ご相談の内容
大学生でアルバイトをしています。今年のバイト代は120万円ほどで、通勤にバスを使っているため交通費が年18万円ほど支給され、合計すると138万円になります。いわゆる「136万円の壁」を超えてしまうのではないか、年収の壁や扶養の判定で交通費はどう扱われるのか、収入によって自分で払う必要が出てくるものは何か、というご相談です。
- 交通費が「通勤手当」として支給されているなら、税金(所得税・住民税)の扶養判定では交通費を含めず、給与の額で判定する
- 親の健康保険の扶養の判定では、交通費を含めた見込み年収で判定する
- 例の金額(給与120万円+交通費18万円)なら、税金・健康保険とも扶養のままでいられる見込み
回答
税金と社会保険で、交通費の扱いが違う
| 税金(所得税・住民税) | 親の健康保険の扶養 | |
|---|---|---|
| 交通費(通勤手当) | 含めない(非課税分) | 含める |
| 例の判定額 | 給与120万円 | 138万円 |
| 基準(2026年) | 給与だけなら収入136万円以下(合計所得62万円以下) | 19歳以上23歳未満は年150万円未満 |
| 例の結果 | 扶養の範囲内 | 扶養の範囲内の見込み |
税金面:通勤手当は非課税
バスなど公共交通機関の通勤手当は、月15万円まで非課税です(所得税法9条1項5号、所得税法施行令20条の2、タックスアンサーNo.2582)。非課税分は給与収入に含まれません。
令和8年分(2026年分)は、給与所得控除の最低額が74万円です。給与120万円から74万円を差し引いた給与所得(収入から必要経費相当額を引いた額)は46万円で、扶養親族の所得要件である合計所得62万円以下(給与だけなら収入136万円以下)に収まります。「136万円の壁」は、この税金の扶養の基準を指していると考えられ、交通費を含めずに判定します。
本人が12月31日時点で19歳以上23歳未満であれば、親は特定扶養控除(タックスアンサーNo.1180)を受けられると考えられます。
本人の所得税は、基礎控除などにより課税されない見込みです。給与から所得税が差し引かれている場合は、年末調整や確定申告で還付を受けられます。
社会保険面:交通費を含めた見込み年収で判定
親の健康保険の扶養(被扶養者)は、通勤手当を含めた今後1年間の見込み年収で判定します。2025年10月以降、19歳以上23歳未満の方の被扶養者の収入要件は150万円未満に引き上げられました。138万円であれば、扶養に入ったままとなる見込みです。
なお、昼間の学生は、原則としてアルバイト先の社会保険の加入対象外です。
住民税
住民税は前年の所得に課税されるため、2026年の収入は2027年度の住民税に反映されます。給与120万円の場合、所得割(所得に応じてかかる部分)は、勤労学生控除(タックスアンサーNo.1175)を受ければ課税されない可能性があります。ただし、均等割(定額でかかる部分)は非課税となる基準が市区町村で異なるため、課税される場合があります。
注意したいポイント
- 交通費が支給されない場合:交通費を自分で負担している場合、交通費は収入にも経費にも含まれません。
- 「壁」は制度ごとに別物:税金と社会保険とでは、基準額も交通費の扱いも異なります。どの「壁」の話なのかを分けて考えることが大切です。
- 見込みが変わったら早めに確認:シフトが増えて年収の見込みが変わったときは、健康保険の扶養について親の勤務先の健康保険組合に早めに確認しましょう。
アルバイトに加えて副業の収入もある学生の扶養と確定申告は学生の配達副業とPR案件、レシートなしの経費や無料の食事は申告が必要?もあわせてご覧ください。
まとめ
- 通勤手当(公共交通機関は月15万円まで非課税)は、税金の扶養判定には含めず、給与の額で判定する
- 親の健康保険の扶養は、交通費を含めた見込み年収で判定する(19歳以上23歳未満は150万円未満)
- 住民税は翌年度に課税され、勤労学生控除で所得割がかからない可能性があるが、均等割は市区町村によって課税される場合がある
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
