ご相談の内容
農業を営む個人事業主の方からのご相談です。田んぼがぬかるんで作業しにくくなったため、砂を入れて補修し、数万円の費用を現金で支払いました。この費用は経費にできるのか、どのように仕訳すればよいのかを知りたいという内容です。
- ぬかるんだ田んぼを元の状態に戻すための砂の費用は、修繕費としてその年の必要経費にできると考えられる
- 1回の費用が20万円未満であれば修繕費として処理できる
- 土地の性質を大きく改良して価値を高める工事は、土地の取得価額に加える
回答
仕訳
たとえば費用が3万円で、現金で支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
青色申告決算書(農業所得用)や収支内訳書では、「修繕費」の欄に記入します。
修繕費になると考えられる理由
1. 通達の例示に近い支出だから
所得税基本通達37-11では、修繕費に含まれる費用の例として、現に使用している土地の水はけを良くするために砂利・砕石等を敷く費用が挙げられています。ぬかるんだ田んぼに砂を入れ、元の作業しやすい状態に戻す支出は、これに近いものと考えられます。
2. 金額が20万円未満だから
所得税基本通達37-12では、1回の修理等の費用が20万円未満であれば修繕費として経費にできるとされています。数万円程度の補修であれば、この基準を下回ります。
注意したいポイント
- 土地を改良する工事は資産になります。 客土(他の場所から土を運び入れること)などで土地の性質を大きく改良し、価値を高める工事であれば、経費にはせず土地の取得価額に加えます。小さな金額でぬかるみを補修するだけなら、修繕費で差し支えないと考えられます。
- 農業以外に使った分は経費になりません。 自宅の庭など、農業以外の用途の土地に使った分があれば、その分は除きます。
- 消費税の課税事業者の場合(消費税を納める義務がある事業者)は、この支出は課税仕入れ(消費税の計算で差し引ける仕入れ)になります。
- 本則課税(原則どおりの計算方法)では、仕入税額控除のために適格請求書(インボイス)の保存が必要です
- 支払先がインボイスを発行できない事業者の場合の経過措置(控除できる割合の段階的な引下げ)は、令和8年10月1日から80%から70%に見直されています
- 免税事業者や簡易課税(売上をもとに納税額を計算する方法)を選んでいる方は、この点を気にする必要はありません
- 経理方式で金額の書き方が変わります。 税込経理か税抜経理かによって仕訳の金額が変わるので、ご自身の経理方法に合わせてください。
修繕費と資本的支出の分かれ目は、建物でも同じ考え方を使います。詳しくは修繕費と資本的支出の違いと判定フローや、土地に関する工事を扱った造成費・地盤改良費・擁壁工事は土地か建物か構築物かもご覧ください。
まとめ
- ぬかるんだ田んぼを元に戻すための砂の費用は、修繕費として必要経費にできると考えられる
- 1回20万円未満なら修繕費。土地の性質を大きく改良する工事は土地の取得価額になる
- 課税事業者で本則課税なら、インボイスの保存と経過措置の割合(令和8年10月から70%)に注意
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
