ご相談の内容
アルバイトをしながら、配達アプリでのフードデリバリーや、飲食店を紹介するPR案件で副収入を得ている学生です。配達で使うバイクのガソリン代やスマホ代はほとんど記録が残っていませんが、今からでも経費にできるのか。PR案件で受け取った報酬や、投稿を条件に無料で提供された食事は申告が必要なのか。紹介報酬の一部を友人に渡した分は経費になるのか。そして、親の扶養から外れてしまわないか、というご相談です。
- 副業の所得(収入−経費)が20万円を超える場合は確定申告が必要。20万円以下でも住民税の申告は必要
- レシートがなくても、明細や稼働記録から合理的に再現できる範囲で経費にできる。投稿を条件にした無料の食事も収入に含める
- 例のような金額なら所得税はかからない見込みで、申告すれば源泉徴収分が還付される。税法上の扶養と健康保険の扶養は判定が別で、健康保険は加入先への確認が必要
回答
確定申告が必要かどうか
年末調整を受けた給与が1か所だけで、それ以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です(所得税法121条、タックスアンサーNo.1900)。ここでいう「所得」は、収入から経費を差し引いた金額です。
ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要です。また、アルバイト先が複数あって年末調整を受けていない場合は、金額にかかわらず申告が必要になることがあります。
配達やPRの所得は、継続性や規模からみて通常は「雑所得(業務に係るもの)」になります(タックスアンサーNo.1500)。
記録がない経費は「合理的に再現」する
バイクのガソリン代・整備費、スマホ代は、レシートがなくても今から経費に計上できます。次のような資料から支出を集計してください。
- クレジットカード・銀行の明細
- スマホ料金の利用履歴
- 配達アプリの稼働記録(走行距離や稼働日数)
私用と兼用の費用は、走行距離や業務での使用時間など合理的な基準で按分(仕事で使った割合だけを経費にすること)します(所得税法施行令96条、所得税基本通達45-2)。計算の根拠はメモとして残し、今日からはレシートの保管と記録を始めましょう。
友人に渡した紹介報酬
紹介報酬を得るために、事前に友人へ分配することを約束していたのであれば、業務に関連する支出として経費にできる余地があります(所得税法37条)。約束したメッセージの履歴や振込記録を保存し、現金で渡した分は日付・金額・相手を記したメモを作り、可能であれば友人から受領書をもらっておくと安心です。単なるお礼や贈与と見られると、経費として認められない可能性があります。
PR報酬と無料提供の食事
PR案件の振込報酬は申告が必要です。投稿を条件に無料で提供された食事も、お金以外の経済的利益として、通常の価格(メニュー表示額など)で収入に含めます(所得税法36条)。金額が正確に分からない場合は、メニュー価格や依頼時のやり取りから見積もり、その根拠を記録しておけば足ります。
金額の例で見る税金と扶養(令和8年分)
アルバイト給与110万円、副業収入32万円(経費ゼロと仮定)、本人が19歳以上23歳未満の場合で考えます。
| 項目 | 計算・判定 |
|---|---|
| 給与所得 | 110万円−給与所得控除74万円=36万円 |
| 合計所得 | 36万円+32万円=68万円 |
| 所得税 | 基礎控除104万円以下のためゼロ。申告すれば源泉徴収された所得税が還付される |
| 住民税 | 基礎控除43万円のため、差し引き25万円に課税される可能性がある |
| 親の扶養控除 | 合計所得が62万円を超えるため対象外 |
| 親の特定親族特別控除 | 合計所得62万円超123万円以下なので対象。所得に応じて段階的に決まり、68万円なら63万円 |
| 親の健康保険の扶養 | 19〜22歳は収入基準が年150万円未満。収入合計142万円は下回るが、加入先の確認が必要 |
確定申告をすれば、住民税の申告も兼ねることになります。
注意したいポイント
- 健康保険の扶養は加入先しだい:事業収入等がないことを要件としている場合や、副業収入から経費を差し引けるかなど、算定方法は保険者によって異なります。親の勤務先の健康保険組合へ確認してください。
- 控除額は所得の合計で変わる:令和8年分の基礎控除などは、給与所得と副業の所得の合計額によって段階的に変わるため、経費を引いた後の金額で確認が必要です。
- 過去の年分の申告漏れ:過去にも申告が必要な所得があった場合は、年分ごとに申告の要否を判定し、必要に応じて期限後申告を検討します。
領収書がない支出のメモの残し方は領収書がない支出は経費になる?、車両費の按分の考え方は車両費・ガソリン代の業務使用割合の按分もあわせてご覧ください。
まとめ
- 副業の所得(収入−経費)が20万円を超えれば確定申告が必要。20万円以下でも住民税の申告は必要
- レシートがなくても明細や稼働記録から合理的に見積もって経費にでき、投稿条件の無料の食事も通常の価格で収入に含める
- 税法上の扶養(扶養控除・特定親族特別控除)と健康保険の扶養は基準が別。健康保険は親の加入先に確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
