不動産投資の融資

不動産投資ローンの必要書類|銀行が書類のどこを見ているか、審査が早く進む準備リスト

「不動産投資ローンの必要書類を教えてください」。物件の購入申込みを入れた直後に、銀行から書類のリストを渡されて慌てる方は少なくありません。売主側の都合で、融資承認までの期限が数週間しかないことも珍しくなく、書類の準備が遅れると、それだけで物件を逃すことがあります。

この記事では、不動産投資ローン(アパートローン・事業性の融資)でよく求められる必要書類を6つのグループに分けて一覧にし、銀行がそれぞれの書類のどこを見ているのかを解説します。書類は「そろえれば終わり」ではありません。同じ書類でも、出し方と添える説明しだいで、審査の進み方は大きく変わります。

この記事の結論
  • 必要書類は「本人」「収入」「資産と負債」「保有物件」「購入物件」「法人」の6グループで考えると漏れが出にくい
  • 銀行が見ているのは書類の有無ではなく、返済の余力・資産背景・借入の全体像・物件の力が数字で確認できるか
  • 確定申告書は複数年の推移で見られる。不動産所得の大きな赤字や債務超過は、書類の段階で評価を下げる
  • 物件・借入の一覧表を自分で作って最初に出すと、審査が早く進み、銀行との信頼関係もつくりやすい
  • 令和7年1月から申告書の控えに収受日付印は押されない。e-Taxの受信通知などで提出の事実を示す

不動産投資ローンの必要書類一覧

金融機関や融資の種類によって細かい違いはありますが、不動産投資ローンでよく求められる書類は、おおむね次のとおりです。

グループ主な書類銀行が確認したいこと
本人本人確認書類、住民票、印鑑証明書(契約時)、健康保険証など本人であること、家族構成、勤務先
収入源泉徴収票、確定申告書(控え)、住民税の課税証明書、納税証明書安定した収入があるか、税金を納めているか
資産と負債預金通帳や残高証明、有価証券の明細、借入の返済予定表、借入の一覧自己資金の額と出どころ、借入の全体像
保有物件レントロール、物件ごとの収支、登記事項証明書、固定資産税の課税明細既存物件がきちんと回っているか
購入物件販売図面、売買契約書・重要事項説明書(案)、登記事項証明書、公図・測量図、建物図面、レントロール、修繕履歴物件の収益力と担保価値、法令上の問題の有無
法人(法人で買う・保有する場合)決算書と法人税申告書(3期分)、勘定科目内訳明細書、直近の試算表、履歴事項全部証明書、定款、法人の納税証明書法人の格付けと、代表者個人との一体の実態

このほか、物件の購入資金計画(物件価格・諸費用・自己資金・借入額の内訳)や、購入後の収支計画を求められることもあります。

以下では、グループごとに「銀行が実際にどこを見ているのか」を説明します。

本人・収入の書類で見られていること

源泉徴収票と確定申告書は「推移」で見られる

会社員の方は源泉徴収票、事業所得や不動産所得がある方は確定申告書の控えを、直近2〜3年分求められるのが一般的です。銀行が見ているのは、今年の数字だけではありません。収入が安定しているか、増えているか減っているかという推移です。

不動産所得のある方の確定申告書では、特に次の点が見られます。

  • 不動産所得が黒字か赤字か。赤字なら、その理由は減価償却費なのか、空室や修繕なのか
  • 減価償却費を足し戻したキャッシュフローで、返済が回っているか
  • 青色申告か白色申告か。青色申告決算書の貸借対照表まで作られているか

不動産所得の大きな赤字は、税金の面では給与所得と損益通算ができても、銀行から見ると「物件の運営がうまくいっていないのでは」という疑問につながります。赤字と融資の関係は不動産投資の赤字と損益通算の記事で詳しく解説しています。

納税証明書と課税証明書

所得税の納税証明書は、税務署で発行を受けます。国税庁の案内では、納付すべき税額・納付した税額・未納税額を証明する「その1」、所得金額を証明する「その2」、未納税額がないことを証明する「その3」などの種類があり、e-Taxでも請求できます。住民税の課税証明書(所得証明書)は、市区町村で取得します。

銀行がこれらを求めるのは、確定申告書の数字が実際に申告された内容と一致しているか、税金の滞納がないかを確かめるためです。税金の滞納は、融資の審査では非常に重く見られます。納税の資金が足りないときは、早めに税理士に相談し、資金繰りの手当てを考えておくことが大切です。

収受日付印の廃止後の、申告書の控えの出し方

以前は、税務署の受付印が押された申告書の控えを銀行に出すのが一般的でした。国税庁は令和7年1月から、申告書等の控えへの収受日付印の押なつを行っていません。あわせて、金融機関や補助金の交付機関などに対し、収受日付印のある控えを求めないよう周知したと公表しています(国税庁:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて)。

実務では、e-Taxで提出した場合は受信通知(メール詳細)を印刷して控えに添えるのが一般的です。書面で提出した場合は、提出日を記録しておき、必要に応じて納税証明書(その2)など公的な証明で補います。金融機関ごとに求める形式が異なることがあるため、申込みの時点で担当者に確認しておきましょう。

資産と負債の書類で見られていること

自己資金は「額」と「出どころ」

預金通帳や残高証明書で確認されるのは、自己資金の額だけではありません。そのお金がどこから来たのかも見られます。直前に大きな入金があれば、その理由を聞かれます。親族からの援助であれば、贈与なのか借入なのかを整理しておく必要があります。

また、購入後に手元にどれだけ現預金が残るかも重要です。自己資金をすべて頭金に入れてしまうと、空室や修繕が重なったときの備えがなくなります。銀行もその点を気にします。自己資金の考え方は不動産投資の自己資金の記事で整理しています。

借入は「すべて」出す

住宅ローン、既存のアパートローン、自動車ローン、カードローンなど、借入はすべて開示するのが原則です。金融機関は信用情報機関の情報や登記事項証明書で借入の状況を確認できます。申込みのときに一部を伏せていたことが後から分かれば、その融資だけでなく、その後の取引全体の信頼を失います。

ここでおすすめしたいのが、次のような物件・借入の一覧表を自分で作っておくことです。

物件名取得年年間家賃収入借入先借入残高月々の返済額金利最終返済期限
A棟(例)2021年〇〇万円〇〇銀行〇〇万円〇〇万円〇%2051年
B区分(例)2023年〇〇万円〇〇信用金庫〇〇万円〇〇万円〇%2053年

この1枚があるだけで、銀行の担当者は全体像を短時間で把握でき、稟議書も書きやすくなります。銀行が稟議を書きやすい資料を出す人は、それだけで「話が早い人」と見てもらえます。

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代表の相亰と髙橋が、自らの不動産投資と資金調達支援の経験から構築した独自の財務設計の手法「クレフティメソッド」で、決算書・法人化・次の融資まで設計します。初回のご相談は無料です。

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保有物件と購入物件の書類で見られていること

レントロールは「今の家賃」と「相場との差」

レントロール(家賃明細表)は、部屋ごとの賃料・共益費・敷金・契約開始日・空室の状況をまとめた表です。銀行は、レントロールから物件の収益力を確認するとともに、今の家賃が周辺の相場より高すぎないかを見ています。

古くから入居している方の家賃が高く、退去後には家賃が下がりそうな物件は、銀行の収益評価では割り引いて見られることがあります。購入物件のレントロールは売主側から出てくる資料ですが、「入居時期と賃料の関係」を自分でも確認し、疑問点は購入前に仲介会社に確認しておきましょう。

物件の資料で見られる法令上のポイント

購入物件については、販売図面や重要事項説明書(案)、登記事項証明書、公図・測量図、建物図面などで、次のような点が確認されます。

  • 建ぺい率・容積率の超過など、法令上の問題がないか(検査済証の有無も含む)
  • 再建築ができる土地か(接道の状況)
  • 権利関係(借地か所有権か、抵当権などの登記)
  • 建物の構造と築年数(融資期間の上限に関わる)

構造と築年数は、融資期間をどれだけ取れるかに直結します。耐用年数と融資期間の関係は融資期間と耐用年数の記事で解説しています。

保有物件の資料は「運営力」の証明

すでに物件を持っている方は、その物件の収支も見られます。満室に近い状態が続いているか、修繕を計画的に行っているか、返済が滞りなく進んでいるか。既存物件がきちんと回っていることは、次の物件も任せられるという評価につながります。固定資産税の課税明細書は、物件の評価額を確認する資料としても使われます。

法人で買う・保有する場合の書類

資産管理法人で購入する場合や、すでに法人で物件を持っている場合は、法人の決算書と法人税申告書を直近3期分求められるのが一般的です。銀行は決算書から格付けを行い、融資の可否や条件を判断します。

決算書の項目銀行の見方
純資産プラスか、債務超過か。積み上がっているか
経常利益と減価償却費償却前の利益で、返済が回っているか
債務償還年数借入金を何年で返せるか
勘定科目内訳明細書役員貸付金・仮払金など、評価を下げる資産がないか
役員借入金返済条件と、自己資本とみなせるか

法人の決算書は、代表者個人の申告書とあわせて「一体」で見られます。法人が債務超過になっていれば、個人の年収が高くても融資は伸びにくくなります。

著者の相亰は2019年、複数の銀行から「あなたには、貸せません」と言われ、融資が止まった経験があります。原因は、減価償却が速い物件が多く、貸借対照表上の資産の価格(簿価)よりも負債の金額のほうが大きくなる債務超過の状態に陥っていたことでした。書類を出した瞬間に、評価の大部分は決まってしまうということです。

決算書を銀行に出す前に確認したい点は決算書を銀行に出す前のチェック、法人の格付けの上げ方は不動産投資家の銀行格付けの記事をご覧ください。

書類で評価を落とさないための準備のコツ

最後に、書類の準備で差がつくポイントをまとめます。

  1. 申込み前に、物件・借入の一覧表を作る:銀行に聞かれる前に全体像を出す
  2. 確定申告書・決算書は「説明」と一緒に出す:赤字の年、利益が大きく動いた年は、その理由を一言添える
  3. 自己資金の出どころを整理する:直前の大きな入金は説明できるようにしておく
  4. 税金の滞納をなくしておく:納税証明書で必ず分かる
  5. 原本と写しの区別、取得日を確認する:住民票や印鑑証明書、登記事項証明書は「発行から3か月以内」などの指定があることが多い
  6. 書類をデータでも用意する:PDFでまとめておくと、複数の金融機関に並行して相談するときにも早い

特に2つ目は重要です。数字だけを渡すと、銀行は数字だけで判断します。「この年の赤字は大規模修繕によるもので、翌年からは家賃が回復している」といった説明が添えてあれば、同じ数字でも受け止め方が変わります。融資を断られたときの考え方は融資を断られたときの記事も参考にしてください。

まとめ

  • 不動産投資ローンの必要書類は、本人・収入・資産と負債・保有物件・購入物件・法人の6グループで準備する
  • 銀行は書類から、返済の余力、自己資金と借入の全体像、物件の収益力と担保価値を確認している
  • 確定申告書と決算書は複数年の推移で見られる。大きな赤字や債務超過は、書類の段階で評価を下げる
  • 物件・借入の一覧表と、数字の説明を添えて出すと、審査が早く進む
  • 令和7年1月以降は申告書の控えに収受日付印がないため、e-Taxの受信通知などで提出の事実を示す

書類は、申込みの直前にそろえるものではなく、毎年の確定申告と決算の段階から「銀行に出すもの」として作っておくものです。税理士法人クレフティでは、決算書・確定申告書の作り方から金融機関への説明資料まで、融資を受け続けるための準備をサポートしています。初回のご相談は無料です。不動産投資家向けサービスからお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

不動産投資ローンの審査では、確定申告書を何年分求められますか?
金融機関や商品によって異なりますが、個人なら源泉徴収票や確定申告書を直近2〜3年分、法人なら決算書と法人税申告書を直近3期分求められることが多いです。1年分だけ良い数字でも、推移が不安定だと評価は伸びにくいため、複数年の流れで説明できるように準備しておきます。
税務署の受付印がない確定申告書の控えでも、銀行は受け付けてくれますか?
国税庁は令和7年1月から、申告書の控えへの収受日付印の押なつを行っていません。あわせて金融機関などに対し、収受日付印のある控えを求めないよう周知しています。e-Taxで提出した場合は受信通知(メール詳細)を添えて出すのが一般的です。金融機関ごとに求める書類が違うことがあるため、事前に担当者に確認してください。
書類をそろえる前に、まず何をしておくべきですか?
保有している物件と借入をすべて一覧にすることです。物件ごとの家賃収入・借入残高・毎月の返済額・金利・返済期限を1枚にまとめておくと、金融機関は短時間で全体像を把握できます。借入を一部でも伏せて申し込むことは、後で必ず信頼を失う原因になるため、すべて開示するのが原則です。

※本記事は2026年10月19日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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