ご相談の内容
青色申告の個人事業主で、配偶者に青色事業専従者給与を支払っている方からのご相談です。年の途中で1人で株式会社を設立し、個人事業はその年のうちに廃業する予定です。社会保険の事情から、法人の役員報酬は当面0円にするつもりです。廃業した年の青色申告特別控除や専従者給与はどうなるか、取りやめ届出書の「年分」はどう書くか、役員報酬を途中から支給できるか、従業員に関する届出は何が必要かを知りたいという内容です。
- 年の途中で廃業しても今年分は青色申告の承認が有効。要件を満たせば65万円控除・専従者給与を使える。取りやめ届出書を出すなら「来年分」と書く
- 役員報酬を0円から半年後に始めた支給は、原則として損金不算入。第1期を通して0円にすることは法人税上問題ない
- 個人事業の給与支払事務所等の廃止届出書を、廃止の日から1か月以内に提出する
回答
1. 廃業した年の青色申告と専従者給与
年の途中で廃業しても、今年分は青色申告の承認が有効です。
- 65万円控除:複式簿記、期限内申告、e-Taxでの申告または優良な電子帳簿保存が必要で、控除額は所得金額が限度です
- 青色事業専従者給与:配偶者が、6か月を超える期間、または事業を営んだ期間の2分の1を超えて事業に従事していることが要件です(所得税法施行令165条)
取りやめ届出書を提出すると「その年分以後」の承認が失われます(所得税法151条)。そのため、「今年分」と書くと今年分から白色申告になってしまいます。廃業で事業所得等がなくなる場合は、廃業届のみで足り、取りやめ届出書は必須ではないと考えられます。
2. 法人の役員報酬を途中から支給する場合
| 方法 | 扱い |
|---|---|
| 0円から半年後に月額の支給を始める | 定期同額給与の改定は原則として事業年度開始から3か月以内に限られるため、臨時改定事由(役職変更などやむを得ない事情)等に当たらない限り損金にならない(法人税法34条1項1号、同法施行令69条1項1号) |
| 事前確定届出給与(法人税法34条1項2号)を使う | 可能だが、設立後の届出期限が短く、登記簿に記載の設立日以後2か月を経過する日まで |
| 第1期を通して0円 | 法人税上は問題ない |
なお、法人住民税の均等割は、赤字でも無報酬でも課税されます。
3. 個人事業の従業員に関する手続き
- 給与支払事務所等の廃止届出書:廃止の日から1か月以内に提出(所得税法230条)
- 個人事業の廃業届出書:廃業日から1か月以内に提出(同法229条)
- 配偶者の退職(廃業)時には、翌月10日までに源泉徴収高計算書等の納付を済ませ、源泉徴収票を交付します(同法226条)
注意したいポイント
- 専従者給与の届出期限を確認しましょう。 青色事業専従者給与に関する届出書の期限は、原則としてその年の3月15日です(1月16日以後に開業した場合や専従者が生じた場合は、その日から2か月以内。所得税法57条2項)。期限後の提出だった場合は、その年分の専従者給与が必要経費にならない可能性があります。
- 取りやめ届出書の「年分」に注意。 出すなら「来年分」です。今年分と書くと今年の65万円控除や専従者給与を使えなくなります。
- 役員報酬は第1期の最初に決める。 途中から支給したい事情があるなら、設立直後に事前確定届出給与の期限(設立日以後2か月)を意識して検討します。
役員報酬の決め方は役員報酬の決め方|法人税・所得税・社会保険料のバランス、法人化のタイミングは個人事業主の法人化のタイミングと目安でも解説しています。
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スタートアップ・ベンチャー支援を見るまとめ
- 年の途中で廃業しても今年分は青色申告。取りやめ届出書を出すなら「来年分」と書く
- 役員報酬を0円から半年後に始めると原則損金不算入。第1期を通して0円なら問題ない
- 給与支払事務所等の廃止届・廃業届は1か月以内。専従者給与の届出期限も確認しておく
この記事は、実際に寄せられたご相談をもとに、個人が特定されないよう内容を一般化して作成しています。個別の状況によって結論が変わることがありますので、詳しくは税理士にご相談ください。
