所得税・確定申告

絵を描く仕事の資料として車を買ったら、経費にできる?運転は家族の場合

ご相談の内容

イラストや漫画など、絵を描く仕事をしている個人事業主(青色申告)です。創作の資料として車を買うことを考えていますが、自分は運転できず、運転するのは家族です。車は自分の名義で、購入代金も自分が払いますが、ガソリン代・車検代・維持費などは家族が払う予定です。この場合、車の購入費だけでも経費にできるのでしょうか、というご相談です。

結論
  • 車の購入費を「資料費」として、購入した年に一括で経費にすることはできません
  • 創作の資料として実際に使っている部分が明らかなら、その部分を減価償却で経費にできる可能性があります
  • 自分は運転せず家族が主に使う前提では私的利用が中心と見られやすく、家族が負担した維持費は経費になりません

回答

1. 車は「資料費」でも一括で経費にはできない

車は取得価額が10万円以上の減価償却資産(購入費を耐用年数に応じて数年に分けて経費にする資産)にあたります。そのため、名目を資料費としても、一括では経費にできません(所得税法49条、国税庁タックスアンサーNo.2100)。

車の種類耐用年数
普通自動車(新車)6年
軽自動車(新車)4年
中古車上記より短い年数で計算

なお、青色申告者が40万円未満の資産を一括で経費にできる特例(租税特別措置法28条の2)もありますが、車はこの金額を超えることがほとんどです(特例の適用で2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満)。

2. 家族の私的利用と兼ねる場合は、業務部分だけ

家族の私的な利用と兼ねる車の場合、経費にできるのは、業務に必要な部分を明らかに区分できるときに、その部分に限られます(所得税法45条1項1号、所得税法施行令96条、所得税基本通達45-2)。

今回のようにご自身は運転せず、主に家族が使う前提だと、税務署からは私的な利用が中心と見られやすいと考えられます。経費にする場合は、次のような記録を残し、業務での利用割合を合理的に説明できるようにしておくことをおすすめします。

  • 取材や資料撮影のために車を使った日と内容の記録
  • 車を描いた原稿や、資料として撮影した写真

業務での利用が少なければ、経費にできる割合も小さくなります。ほとんど認められない場合もあり得ます。

3. 誰が負担したかで経費になるかが決まる

ガソリン代・車検代・維持費などのうち、家族が負担したものはご自身の経費にはなりません。経費にできるのは、ご自身が負担した費用に限られるためです(所得税法37条)。

一方、車の名義がご自身で、購入代金もご自身が支払っているのであれば、購入費だけを対象として、業務での利用割合に応じた減価償却費を計上することは可能です。

費用負担する人ご自身の経費になるか
車の購入代金ご自身業務利用割合に応じて減価償却で経費にできる可能性あり
ガソリン代・車検代・維持費家族なりません

注意したいポイント

  • 「資料費」という名目では一括経費にならない:勘定科目の名前ではなく、資産の中身で判断されます
  • 利用割合の根拠を残す:取材や撮影の記録、車を描いた原稿などがないと、業務での利用を説明しにくくなります
  • 買わずに済む方法も検討する:資料として車を見るだけであれば、レンタカー代や取材のための交通費として、その都度経費にするほうが説明しやすい場合もあります。購入するかどうかとあわせて検討するとよいでしょう

創作の仕事を始めたときの税金の基本は作家デビューが決まったら、税金は何から始める?、車両費の按分の考え方は車両費・ガソリン代は経費になる?もご覧ください。

まとめ

  • 車の購入費は資料費として一括で経費にはできず、業務で使う部分を減価償却で経費にするのが基本
  • 自分は運転せず家族が主に使う車は私的利用が中心と見られやすく、取材・撮影の記録などで業務利用割合を説明できるようにしておく
  • 家族が負担した維持費は経費にならない。資料として見るだけなら、レンタカー代などをその都度経費にする方法もある

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

資料として買った車は、少額減価償却資産の特例で一括して経費にできますか?
青色申告者が40万円未満の資産を一括で経費にできる特例(租税特別措置法28条の2)はありますが、車はこの金額を超えることがほとんどです。2026年3月31日までに取得した資産については、特例の対象は30万円未満です。
ガソリン代や車検代を家族が払っている場合、自分の経費にできますか?
家族が負担した費用は、ご自身の経費にはなりません。経費にできるのは、ご自身が負担した費用に限られます(所得税法37条)。車の名義も購入代金の支払いもご自身であれば、購入費だけを対象に、業務での利用割合に応じた減価償却費を計上することは可能です。

※本記事は2026年10月21日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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