただし、まだ発生していない手数料を見越して計上する処理は原則とは異なるため、上の区分に沿って処理するのがおすすめです
- ほかの翌月払いの経費も同じ考え方:決算月分の利用料を翌月に支払うものは、期末までにサービスの提供が済み、金額が決まっていれば未払金で計上できます。支払時にかかる手数料は、請求元を確認して判断しましょう
- 毎月の処理と決算の処理を混同しない:毎月は引き落とし時に手数料を計上していても、期末だけは「その時点で確定しているか」で区切る必要があります
期末をまたぐ支払いの処理は、前払いしたイベント出展料をキャンセルした場合の仕訳や前払いした研修費が翌年に返金される場合の処理も参考にしてください。
まとめ
- 費用にできるのは期末までに債務が確定したもの(法人税法第22条第3項第2号、法人税基本通達2-2-12)
- 携帯会社の請求額に手数料が含まれていれば、決算月に通信費と手数料をまとめて未払金で計上してよい
- 引き落とし時に銀行が差し引く手数料なら、決算月は通信費だけを計上し、手数料は翌期の費用とする。請求書の明細で確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
