相続・贈与

妻名義の住宅ローンを夫のお金で繰り上げ返済すると贈与税?名義変更なら?

ご相談の内容

住宅ローンは妻の名義で組んでおり、自宅の土地・建物も妻の持分が大半(例えば妻3/4、夫1/4)です。夫が相続で受け取ったお金で繰り上げ返済できそうですが、夫から妻への年110万円を超える入金には贈与税がかかると知りました。婚姻期間は10年未満です。名義をすべて夫に変更すれば、贈与税はかからずに済むのでしょうか、というご相談です。

結論
  • 夫の資金で妻名義のローンを繰り上げ返済すると、原則として返済額が妻への贈与とみなされる
  • 名義を夫へ無償で変更するだけでは、今度は妻から夫への持分の贈与となり、贈与税を避ける方法にならない
  • 持分の時価での売買や、夫から妻への貸付けなら贈与にならない形にできるが、それぞれ注意点がある

回答

他人の借金を返すと「みなし贈与」になる

相続税法第8条では、対価を支払わずに他人に借金を返してもらった場合、その利益を贈与により取得したものとみなします。妻のローンを夫が返済するケースはこれに当たります。

暦年課税の基礎控除は年110万円で、これを超える部分に贈与税がかかります(タックスアンサーNo.4402)。なお、婚姻期間20年以上の夫婦間で使える居住用不動産の配偶者控除(相続税法第21条の6)は、婚姻期間が10年未満のため使えません。

名義変更の方法で扱いが変わる

方法贈与税の扱い主な注意点
妻の持分を無償で夫に移す持分の時価相当額が妻から夫への贈与贈与税を避ける方法にならない
夫が妻の持分を時価で買い取り、代金を繰り上げ返済に充てる(売買)代金が時価に見合う限りかからない返済額が持分の時価より多ければ差額が妻への贈与、少なければ差額が夫への贈与(相続税法第7条)となり得る

売買の場合は、さらに次の点を検討する必要があります。

  • 妻に譲渡所得(売却益への所得税)が生じることがあり、配偶者への譲渡には居住用財産の3,000万円特別控除が使えない
  • 登録免許税・不動産取得税の負担
  • 金融機関の承諾(担保に入っている物件の名義変更)
  • 妻の住宅ローン控除への影響

夫から妻への「貸付け」とする方法

別の方法として、夫から妻への貸付け(借用書を作成し、実際に返済を受ける)とすれば、贈与には当たりません。ただし、返済の実績がないと贈与と判断されるおそれがあります。

注意したいポイント

  • 「名義を変えればよい」は誤解しやすい:無償の名義変更は、贈与の向きが逆になるだけです。
  • 売買は時価が基準:時価と代金・返済額がずれると、その差額が贈与になり得ます。
  • 貸付けは実態が大切:借用書を作るだけでなく、実際に返済し、その記録を残しておくことが必要です。
  • 実行前に試算する:持分の時価や売却益の有無によって有利不利が変わります。具体的な金額で試算してから実行することをおすすめします。

夫婦の共有名義とローンの関係は夫婦の共有名義と借入、不動産の贈与にかかる税金は不動産を贈与するときの税金でも詳しく解説しています。

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まとめ

  • 夫の資金で妻名義のローンを返すと、原則として返済額が妻への贈与とみなされる
  • 無償の名義変更では妻から夫への持分の贈与になり、贈与税は避けられない
  • 時価での持分の売買や夫から妻への貸付けも選択肢だが、譲渡所得や返済実績などを含めて事前に試算する

この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。

よくある質問

妻名義の住宅ローンを夫が繰り上げ返済したら、贈与税はかかりますか?
原則としてかかります。相続税法第8条により、対価を払わずに借金を返してもらった利益は贈与とみなされ、年110万円の基礎控除を超える部分に贈与税がかかります。婚姻期間20年未満なら、居住用不動産の配偶者控除も使えません。
家の名義をすべて夫に変更すれば贈与税はかからなくなりますか?
無償で名義を移すだけでは、妻の持分の時価相当額が妻から夫への贈与になります。夫が妻の持分を時価で買い取り、その代金で繰り上げ返済する売買の形なら、代金が時価に見合う限り贈与税はかかりませんが、譲渡所得や登録免許税、金融機関の承諾などの検討が必要です。

※本記事は2026年10月16日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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