所得税・確定申告

前払いした研修費が翌年に返金されることに。前払金と未収入金どちらで処理する?

ご相談の内容

青色申告をしている個人事業主からのご相談です。参加予定の研修会の参加費を数か月前にクレジットカードで支払い、前払金として記帳していました。ところが当日、会場準備を手伝うことになり、手伝った人は参加費が無料になるとのことで、参加費が返金されることに。返金は翌年になる見込みです。年末は前払金のまま申告してよいのか、未収入金に振り替えるべきかを知りたい、という内容でした。

結論
  • 前払金のままでも、未収入金に振り替えても、所得金額は変わらないため税務上はどちらでも問題ない
  • 実態をより正確に表すのは、返金が決まった日に未収入金へ振り替える方法
  • 最終的に負担が生じていないので、研修費(経費)は計上しないのが正しい

回答

前払金と未収入金の違い

前払金は、これから受けるサービスの代金を先に払ったときに使う科目です。今回は研修会当日に参加費が無料と決まり、その時点で「サービスの前払い」から「返してもらう権利(返金を受け取る債権)」に性質が変わっています。

この「本来の営業以外の取引で、まだ受け取っていないお金」を表す科目が未収入金です。売上代金の未回収分である売掛金とは区別して使います。

どちらの方法でも所得は同じ

前払金のままにする方法でも、年末時点で資産として計上されている点は同じです。経費(研修費)も計上されないため、所得計算の結果は変わりません。

必要経費は、年末までに支払義務が確定したものを計上するのが原則です(所得税法第37条、所得税基本通達37-2)。今回は最終的に負担が生じていないので、経費にしない処理で正しいといえます。

記帳の流れ

時期借方貸方
カードで支払ったとき前払金未払金
カード代金の引落し未払金普通預金
研修会当日(無料が決まった日)未収入金前払金
返金を受けたとき普通預金未収入金

注意したいポイント

  • 返金が預金への振込ではなく、カード会社経由の取消し(次回請求額との相殺など)で行われる場合、返金時の仕訳は「未払金/未収入金」になります。
  • カード代金を事業用口座以外から支払っている場合、引落し時の貸方は普通預金ではなく事業主借(事業とは別の個人のお金から出したことを示す科目)を使います。
  • 青色申告決算書の貸借対照表には「未収入金」の欄がないため、空欄の行に科目名を書き加えて期末残高を記載してください。
  • 消費税の課税事業者であっても、前払金の段階では仕入税額控除の対象になりません。今回は研修というサービスの提供を無償で受けたため、控除する仕入税額は生じません。

前払いした費用の扱いは、短期前払費用の特例と不動産賃貸業でも解説しています。

まとめ

  • 前払金のままでも未収入金に振り替えても、所得金額は変わらない
  • 実態に合うのは、返金が決まった日に未収入金へ振り替える方法
  • 決算書には未収入金の行を書き加え、返金の方法(振込かカード取消しか)に合わせて仕訳する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

前払いした費用の返金が翌年になる場合、年末は前払金のままでよいですか?
前払金のままでも、未収入金に振り替えても、年末に資産として計上され経費も計上されない点は同じなので、所得金額は変わらず税務上はどちらでも問題ありません。実態をより正確に表すのは、返金が決まった時点で未収入金に振り替える方法です。
青色申告決算書の貸借対照表に「未収入金」の欄がありません。
空欄の行に科目名「未収入金」を書き加えて、期末残高を記載してください。

※本記事は2026年10月19日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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