ご相談の内容
法人でカフェを営んでおり、店舗のプロデュース業務を外部に依頼して100万円を支払いました。この100万円は全額経費にできるのでしょうか、というご相談です。開業準備のための支出や、外部の専門家に支払う一時的な費用をどう処理するかは、開業時によくある疑問です。
- 業務の内容と支払時期によっては、全額をその期の経費(損金)にできる
- 一部または全部が資産計上となり、数年に分けて経費化する場合もある
- 契約書や請求書の内訳ごとに区分しておくことが大切
回答
法人であることを前提に、業務の内容ごとに整理します。
| 業務の内容 | 処理 | 経費になる時期 |
|---|---|---|
| 開業後の運営改善(メニュー見直し・集客の助言など) | その期の損金 | 支払った事業年度(完了済みの場合) |
| 開業前の立ち上げ支援 | 開業費(繰延資産) | 任意償却。開業した期に全額も可 |
| 内装設計・デザイン監修・設備選定 | 資産の取得価額 | 耐用年数に応じて減価償却 |
| 継続的なノウハウ提供の対価(加盟金のようなもの) | 繰延資産 | 原則5年で均等償却 |
1. 開業後の運営改善などの業務
メニュー見直しや集客の助言など、開業後の業務で、すでに完了している場合は、支払った事業年度の損金となります。複数年にわたる契約の前払いであれば、原則として当期分のみが損金です(短期前払費用の特例については法人税基本通達2-2-14)。
2. 開業前の立ち上げ支援
コンセプト設計、メニュー開発、スタッフ研修、開業前の販促などは開業費(効果が将来に及ぶため資産に計上する繰延資産の一種)に当たります(法人税法施行令14条1項2号)。開業費は任意償却(好きな時期に好きな額を経費にできる方法)が認められています(同令64条1項1号)。そのため、決算で償却費として経費処理(損金経理)をすれば、開業した期に全額を経費にすることも可能です。
3. 内装設計・デザイン監修・設備選定などの部分
特定の内装工事や厨房設備などの取得に直接結びつく費用は、その資産の取得価額(資産の購入金額に含めるべき付随費用)に含めます(法人税法施行令54条1項)。この部分は耐用年数に応じて減価償却することになり、一度に全額を経費にはできません。なお、賃借物件の内装は「建物」として耐用年数を判定します(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3)。
4. 継続的なノウハウ提供の対価
継続的なノウハウ提供契約の一時金は繰延資産に該当します。この場合、原則として5年で均等に償却します(法人税基本通達8-1-6、8-2-3)。
注意したいポイント
- 内訳がわかる書類を残す:契約書や請求書の内訳によって処理が分かれます。業務内容が複数にまたがる場合は、内訳ごとに区分しておきましょう。
- 前払いは当期分のみが原則:複数年の契約を一括で払った場合は、全額をその期の経費にできないことがあります。
- 消費税は支払時に控除:消費税の課税事業者であれば、インボイスの保存を条件に、資産計上した部分も含めて支払時に仕入税額控除の対象となります。
開業前後の費用の分け方は新築の竣工前後に出る費用の扱い、飲食店経営の全体像は飲食業(飲食店)の動向と経営のポイントもご覧ください。
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スタートアップ・ベンチャー支援を見るまとめ
- 開業後の完了した業務なら、支払った期に全額を経費にできる
- 開業前の立ち上げ支援は開業費で、任意償却により開業した期に全額経費にすることも可能
- 内装・設備に結びつく部分は減価償却、ノウハウ提供の一時金は原則5年償却となるため、内訳を区分しておく
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
