ご相談の内容
夫婦でマンションを購入し、共有名義にする予定です。頭金と諸費用として、妻の口座から夫の口座にまとまった資金を移して支払いました。妻の持分割合は、移した金額を物件価格で割った割合でよいのか、それとも諸費用分を除いて物件代金に充てた分だけで計算するのか、というご相談です。
- 持分割合は、物件代金のうち各人が実際に負担した金額の割合で決めるのが原則
- 夫の口座を経由していても、妻の資金のうち物件代金に充てた部分が妻の負担額になる(諸費用分は分けて考える)
- 持分と負担額がずれると、差額が贈与とみなされるおそれがあるため、登記前に内訳を確認して割合を確定させる
回答
持分は「実際に負担した物件代金」で決める
共有名義の持分割合は、物件の購入代金のうち、各人が実際に負担した金額の割合で決めるのが原則です。妻の資金がいったん夫の口座を経由していても、そのうち物件代金に充てた部分が妻の負担額となります。
ずれると「みなし贈与」になるおそれ
持分割合と実際の負担額がずれると、多く負担した人から少ない人へ、差額分の贈与があったとみなされます(相続税法9条、みなし贈与=お金を直接あげていなくても、実質的に財産が移ったとして贈与税の対象になること)。
たとえば5,000万円のマンションで、妻の持分を20%とした場合、妻は1,000万円分の持分を取得したことになります。実際の物件代金の負担が750万円であれば、差額250万円は夫から妻への贈与と扱われる可能性があります。
計算例
5,000万円のマンションで、妻の資金のうち物件代金に充てた額ごとの持分は次のとおりです。
| 妻が物件代金に充てた額 | 妻の持分 |
|---|---|
| 1,000万円(諸費用なし) | 1,000万円÷5,000万円=20% |
| 750万円 | 750万円÷5,000万円=15% |
| 700万円 | 700万円÷5,000万円=14% |
移した資金のうち諸費用にいくら使ったかで割合が変わるため、通帳や領収書で内訳を確認してください。
諸費用の扱い
- 取得に直接かかった費用:仲介手数料や登記費用など、物件の取得に直接かかった費用(付随費用)は、取得価額に含めて持分を計算する考え方もあります。その場合は、分母を「物件代金+付随費用」、分子を「妻の負担額(付随費用分を含む)」として計算します。
- 計算に含めない費用:ローン保証料や火災保険料などは、この計算に含めないのが一般的です。
妻が負担した諸費用をどちらの方法で扱うか、夫婦の間で整理しておくとよいでしょう。
注意したいポイント
- ローンの借り方で前提が変わる:上記は、残りをローンで夫が単独で借り入れ、返済も夫が行う前提です。夫婦の連帯債務やペアローン(夫婦それぞれが別々に借りるローン)であれば、各人の借入負担額も持分計算に含めます。
- 土地も同じ割合が一般的:マンションは通常、建物と土地の権利(敷地権)がセットのため、建物と同じ割合で土地も共有とするのが一般的です。
- 住宅ローン控除にも影響する:住宅ローン控除も持分や負担割合に応じて計算されます。なお、住宅ローン控除の計算では、売買契約書に貼る印紙、仲介手数料、不動産取得税・登録免許税などは住宅の取得対価に含まれない点に注意が必要です。
- 登記前に確定させる:持分は登記で決まります。登記前に割合を確定させておくことをおすすめします。
夫婦の共有名義と借入の関係は夫婦の共有名義と借入|連帯債務・ペアローンと持分のずれ、共有名義の税金全般は共有名義の不動産の税金と注意点もあわせてご覧ください。
代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。
不動産投資家向け税務・融資支援を見るまとめ
- 持分割合は、物件代金のうち各人が実際に負担した金額の割合で決めるのが原則
- 夫の口座を経由した妻の資金も、物件代金に充てた分は妻の負担。諸費用分は分けて考え、付随費用を含める方法もある
- 持分と負担額がずれると差額がみなし贈与となるおそれがあるため、ローンの借り方も踏まえて登記前に割合を確定させる
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
