ご相談の内容
子どもが契約者・被保険者・受取人になっている医療保険の保険料を、親の口座から支払っています。毎月の保険料は親から子への贈与になるのか、子どもが入院して給付金を受け取ったときはどうなるのか、また給付金の受取人が親になっている場合はどうなのか、というご相談です。
- 親が負担している保険料は親から子への贈与にあたります。ただし、ほかの贈与と合わせて年110万円以下なら贈与税はかかりません
- 子ども自身の病気やけがで受け取る入院給付金などは非課税で、保険料を親が負担していても贈与税の対象になりません
- 受取人が親でも、親は直系血族のため非課税です。死亡保険金が付いている場合は別に確認が必要です
回答
保険料を親が払う場合
契約者が子どもで、保険料を親の口座から支払っている場合、その支払額は親から子への金銭の贈与と考えられます。
暦年課税(1年ごとに計算する方式)には年110万円の基礎控除があります(相続税法第21条の5、租税特別措置法第70条の2の4)。子どもがその年に親から受けたほかの贈与と保険料の合計が110万円以下であれば、贈与税も申告も不要です。
なお、親が亡くなる前の一定期間内の贈与は相続財産に加算されます。この期間は、2024年1月1日以後の贈与から段階的に7年へ延長されています。
子どもが入院給付金などを受け取る場合
ご自身の病気やけがを理由に受け取る給付金は、所得税法施行令第30条により非課税です(国税庁タックスアンサーNo.1750)。また、相続税法第5条は、病気・けがによる給付で死亡を伴わないものを、贈与とみなす対象から外しています。このため、保険料を親が負担していても、贈与税の対象にはなりません。
受取人が親の場合
被保険者(保険の対象となる人)の配偶者・直系血族(親子など)・生計を一にする親族が受け取る給付金も、所得税基本通達9-20により非課税として扱われます。親は直系血族にあたるため、親が受け取っても非課税です。
親がその給付金を子どもの治療費として渡す場合は、扶養義務者が必要な都度支払う治療費として、通常は贈与税がかかりません(相続税法第21条の3)。
| ケース | 所得税 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 親が保険料を負担 | - | 贈与にあたる(年110万円以下なら非課税) |
| 子が入院給付金を受け取る | 非課税 | かからない |
| 親が入院給付金を受け取る | 非課税 | かからない(治療費として渡す場合も通常かからない) |
注意したいポイント
- 110万円はほかの贈与と合計で判定:同じ年に親から生活費以外の資金援助などを受けていれば、保険料と合わせて判定します
- 相続前の贈与加算に注意:親が亡くなる前の一定期間内の贈与は相続財産に加算されます
- 死亡保険金が付いている場合は扱いが異なる:保険料を実際に誰が負担したかによって、相続税・贈与税・所得税のいずれかの対象になるため、別途確認が必要です
贈与と相続の関係は、生前贈与と相続の新ルールで詳しく解説しています。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 親が払う子どもの保険料は贈与にあたるが、ほかの贈与と合わせて年110万円以下なら贈与税はかからない
- 病気やけがで受け取る入院給付金などは、子が受け取っても親が受け取っても原則非課税
- 死亡保険金が付いている保険は、保険料負担者によって課税関係が変わるため別に確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
