ご相談の内容
業務委託で働く個人事業主です。取引先に勧められてインボイス登録をしましたが、確定申告の際に消費税(地方消費税)の申告も必要だと知らず、税務署から通知が届きました。過去2年分の申告を求められていますが、所得税の確定申告では売上を少なく申告していました。修正申告をしなければいけないのか、少ない金額のまま書いてもわからないのか、追徴課税が心配、というご相談です。
- 過少だった年分の所得税は正しい金額で修正申告、未提出の消費税(地方消費税を含む)は正しい金額で期限後申告をするのがおすすめ
- 過少な金額のまま提出するのはおすすめできない。消費税の申告や取引先の記録から売上は把握される
- 調査の事前通知前に自ら申告すれば加算税は軽くなり、2割特例で消費税の負担も抑えられる可能性がある
回答
地方消費税は国の消費税とまとめて税務署へ
インボイス登録により、消費税の課税事業者(消費税を納める義務がある事業者)となっています。地方消費税は国の消費税と同じ申告書でまとめて税務署に申告・納付するもので、別に県へ申告する必要はありません。届いた通知は、この消費税申告が未提出であることのお知らせと考えられます。
過少な金額のままでは発覚する可能性が高い
消費税の申告を行うと、売上の金額が税務署に把握されます。また、業務委託先の帳簿や支払記録、銀行の入出金記録などからも売上は確認できます。そのため、所得税の申告と食い違えば発覚する可能性は高いです。
売上を意図的に隠していたと判断されると、重加算税(仮装・隠蔽があった場合の重い加算税)が課されるおそれがあります(国税通則法第68条)。
自ら申告し直せば負担を抑えられる
税務調査の事前通知を受ける前に自分で申告し直せば、負担を抑えられます。
| 手続き | 調査の事前通知前に自ら行った場合の加算税 |
|---|---|
| 所得税の修正申告 | 過少申告加算税はかからない(国税通則法第65条) |
| 消費税の期限後申告 | 無申告加算税が5%に軽減(同法第66条) |
なお、延滞税(納付が遅れた日数に応じてかかる利息のようなもの)は別途かかります(同法第60条)。今回の通知が調査の事前通知ではなく、申告を促すお知らせ(行政指導)であれば、上記の軽減が受けられると考えられます。
「2割特例」で消費税を計算できる
インボイス登録をきっかけに課税事業者となった人は、いわゆる2割特例を選択できます。売上にかかる消費税額の2割を納付税額とする制度で、事前の届出は不要、申告書に付記するだけで適用できます(平成28年改正法附則第51条の2、タックスアンサーNo.6496)。仕入や経費が少ない業種では、負担を大きく減らせる可能性があります。
注意したいポイント
- 調査の事前通知を受けてからでは軽減が受けられない:届いた書類が申告を促すお知らせなのか、調査の通知なのかを確認し、早めに対応しましょう。
- 延滞税は日数に応じて増える:申告と納付が遅れるほど負担が増えます。
- 一度に払えないときは相談を:納付が一度に難しい場合は、税務署に分割納付について相談することもできます。
加算税と延滞税の仕組みは過少申告加算税・重加算税・延滞税とは、修正申告の手続きは修正申告と更正の請求で解説しています。
まとめ
- 過少だった所得税は修正申告、未提出の消費税は期限後申告で、正しい金額に直す
- 調査の事前通知前に自ら申告すれば、過少申告加算税はかからず、無申告加算税は5%に軽減される
- 2割特例を使えば消費税の負担を抑えられる可能性があり、正しく申告し直すのが結果的に最も負担が少ない
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
