相続・贈与

親のお金を子ども名義の口座で預かると、贈与税?相続税?

ご相談の内容

親から、自分名義の定期預金があり、満期になったので利率のよい預け先に替えたいと頼まれました。親は操作できないため、自分が以前から使っている口座で定期預金にするつもりです。あくまで親のお金の置き場所で、介護施設への入居などの際に使うつもりですが、親が亡くなったら相続税になるのか、それとも贈与税の話になるのか、というご相談です。自分の定期預金も同じ口座にあるため、その点の注意も知りたいとのことでした。

結論
  • 預かっているだけなら、その資金は親の財産(名義預金)として扱われ、亡くなったときに相続財産に含めるのが原則
  • 現時点で贈与税がかかる話にはならない
  • 自分の定期と混ざらないよう、区別できる管理と記録を残しておく

回答

贈与は「あげる」「もらう」の合意で成立する

贈与は、あげる側の「あげる」という意思と、もらう側の「もらう」という意思が合って初めて成立します(民法549条)。「親のお金の置き場所」と考え、親の介護費用などに充てるつもりであれば、贈与は成立していないと考えられます。

このように名義だけ子になっていて、実質は親のお金である預金を名義預金といいます。税務調査では、次の点から誰の財産かを判断します。

  • お金の出どころ
  • 誰が管理していたか
  • 誰のために使われたか

相続税がかかるかどうか

相続税は、遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にかかります(国税庁タックスアンサーNo.4152)。超えなければ申告は不要です。ただし、ほかに兄弟姉妹などの相続人がいる場合は、この預金も遺産分割の対象になります。

自分のために使うと贈与になり得る

一方、この資金を自分の生活費や資産形成に使った場合は、その時点で贈与とみなされる可能性があります。その場合、年110万円を超える部分に贈与税がかかります。また、相続開始前一定期間内の贈与は相続財産に加算されます。この期間は2024年以降の贈与から段階的に7年に延長されています。

注意したいポイント

自分の定期預金と同じ口座で管理する場合は、次の点に注意するとよいでしょう。

  • 親の資金は自分の定期とは別の定期にして、金額や預入日が区別できるようにしておく
  • 元の定期の満期金が、いつ、いくら、どの口座から移ったかがわかる通帳や取引明細を保管しておく
  • 「親の資金を預かっている」旨のメモや預り証を作り、親と日付を入れて署名しておく
  • 引き出して親の施設費用などに使ったときは、領収書などを残しておく

なお、ここまでの説明は、元の子ども名義の定期の出どころが親の資金で、親が管理していたことが前提です。以前に「あげる」と言われて受け取り、自分で管理していたといった経緯があれば、すでに贈与が成立していた可能性もあり、判断が変わります。

通帳の動きが税務調査でどう見られるかは通帳の動きと税務調査、生前贈与の7年加算は生前贈与と相続の新ルールで詳しく解説しています。

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まとめ

  • 預かっているだけの親のお金は名義預金として親の財産のままで、相続時に相続財産に含める
  • 自分の生活費などに使うと、その時点で贈与とみなされる可能性がある
  • 自分の預金と区別し、資金の移動と使い道の記録、預り証を残しておく

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

親のお金を自分名義の定期預金で預かっていると、贈与税がかかりますか?
親の介護費用などに充てるために預かっているだけで、あげる・もらうという合意がなければ贈与は成立しておらず、贈与税はかかりません。その預金は親の財産(名義預金)として、親が亡くなったときに相続財産に含めます。
預かったお金を自分の生活費に使うとどうなりますか?
その時点で贈与とみなされる可能性があり、年110万円を超える部分に贈与税がかかります。また、相続開始前一定期間内の贈与は相続財産に加算され、この期間は2024年以降の贈与から段階的に7年に延長されています。

※本記事は2026年10月16日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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