ご相談の内容
月額制のサービスを提供していて、お客様への請求と集金を集金代行業者(決済サービス会社)に任せています。料金は前払いで、翌月分の請求を当月中旬に確定させ、当月下旬にお客様の口座から引き落とされ、翌月上旬に代行業者からまとめて入金されます。サービス提供前の請求なので売掛金とも言いにくく、まだお金を受け取っていないので前受金とも言いにくい。どう仕訳すればよいか、というご相談です。
- 請求確定時は仕訳不要。お客様の口座から引き落とされた時点で「未収入金/前受金」
- 代行業者から入金されたら「普通預金・支払手数料/未収入金」
- サービスを提供した月に(月額契約なら原則として毎月末日)「前受金/売上」
回答
仕訳の流れ
たとえば「10月分のサービス料金を、9月中旬に請求確定、9月下旬に引落し、10月上旬に入金」という流れであれば、次のようになります。
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 9月中旬:請求確定 | 仕訳なし | |
| 9月下旬:お客様の口座から引落し | 未収入金 | 前受金 |
| 10月上旬:代行業者から入金 | 普通預金・支払手数料 | 未収入金 |
| 10月末:サービス提供 | 前受金 | 売上 |
請求確定時:仕訳は不要
請求を確定させた段階は、まだお客様からお金を受け取っておらず、サービスも提供していません。売上も前受金も生じていないため、仕訳は不要です。
引落し時:お客様から受け取ったものとして扱う
お客様の口座から引き落とされた時点で、代金は集金代行業者の手元にあります。事業者の口座には届いていませんが、業者は事業者の代わりに受け取っているにすぎません。そのため、お客様から代金を受け取ったものとして扱います。
- 貸方:前受金(サービス提供前に受け取った代金)
- 借方:未収入金(業者から後で受け取れる債権)
入金時:未収入金を消し、手数料を計上
業者から入金されたら、未収入金を消します。手数料が差し引かれている場合は、その差額を「支払手数料」とします。
手数料の消費税の扱いは契約の内容によって異なります(決済代行の手数料や仲介手数料は、原則として課税)ので、明細や契約書をご確認ください。
サービス提供時:売上を計上
売上は、サービスを提供した月に計上します。月額料金のように期間に応じて提供するサービスは、提供期間に対応して収益を計上するのが原則です。根拠は、個人事業主であれば所得税基本通達36-8、法人であれば法人税基本通達2-1-21の2以下です。
注意したいポイント
- 決算日をまたがなければ簡便な処理も可能:引落し日から入金日までの間に決算日をまたがないのであれば、引落し時の仕訳を省略しても差し支えありません。その場合は、入金時に「普通預金・支払手数料/前受金」とまとめる処理も考えられます。
- 決算日をまたぐときは正確に:決算日をまたぐ場合は、期末時点の未収入金と前受金を正しく計上する必要があります。前受金を売上にしてしまうと、まだ提供していないサービスの分まで利益が出てしまいます。
- 件数が多ければ月単位でまとめる:お客様ごとではなく、業者の集金明細の合計額で月単位にまとめて仕訳すると、事務負担を減らせます。
収益の計上時期の考え方は、家賃の例ですが家賃収入の計上時期|前受家賃・未収家賃の扱いもあわせてご覧ください。
まとめ
- 請求確定時は仕訳不要。引落し時に「未収入金/前受金」、入金時に「普通預金・支払手数料/未収入金」
- 売上はサービスを提供した月に「前受金/売上」で計上する(期間対応が原則)
- 決算日をまたがなければ引落し時の仕訳を省略できるが、またぐ場合は期末の未収入金と前受金を正しく計上する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
