ご相談の内容
夫の単独名義で中古住宅を買い、太陽光パネル・蓄電池・エコキュートを設置する予定です。設置費用のうち300万円は、妻が自分の親から贈与を受けて施工会社に支払い、残りの一部は夫が負担することを考えています。妻は働いていて夫の扶養には入っていません。この場合の贈与税の扱いを知りたい、というご相談です。
- 妻が親から300万円の贈与を受ければ妻に贈与税がかかります(暦年課税で19万円)。夫名義の家への設置なので、住宅取得等資金の非課税特例は原則として対象外です
- エコキュートなど建物と一体の設備は夫の財産になると考えられ、妻が費用を負担すると妻から夫への贈与とされるおそれがあります
- 負担を抑えるには、設備ごとに負担者と所有者を分ける、または相続時精算課税を選ぶ方法が考えられます
回答
妻が親から受ける300万円の贈与税
贈与税は、受け取った人ごとに1年間の合計額で計算し、世帯で合算はしません。親からの別の100万円が夫への贈与であれば、妻の計算には含めません。妻への贈与で同じ年のものであれば合算します。
暦年課税(年110万円の基礎控除がある通常の方式)で計算します。親からの贈与で妻が18歳以上であれば、特例税率(直系尊属から受ける贈与に適用される低めの税率)を使えます。
| 妻がその年に親から受けた贈与 | 贈与税 |
|---|---|
| 300万円のみ | (300万円-110万円)×10%=19万円 |
| 300万円+100万円 | (400万円-110万円)×15%-10万円=33.5万円 |
住宅取得等資金の非課税特例(租税特別措置法70条の2)は、贈与を受けた本人が所有する家屋が対象です。夫単独名義の家に設置する今回は、原則として対象外です。
設備の所有者は誰になるか(付合)
ここは特に注意が必要です。付合(ふごう)とは、建物に取り付けられた物が建物の一部になることです(民法242条)。
- エコキュートや屋根一体型の太陽光パネルなど建物と一体となる設備は、所有者である夫の財産になると考えられます。その費用を妻が負担すると、妻から夫への贈与(相続税法9条)とされるおそれがあります
- 架台設置の太陽光パネルや据置型の蓄電池など取り外せる設備であれば、契約書で妻の所有と明確にして、妻の資産と整理できる余地があります
夫が一部を負担する場合
夫の負担分が、夫の所有となる設備(エコキュートなど)の代金に充てられるのであれば、自分の財産の購入なので贈与にはなりません。妻の所有する設備に充てる場合は、夫から妻への贈与となり、その年の妻の贈与額に合算されます。
注意したいポイント
負担を抑える方法としては、次の2つが考えられます。
- 設備ごとに分ける:建物と一体の設備は夫が、取り外せる設備は妻が負担・所有するよう分ける
- 相続時精算課税を選ぶ:妻が、親からの贈与について相続時精算課税(親が60歳以上の場合に選択でき、年110万円の基礎控除と累計2,500万円の特別控除がある方式。国税庁タックスアンサーNo.4103)を選ぶ
2の相続時精算課税は、一度選ぶとその親からの贈与は暦年課税に戻せません。また、基礎控除(110万円)を超える部分は、将来の相続のときに相続財産へ加算されます。
見積書や契約書の名義だけでなく、誰が所有し、誰が負担したかを一致させておくことが大切です。不動産と贈与の関係は、不動産を贈与するときの税金や夫婦の共有名義と借入も参考になります。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 妻が親から受けた300万円には妻に贈与税がかかり、夫名義の家なので住宅取得等資金の非課税特例は原則使えない
- 建物と一体の設備は夫の財産になるため、妻が負担すると妻から夫への贈与とされるおそれがある
- 設備ごとに負担者・所有者を分けるか、相続時精算課税を選ぶことで負担を抑えられる場合がある
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
