ご相談の内容
夫に買ってもらったジュエリーがサイズが合わなくなり、買取店で査定してもらったところ、購入額より少し安い査定額がついた、というご相談です。たとえば150万円で買ってもらったものが120万円で売れる場合、税金はかかるのか。また、100万円を超える売却代金が口座に入ると、税務署から何か言われないか、を知りたいという内容でした。
- 夫の購入額より安く売るなら利益は出ないため、所得税はかからず確定申告も不要
- 1個30万円を超える宝石は課税対象になるが、取得費は夫の購入額を引き継ぐ
- 宝石の売却代金が税務署へ自動的に報告される仕組みは原則ない。ただし購入時と売却時の書類は保管する
回答
30万円を超える宝石は課税対象
生活に使う家具や衣服などを売っても、通常は税金がかかりません。しかし、貴金属や宝石は1個または1組の価額が30万円を超えると、この非課税の対象から外れます(所得税法第9条第1項第9号、所得税法施行令第25条)。そのため、売却した場合は譲渡所得(資産を売った利益)として課税の対象になります。
取得費は夫の購入額を引き継ぐ
贈与で受け取った資産は、贈与した人の取得費(購入代金)と取得時期をそのまま引き継ぎます(所得税法第60条第1項)。今回の取得費は夫の購入額です。宝石は使っても価値が減る資産ではないため、減価償却の調整も通常は不要です。
| 項目 | 金額(例) |
|---|---|
| 売却額 | 120万円 |
| 取得費(夫の購入額) | 150万円 |
| 差引 | △30万円(利益なし) |
利益は出ないので、課税される所得はありません。
購入額より高く売れた場合
仮に購入額を上回る価格で売れた場合でも、譲渡所得には年50万円の特別控除があります(所得税法第33条第4項、国税庁タックスアンサーNo.1488)。
税務署への報告
金地金(インゴット)などを一定額以上で売却した場合は、買取業者が税務署へ支払調書(取引の報告書)を提出します。しかし、宝飾品は通常この対象ではありません。
注意したいポイント
- 今回の損失を、給与など他の所得と相殺することはできません(所得税法第69条第2項)。
- 後日説明を求められたときに備えて、購入時のレシートや保証書、買取明細書を保管しておきましょう。購入額が分からない場合は、取得費を売却額の5%とみなすため、結果が変わることがあります(国税庁タックスアンサーNo.3258)。
- 売却とは別に、もらった時点の贈与税も確認しておきましょう。同じ年に夫から受けた贈与の合計が基礎控除の110万円を超えていれば、贈与税の申告が必要だった可能性があります(租税特別措置法第70条の2の4)。社会通念上相当な贈答品は非課税とされる場合もあります(相続税法基本通達21の3-9)。
個人が資産を売ったときの譲渡所得の考え方は、ゴルフ会員権を売ったときの税金(個人)でも解説しています。夫婦間の贈与については妻のNISA資金に毎年110万円を渡すのは贈与税がかからない?もご覧ください。
まとめ
- 30万円超の宝石は課税対象だが、取得費は贈った人の購入額を引き継ぐ
- 購入額より安く売るなら利益は出ず、所得税・確定申告とも不要
- 購入時・売却時の書類を保管し、もらった時点の贈与税もあわせて確認する
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
