ご相談の内容
本業の会社のほかに、副業でも給与を受け取っている会社員の方からのご相談です。副業の給与は年に数十万円。給与所得の住民税は本業の会社の給与から天引きされると聞き、会社に届く通知書から副業の収入額が分かってしまうのではないかと心配しています。ふるさと納税で住民税を下げれば、副業が知られるリスクを抑えられるのかも知りたいという内容です。
- 本業の会社に届く住民税の通知書には税額だけが載り、副業の給与額そのものが読み取れる可能性は低い
- ただし、税額が本業の給与から見込まれる額より高くなるため、副業を推測される余地は残る
- ふるさと納税で住民税を下げても、このリスクを確実に抑えることはできない
回答
まず確定申告が必要
給与を2か所から受け取っていて、年末調整を受けない副業の給与収入が20万円を超える場合は、所得税の確定申告が必要です(所得税法第121条第1項、国税庁タックスアンサーNo.1900)。副業の給与が年に数十万円あれば、申告が必要になります。
住民税は合算され、本業の会社が天引きする
住民税は、両方の勤務先から市区町村に提出される給与支払報告書をもとに、合算して計算されます。そのうえで、副業分を含めた税額を主たる勤務先が給与から天引き(特別徴収)するのが一般的です(地方税法第321条の3、第321条の4)。給与所得について、ご自身で納付する普通徴収が認められないのは、ご理解のとおりです。
通知書から分かること・分からないこと
| 通知書 | 載っている内容 | 副業の給与額が分かるか |
|---|---|---|
| 勤務先用(特別徴収義務者用) | 税額のみ。所得の内訳は記載しない様式 | 通常は分からない |
| 本人用 | 所得の内訳まで記載 | 分かる(勤務先経由で受け取る場合は取扱いに注意) |
勤務先用の通知書に副業の給与額が直接載ることは、通常ありません。ただし、税額は本業の給与から見込まれる額より高くなります。担当者が税額の違いに気付けば、他の収入があると推測される余地は残ります。
ふるさと納税の効果と限界
ふるさと納税(地方税法第37条の2、第314条の7、タックスアンサーNo.1155)は、住民税額を下げる効果はあります。ただし、次の点に注意が必要です。
- 確定申告が必要な方は、ワンストップ特例(申告不要で控除を受ける仕組み)を使えません。寄附金控除も確定申告書に記載します
- 控除される金額には所得に応じた上限があり、自己負担2,000円を除いた全額が戻るのはその範囲内に限られます
- 税額は医療費控除や住宅ローン控除などでも変わるため、税額の調整で発覚を防げる保証はありません
注意したいポイント
- 本人用の通知書の受け取り方。 本人用の通知書を勤務先経由で受け取る場合は、所得の内訳が載っている点に注意してください。
- 自治体ごとの運用。 通知書の様式や特別徴収の運用の細部は、お住まいの市区町村にご確認ください。
- 副業の可否は就業規則の問題。 副業をしてよいかどうかは税金ではなく勤務先の就業規則で決まります。あわせて確認しておくと安心です。
副業が給与ではなく事業や不動産の所得の場合は、住民税の扱いが変わります。会社員の不動産投資は会社にバレる?住民税の普通徴収の仕組みもあわせてご覧ください。
まとめ
- 副業の給与が年20万円を超えると確定申告が必要。住民税は合算され、本業の会社が天引きする
- 勤務先用の通知書は税額のみで、副業の給与額が直接分かる可能性は低いが、税額の多さから推測される余地は残る
- ふるさと納税で住民税を下げても、副業の発覚を確実に防ぐことはできない
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
