ご相談の内容
中古住宅の購入にあたり、親から頭金の援助を受けることになりました。ところが振り込まれた金額は聞いていた額より多く、頭金の500万円に加えて「お祝い」として200万円が上乗せされていました。お祝い分は家具家電の購入に使う予定ですが、購入は来年になるかもしれず、余れば手元に残したいと考えています。お祝い分に贈与税はかかるのか、年をまたぐなら一度親に返せばよいのか、子ども(親から見て孫)の教育費として一部を渡せばよいのか、というご相談です。
- 頭金とは別に受け取ったお祝いは、原則として贈与税の対象
- 家具家電に使う予定でも、いったん親に返しても、子どもに渡しても、課税を避けるのは難しい
- 頭金は「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の要件を満たし、贈与税の申告をすれば非課税になる
回答
頭金は非課税の特例を使える
頭金の500万円は、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」(租税特別措置法70条の2)の要件を満たせば非課税となります。
| 住宅の種類 | 非課税の上限額 |
|---|---|
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 |
適用を受けるには、中古住宅の耐震要件、受け取る人の所得要件、翌年3月15日までの入居見込みなどを満たしたうえで、贈与税の申告をすることが必要です。申告をしないと適用されない点に注意してください。
省エネ等住宅に該当し、お祝いの200万円も物件の購入代金に充てるのであれば、700万円全体が非課税となり得ます。
家具家電の購入費は対象外
家具家電の購入費は、住宅の取得資金に含まれません。
扶養義務者(親など生活を支える義務のある人)からの生活費は非課税です(相続税法21条の3第1項2号)。ただしこれは、必要な都度、直接その支払いに充てる場合に限られます。まとめて受け取って翌年に使う分や、余って手元に残す分は課税対象となります(相続税法基本通達21の3-6、タックスアンサーNo.4405)。
贈与税額の目安
同じ年に他の贈与がなく、18歳以上の人が親から受け取ったものであれば、お祝い200万円にかかる贈与税の目安は次のとおりです。
- 200万円−基礎控除110万円=90万円
- 90万円×特例税率10%=9万円
返金や子どもへの振込みでは減らない
- いったん親に返す:贈与が成立した後に合意で返還した場合は、原則として当初の贈与はなかったことにはなりません。さらに、返金が親への新たな贈与とみられるおそれもあります。
- 受け取ったお金から子どもに渡す:受け取った200万円から子どもに一部を振り込んでも、受け取った人の贈与税は減りません。子どもへの別の贈与が生じるだけです。
孫の教育費を非課税にするには、祖父母が必要な都度、学校などへ直接支払う方法があります。なお、教育資金の一括贈与の非課税特例(租税特別措置法70条の2の2)は適用期限が2026年3月31日とされていたため、それ以降の新たな贈与に使えるかは最新の情報で確認が必要です。
注意したいポイント
- 非課税でも申告は必要:住宅取得等資金の非課税は、税額がゼロになる場合でも、贈与税の申告をしなければ適用されません。申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
- お祝い分の使い道で結論が変わる:お祝い分を物件の購入代金に充てる場合と、家具家電に使う場合とでは扱いが異なります。何に使ったかが分かるよう、契約書や領収書を保管しておきましょう。
- 援助を受ける前に金額と使い道を決めておく:これから援助を受ける場合は、住宅の取得資金として受け取る金額を事前に親と決めておくと、意図しない課税を避けやすくなります。
親から住宅資金を借りる場合の考え方は親から無利息で住宅資金を借りる場合、不動産と贈与税の全体像は不動産を贈与するときの税金もあわせてご覧ください。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 頭金とは別に受け取ったお祝いは、原則として贈与税の対象。家具家電の購入費は住宅取得資金の非課税の対象外
- いったん親に返しても、子どもに渡しても、すでに成立した贈与の課税を避けるのは難しい
- 頭金は住宅取得等資金の非課税特例の要件を満たし、申告すれば非課税。省エネ等住宅でお祝い分も購入代金に充てれば全体が非課税になり得る
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
