取得・建築

50年住宅ローン、金利上昇で利息が1,000万円以上増えるケースも|金融庁が監視へ。毎月の返済の軽さと、残る借金の重さ

日本経済新聞(2026年10月24日朝刊)が、返済期間が35年を超える超長期の住宅ローンの金利リスクを取り上げました。住宅の価格が高止まりするなか、毎月の返済額を抑えられる超長期ローンを選ぶ人が増える一方、金融庁は9月に、利用者保護の観点から超長期ローンを扱う金融機関を監視する方針を示しています。試算では、金利の上昇で利息が1,000万円以上増えるケースもあるとされます。

住宅ローンの話ですが、「返済期間を延ばして毎月の負担を軽くする」という考え方は、不動産投資のローンにもそのまま当てはまります。この記事では、報道の試算を整理し、超長期ローンのリスクと備えを考えます。

この記事の結論
  • 35年超の超長期返済を選ぶ人の割合は39.1%(2026年9月時点、MFS)。1年で16.3ポイント上昇。金融庁は超長期ローンのモニタリングを金融行政方針に盛り込んだ(日本経済新聞)
  • 7,000万円・当初1.3%の変動金利で、金利が0.5%上がる試算では、利息の増加は35年で約724万円、50年で約1,114万円。50年は35年後でも残債が約2,840万円(当初の約4割)残る
  • 毎月の返済は軽い一方、総利息・残債の重さ、定年時の残債、売却しても残債を返しきれないオーバーローンのリスクがある
  • 借りる前は借入額そのものを抑える、借りた後は返済が軽い分を計画的に貯蓄し、手元資金を残したうえで繰り上げ返済を考えたい

報道で示された内容

項目報道で示された内容
利用の広がり35年超の超長期返済を選ぶ人の割合は、2026年9月時点で全国39.1%。1年で16.3ポイント上昇(MFS)
金融機関の対応2025年6月時点で、回答した金融機関の57.5%が変動金利で最長50年の商品を用意。1年で約24ポイント上昇(住宅金融支援機構)
金融庁の方針金融行政方針に超長期ローンのモニタリングを盛り込んだ
完済年齢の目安80歳を基準に完済を求める金融機関が多く、50年返済を組めるのは基本的に30歳未満

出典:日本経済新聞「50年住宅ローン、金利リスク高く 利息1000万円増えるケースも」(2026年10月24日朝刊)。

報道の試算:35年と50年の違い

報道では、7,000万円を元利均等返済、当初年1.3%の変動金利で借り、借入後半年ごとに0.25%ずつ2回金利が上がり、その後は変わらない場合を試算しています(毎月の返済額は5年ごとにしか見直さない「5年ルール」を考慮)。

項目35年返済50年返済
毎月の返済額(金利上昇前→後)約20.8万円→約22.8万円約15.9万円→約17.9万円
金利上昇による総利息の増加約724万円約1,114万円
金利上昇後の総利息約2,440万円約3,638万円
35年後の残債完済約2,840万円(当初の約4割)

出典:同上。

毎月の返済額は、50年のほうが35年より5万円近く少なくて済みます。一方で、利息の増え方は50年のほうが約390万円多く、35年たっても当初の借入の約4割が残ります。返済が長いほど、金利が上がった影響を受ける期間も長くなるためです。また、借入額を5,000万円に抑えると、50年でも利息の増加は約800万円に収まるとされています。

超長期ローンの3つのリスク

ここからは、税理士・公認会計士として、また自らも融資を受けて不動産を買い続けてきた立場からの考えです。

1. 残債がなかなか減らない

返済期間が長いほど、毎月の返済に占める利息の割合が大きくなり、元本の減り方が遅くなります。報道で指摘されているように、定年を迎える65歳の時点でも残債が多く残ることが、超長期ローンの最大のリスクです。金利が上がれば、その残債はさらに膨らみます。

2. 5年ルールで、負担の増加が見えにくい

変動金利の5年ルールでは、金利が上がっても5年間は毎月の返済額が変わりません。その間、返済額のうち利息の割合が増え、元本の減り方がさらに遅くなります。「毎月の返済が変わらないから大丈夫」と思っているうちに、残債が想定より多く残る、ということが起こりえます。

3. 売っても返しきれない(オーバーローン)

返済が苦しくなって家を売ろうとしたとき、売却額より残債のほうが多い状態をオーバーローンといいます。金利の上昇は一般に不動産価格の下押し要因になるため、残債の減りが遅い超長期ローンでは、このリスクが高まります。

不動産投資のローンにも同じことが言える

「返済期間を延ばして毎月の返済を軽くする」のは、不動産投資のローンでもよく使われる方法です。返済期間を長くすれば、毎月のキャッシュフローは良く見えます。しかし、銀行は融資期間と建物の耐用年数の関係、残債の減り方、物件を売ったときに残債を返しきれるかを見ています。期間を延ばすほど、元本が減らず、次の融資や売却の場面で身動きがとりにくくなることもあります(融資期間と耐用年数の関係)。

なお、住宅ローンは自分や家族が住むための融資です。住宅ローンで購入した物件を賃貸や民泊に使うことは契約違反になりうるため注意してください(フラット35で民泊に転用、検査院が不適正融資を指摘)。

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借りる前・借りた後の備え

タイミング備え
借りる前物件の選び方を見直し、頭金を入れて借入額そのものを抑える。金利が1%上がった場合の返済額と、定年時の残債を試算する
借りた後35年返済より少ない返済額の差を、計画的に貯蓄に回す。生活資金の半年〜1年分は手元に残す
繰り上げ返済手元資金を残したうえで、それを超える分で検討する。繰り上げ返済は、ローンの金利で運用するのとほぼ同じ効果と考え、他の使い道とも比べる
金利の見直し変動金利の見直し時期と、5年ルール・125%ルールの有無を確認しておく

金利の今後の見通しは日銀10月会合は利上げ見送りへで、首都圏のマンション価格と審査金利の動きは首都圏の新築マンション、上期平均が初の1億円超で整理しています。

まとめ

  • 超長期の住宅ローンを選ぶ人が増え、金融庁は扱う金融機関を監視する方針を示した
  • 報道の試算では、金利が0.5%上がると利息の増加は35年で約724万円、50年で約1,114万円。50年は35年後も残債が約4割残る
  • 毎月の返済の軽さと、総利息・残債・オーバーローンのリスクの重さは表裏一体
  • 借りる前は借入額を抑え、借りた後は返済が軽い分を計画的に貯蓄し、手元資金を残したうえで繰り上げ返済を考える

住宅や投資用不動産の借入の期間と返済計画を一度確認したい方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

50年ローンは35年ローンより得ですか?損ですか?
毎月の返済額は軽くなりますが、返済期間が長い分、総利息は多くなり、残債もゆっくりしか減りません。報道の試算では、7,000万円を変動金利で借り、金利が0.5%上がった場合、50年返済は35年返済より利息の増え方が約390万円多くなるとされています。毎月の負担の軽さと、総額や残債の重さの両方を理解して選ぶ必要があります。
変動金利の「5年ルール」とは何ですか?
変動金利の住宅ローンで、金利が上がっても毎月の返済額は5年ごとにしか見直さない仕組みです。多くの場合、見直し後の返済額は前の1.25倍までに抑えられます(125%ルール)。急な負担増は避けられますが、返済額が変わらない間は利息の割合が増え、元本の減り方が遅くなります。金融機関によって取り扱いが異なるため、契約内容を確認してください。
すでに50年ローンを組んでいる場合、何をすればよいですか?
35年返済より毎月の返済額が少ない分を、計画的に貯蓄に回すことが基本です。ただし、繰り上げ返済を急ぎすぎると手元資金が不足し、家計が不安定になるおそれがあります。報道でも、生活資金の半年から1年分は手元に残し、それを超えた分で繰り上げ返済や資産運用を検討するよう助言されています。

※本記事は2026年10月24日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。
※本記事の無断転載・複製、商用目的での利用はお断りします。引用の際は、出典(税理士法人クレフティ・記事URL)を明記してください。

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