ご相談の内容
前期から代表取締役が続けて就任している株式会社で、新しい事業年度が始まってまもなく、株主の書面決議で「翌年の特定の日に役員賞与を支給する」と決めた、というご相談です。前期の決算を承認する定時株主総会は、この決議より後に開く予定です。この場合、事前確定届出給与の「職務執行開始日」は、事業年度の開始日、決議日、定時株主総会の日のどれになるのか、また届出書はいつまでに出せばよいのかを知りたい、という内容でした。
- 前期から続けて就任している役員の職務執行開始日は、定時株主総会の日
- 総会より前に決議した場合の届出期限は、決議日から1か月を経過する日(事業年度開始から4か月を経過する日が上限)
- 届出どおりに支給しないと、原則として全額が損金不算入になる
回答
事前確定届出給与とは、役員に支給する賞与の支給日と金額を事前に税務署へ届け出て、そのとおりに支給することで、法人の損金(税務上の経費)として認められる仕組みです。
職務執行開始日は「定時株主総会の日」
役員の職務執行期間は、通常、定時株主総会から次の定時株主総会までの期間と考えます。法人税基本通達9-2-16でも、職務執行開始日は定時株主総会の開催日等をいうとされています。
前期から続けて就任している役員であれば、前期の決算を承認する定時株主総会の日から新しい職務執行期間が始まります。翌年に支給する賞与はこの期間の職務に対するものと考えられるため、事業年度の開始日や決議日ではなく、定時株主総会の日が職務執行開始日になります。
届出期限の決まり方
届出期限は法人税法施行令第69条第4項第1号で定められています。
- 原則は、株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日
- ただし、決議日が職務執行開始日より後であれば、職務執行開始日から1か月を経過する日
- さらに、その日が事業年度開始日から4か月を経過する日より後であれば、4か月を経過する日が期限
今回のように、決議日が定時株主総会(職務執行開始日)より前であれば、1の「決議日から1か月を経過する日」が期限です。これが4か月を経過する日より前であれば、その日がそのまま期限になります(国税庁タックスアンサーNo.5211参照)。
例で確認
事業年度が4月1日に始まる会社を例にすると、次のようになります。
| 項目 | 日付(例) |
|---|---|
| 事業年度の開始日 | 4月1日 |
| 書面決議の日 | 4月20日 |
| 定時株主総会(職務執行開始日) | 6月下旬 |
| 決議日から1か月を経過する日 | 5月20日 |
| 事業年度開始から4か月を経過する日 | 7月31日 |
| 届出期限 | 5月20日 |
注意したいポイント
- 定時株主総会で役員給与を決議し直す場合は、その総会の決議日から1か月を経過する日が期限になる可能性があります。迷う場合は、先に行った決議を基準に、その1か月以内に提出しておくのが安全です。
- 届出どおりの支給が必要です。届け出た支給日・金額と実際の支給が異なると、原則として全額が損金不算入(経費として認められないこと)になります。
- 届出後に内容を変える場合は、変更届出の期限(同条第5項)にも注意してください。
役員報酬全体の決め方は、役員報酬の決め方|法人税・所得税・社会保険料のバランスと、融資への影響で解説しています。
まとめ
- 続けて就任している役員の職務執行開始日は、事業年度の開始日ではなく定時株主総会の日
- 総会前に決議したなら、届出期限は決議日から1か月を経過する日(4か月経過日が上限)
- 決議し直す可能性があっても、早いほうの期限で出しておき、届出どおりに支給する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
