ご相談の内容
家族で経営している同族会社で、昼食費を会社の経費にしてよいのか、というご相談です。社長や家族役員、従業員の日々の昼食代、取引先と一緒にとる昼食など、会社が負担する食事代はさまざまです。どこまでが経費として認められるのかを知りたい、という内容でした。
- 経費になるかは「誰の」「どのような目的の」昼食かで決まる。同族会社かどうかで扱いは変わらない
- 役員・従業員の日常の昼食は、4つの要件を満たせば福利厚生費。満たさなければ給与
- 役員自身の日常の昼食代を会社が負担すると、原則として役員給与(経済的利益)の扱いになる
回答
昼食代が会社の損金(税務上の経費)になるかは、食事の目的と対象者で分かれます。
| 昼食の種類 | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 役員・従業員の日常の昼食(要件を満たす) | 福利厚生費。給与課税なし | 所得税基本通達36-38の2、タックスアンサーNo.2594 |
| 役員・従業員の日常の昼食(要件を満たさない) | 会社負担分が給与(役員なら役員給与) | 法人税法第34条第1項第1号、同法施行令第69条第1項第2号 |
| 残業・宿日直のときに現物で出す食事 | 給与課税なし | 所得税基本通達36-24、タックスアンサーNo.2597 |
| 取引先との打合せを兼ねた昼食 | 会議費または交際費 | 租税特別措置法関係通達61の4(1)-21、租税特別措置法第61条の4 |
日常の昼食を福利厚生費にする4つの要件
次の要件をすべて満たせば、福利厚生費として経費になり、給与としても課税されません。
- 全従業員を対象とする
- 弁当業者等へ会社が直接支払う(現金支給や、食事手当として給与に上乗せするのは不可)
- 本人が食事の価額の半分以上を負担している
- 会社の負担額が月額7,500円(税抜)以下である
要件を満たさない場合
会社負担分が給与になります。役員の場合は役員給与ですが、毎月おおむね一定額の経済的利益であれば、定期同額給与として損金に算入できます(法人税法第34条第1項第1号、同法施行令第69条第1項第2号)。この場合は源泉徴収が必要です。
取引先との昼食
会議の際に通常提供される程度の昼食は会議費です。それ以外の飲食でも、1人当たり10,000円以下(令和6年4月1日以後の支出分)であれば、一定の書類を保存することを条件に交際費から除かれます(租税特別措置法第61条の4、同法施行令第37条の5)。交際費になった場合も、資本金1億円以下の法人は年800万円まで損金に算入できます。
注意したいポイント
- 役員だけが対象で従業員は対象外という昼食補助は、福利厚生費とは認められにくくなります。家族役員中心の同族会社では特に注意が必要です。
- 役員が一人でとる昼食など、業務と関係のない日常の食事は、上記のどれにも当たらなければ経費にならず、役員給与として扱われる可能性があります。
- 会議費や交際費として処理する場合は、領収書に参加者や目的をメモしておくと安心です。
交際費の考え方は不動産賃貸業の交際費|法人の800万円枠・飲食費1万円基準、役員報酬の全体像は役員報酬の決め方でも解説しています。
まとめ
- 昼食代の扱いは「誰の」「何の目的の」食事かで決まり、同族会社かどうかは関係ない
- 日常の昼食は4つの要件を満たせば福利厚生費、満たさなければ給与(役員給与)
- 取引先との昼食は会議費・交際費。参加者と目的の記録を残す
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
