ご相談の内容
子どもが生まれてから子ども名義の口座をつくり、親が通帳と印鑑を管理して、お祝い金やお年玉の一部、手当、家計からの積立てを入金してきました。必要なときには引き出して使い、また貯める、の繰り返しです。子どもが就職するときに就職活動費や学費、車の購入費をこの口座から出し、その後、通帳・印鑑・カードを子どもに渡しました。年110万円以上入金した年もあったかもしれず、何も申告していませんが大丈夫か、というご相談です。
- 通帳・印鑑・カードを子に渡した時点で、その残高を贈与したと考えるのが一般的
- 渡した時点の残高が110万円以下なら贈与税はかからず申告も不要。超えていれば、渡した年分の申告が必要
- 過去に年110万円以上入金した年があっても、それだけで贈与税がかかるわけではない。必要な都度支払った教育費・生活費も非課税
回答
親が管理していた間は「名義預金」
贈与は「あげる」「もらう」という双方の合意で成立します(民法549条)。親が通帳・印鑑を管理していた間は、名義が子どもでも実質は親の財産(いわゆる名義預金)と判断されやすく、入金した年ごとに贈与があったとはされにくいと考えられます。
なお、お祝い金やお年玉は本来子どもがもらったものですので、その部分はもともと子どもの財産と考えられます。
贈与になるのは「渡した時点の残高」
通帳・印鑑・カードを子に渡した時点で、その残高を贈与した(無償で譲った)と考えるのが一般的です。
| 渡した時点の残高 | 扱い |
|---|---|
| 110万円以下 | 贈与税はかからず、申告も不要 |
| 110万円超 | 渡した年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要(基礎控除110万円、タックスアンサーNo.4408) |
18歳以上の子が親から受けた贈与には「特例税率」(一般の税率より低い税率)が適用されます。
それまでに引き出した教育費・生活費
それまでに引き出した就職活動費や学校の費用は、扶養義務者(親)が子の生活費・教育費として必要な都度支払ったものですので、贈与税はかかりません(相続税法21条の3第1項2号、タックスアンサーNo.4405)。
就職に必要な車の購入費も、実際に車の購入に充てられ、通常必要と認められる範囲であれば同様と考えられます。ただし、生活に通常必要なものとして車が該当するかは個別の事情によるため、判断が分かれる余地があります。
注意したいポイント
- 問題になりやすいのは将来の相続:名義預金が税務調査で問題になりやすいのは、主に将来の親の相続のときです。今後は子ども自身が預金を管理していれば、子どもの財産であることを説明しやすくなります。
- 相続前の贈与は加算されることがある:相続開始前の一定期間内に相続人へ贈与した財産は、相続財産に加算される制度があります。2024年以降の贈与からは、加算期間が段階的に7年へ延長されています(タックスアンサーNo.4161)。
- 記録を残しておく:渡した日と、その時点の残高が分かる通帳の記録を残しておくと、後から説明しやすくなります。
通帳の動きが税務調査でどう見られるかは通帳の動きと税務調査、生前贈与の加算ルールは生前贈与と相続の新ルール|7年加算と相続時精算課税もあわせてご覧ください。
M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。
事業承継・M&A支援を見るまとめ
- 親が管理していた子ども名義の預金は名義預金とされやすく、通帳などを渡した時点の残高で贈与を判断するのが一般的
- 渡した時点の残高が110万円以下なら申告不要、超えていれば翌年2月1日〜3月15日に申告する
- 必要な都度支払った教育費・生活費は非課税。今後は子ども自身が預金を管理しておくと、将来の相続で説明しやすい
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
