減価償却・設備

家具家電付き賃貸の備品と少額資産の処理|家具・家電の耐用年数、10万円・20万円・40万円の特例と「主要な事業としての貸付け」

社宅や単身赴任向け、マンスリー、外国人向けなど、家具家電付きの賃貸物件が増えています。ベッド、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、カーテンといった備品を部屋ごとに用意すると、1棟で数百万円になることもあります。

ここで迷いやすいのが、備品の耐用年数と、少額の資産を一度に経費にできるかという点です。令和4年度の改正で、貸付けの用に供した資産は少額特例などから原則として除かれましたが、入居者に家具・家電を貸す行為には例外の通達があります。この記事では、耐用年数の当てはめ、少額特例の使い方と注意点、消費税、裁決事例、決算書と銀行の見え方までを整理します。

この記事の結論
  • 家具・家電は器具及び備品。ベッド8年、冷蔵庫・洗濯機・ルームエアコン6年、テレビ5年、カーテン・寝具3年など細目ごとに違う
  • 民泊・旅館で客室に直接使う家具は「接客業用」として短い年数になることがある。普通の賃貸住宅の家具は「その他のもの」
  • 入居者への家具・家電の貸付けは、法人税基本通達7-1-11の3で主要な事業として行われる貸付けの例とされ、少額特例の除外の対象にならない
  • 家具付きで家賃に含めて受け取れば非課税、別名目の使用料にすると課税、が国税庁の整理

家具・家電の耐用年数

家具・家電は、耐用年数省令の別表第一「器具及び備品」の「1 家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品」に細目が定められています。家具家電付き物件でよく使うものを抜き出すと、次のとおりです(e-Gov法令検索の現行の耐用年数省令で確認)。

品目細目耐用年数
ベッドベッド8年
机・椅子・収納家具(主として金属製)その他の家具/その他のもの/主として金属製のもの15年
机・椅子・収納家具(木製など)その他の家具/その他のもの/その他のもの8年
家具(接客業用)その他の家具/接客業用のもの5年
冷蔵庫・洗濯機・電子レンジなど電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器6年
ルームエアコン(ウインドー型・壁掛け型など)冷房用又は暖房用機器6年
テレビ・音響機器ラジオ、テレビジョン、テープレコーダーその他の音響機器5年
カーテン・寝具カーテン、座ぶとん、寝具、丹前その他これらに類する繊維製品3年
じゅうたん(接客業用など以外)じゆうたんその他の床用敷物/その他のもの6年
食器(陶磁器製・ガラス製)食事又はちゆう房用品2年
食器・調理器具(その他)食事又はちゆう房用品/その他のもの5年

注意したい3つの当てはめ

  • 主として金属製かどうか:耐用年数通達2-7-2は、耐用年数に最も影響があるフレームなど主要構造部分の材質で判定するとしています。スチールラックは金属製、木製の天板にスチール脚の机は主要構造部分で判断します
  • 接客業用かどうか:耐用年数通達2-7-3は、「接客業用のもの」を飲食店、旅館などでその用に直接供するものとしています。旅館業の許可を取って運営する客室の家具は接客業用に当たりうる一方、普通の賃貸住宅に備え付ける家具は「その他のもの」で考えるのが基本です
  • エアコンの区分:耐用年数通達2-7-4は、ウインドー型のルームクーラーなどを器具及び備品の冷房用機器とし、ダクトを通じて相当広範囲を冷房するパッケージ型は建物附属設備の冷房設備としています。エアコンの区分と交換の扱いは給湯器・エアコンの交換は修繕費か資本的支出かで詳しく扱っています

旅館業や民泊として運営する物件の耐用年数は、ホテル・旅館用途の建物の耐用年数もあわせて確認してください。

少額資産の特例と「主要な事業としての貸付け」

3つの制度と、令和4年改正の除外

取得価額が小さい資産には、次の3つの制度があります(国税庁タックスアンサーNo.2100、No.5408)。

制度対象処理
少額の減価償却資産10万円未満(または使用可能期間1年未満)全額をその年度の損金・必要経費
一括償却資産20万円未満合計額を3年で均等に損金・必要経費
中小企業者等の少額減価償却資産の特例40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満)、年300万円まで全額をその年度の損金・必要経費(青色申告などの要件あり)

令和4年4月1日以後に取得したもので貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産は、この3つすべての対象から外れています。制度の全体像は少額減価償却資産・一括償却資産と「貸付けの用」の除外で解説しています。

入居者への家具・家電の貸付けは「主要な事業」の例

家具家電付き物件にとって重要なのが、法人税基本通達7-1-11の3です。法人税法施行規則27条の17第1項4号の「主要な事業に付随して行う資産の貸付け」に当たる行為の例として、不動産貸付業を営む法人がその貸し付ける建物の賃借人に対して、家具、電気機器その他の減価償却資産を貸し付ける行為を挙げています。

つまり、賃貸住宅の入居者に家具・家電を備え付けて貸す場合は、主要な事業として行われる貸付けに当たり、少額特例などの除外の対象になりません。

ただし、同じ規則27条の17第2項は、貸付け後に譲渡人などがその資産を買い取る(または第三者に買い取らせることをあっせんする)契約があり、貸付けの対価と買取りの対価の合計額が取得価額のおおむね90%を超える場合は、主要な事業として行われる貸付けに当たらないとしています。家具家電を少額資産としてまとめて費用にし、短期で売却する仕組みのような使い方は対象外になると考えてください。

個人も、所得税法施行令で「主要な業務として行われる貸付け」を除いて同様に除外されています。個人の不動産賃貸での当てはめは、賃貸の規模や貸付けの内容によって判断が分かれうるため、適用前に顧問税理士と確認してください。

1単位の判定と、まとめ買い

10万円未満かどうかなどの判定は、通常1単位として取引される単位で行います。法人税基本通達7-1-11は、器具及び備品については1個、1組、1そろいごとに判定するとしています(国税不服審判所 平成24年2月6日裁決でもこの通達が引用されています)。

  • ベッド、冷蔵庫、洗濯機などは、1台ごとの金額で判定するのが基本
  • 応接セット、カーテン(1部屋分)など、組やそろいで機能するものはまとめて判定
  • 10戸分の冷蔵庫をまとめ買いしても、1台あたりの金額で判定する。ただし中小企業者等の特例は年300万円が上限

法人と個人の違い

項目法人個人
器具及び備品の償却方法届出がなければ定率法届出がなければ定額法
少額資産の処理損金経理が必要(資産計上した後に一時に費用化しても認められない)必要経費に算入して申告
中小企業者等の特例青色申告の中小企業者等(従業員数などの要件)一定の要件を満たす青色申告者
貸付けの用の除外主要な事業として行われる貸付けを除き対象外主要な業務として行われる貸付けを除き対象外
故障・廃棄時未償却残高を除却損として損金資産損失として必要経費(事業的規模かどうかで範囲が異なる)

個人で事業的規模に満たない場合、取壊しや除却による損失は、その年の不動産所得の金額を限度に必要経費になります(所得税法51条4項)。詳しくは建物の取壊し・除却損失の処理と特別損失で解説します。

消費税:家賃に含めるか、使用料を別にするか

住宅の貸付けには、家具、じゅうたん、照明設備、冷暖房設備などで住宅の附属設備として住宅と一体となって貸し付けられるものも含まれます(消費税法基本通達6-13-1)。ただし、当事者間で住宅とは別の賃貸借の目的物として、別に使用料を受け取っている場合は非課税になりません。

国税庁の質疑応答「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」では、家具・電気製品等の使用料を次のように整理しています。

受け取り方あらかじめ一定の家具等を設置入居者の選択で設置
賃料に含める非課税家具等使用料を合理的に区分して課税
賃料とは別の名目で受け取る課税課税

また、契約書で賃料の明細として「家具使用料××円を含む」と表示した金額は、賃料とは別の名目の金銭に当たるとされています。家具付きプランとそうでないプランを並べて募集する場合などは、契約書の書き方で消費税が変わるため注意してください。

ホテル・民泊のように宿泊サービスとして提供する場合は、そもそも住宅の貸付けには当たらず課税になります。期間の短い貸付けの扱いはマンスリー・短期賃貸の消費税を参照してください。

裁決事例:家具は建物の一部か(平成21年10月28日裁決)

  • 出典:国税不服審判所 平成21年10月28日裁決(裁決事例集No.78・237頁)[裁決全文]
  • 事案:法人が所有するマンションを代表者に貸し、室内に家具、カーテン、食器などを置いていた。原処分庁は、家具等を無償で貸与した経済的利益が代表者の給与に当たるとして源泉所得税を課した。法人は、カーテン・じゅうたん・照明器具は建物の一部で、その使用料はマンションの賃料に含まれていると主張した
  • 判断:これらの家具等は建物に付合して一体となっておらず、取り外し可能な独立の動産であると認定した。建物内の独立した動産を建物とともに賃貸借の目的とするには、当事者間でその旨の合意がされるのが通常だが、そうした合意は認められず、賃料に家具等の使用料は含まれないとした。一方、経済的利益の計算で原処分庁が使った耐用年数に誤りがあるとし、接客業用以外の家具は「その他の家具」の「その他のもの」の8年、金属製の食器は「食事又はちゆう房用品」の「その他のもの」の5年を使うべきだとして、処分の一部を取り消した
  • 示唆:家具家電付きで貸すなら、賃貸借契約に家具等が貸付けの目的物に含まれることを明記しておくことが大切です。また、家具の耐用年数は「接客業用」かどうかで変わり、旅館などで直接使うものでなければ「その他のもの」で判断されています
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会計上の扱いと決算書の表示

決算書は、一般に公正妥当と認められる会計基準(GAAP:Generally Accepted Accounting Principles)に沿って作ります。企業会計原則の注解1(重要性の原則)は、消耗品などのうち重要性の乏しいものは、買入時に費用として処理する方法も認めています。税務上の少額特例を使った資産は、会計上も消耗品費などとして処理するのが一般的です。

一方、少額特例の対象外になる資産や、金額の大きい備品は、器具及び備品として固定資産に計上し、減価償却します。損益計算書では、減価償却費・消耗品費ともに賃貸業の通常の費用として販売費及び一般管理費に表示します。家具家電の入替えは毎年のように発生する費用なので、特別損失に表示するのは適切とはいえません。税務と会計の関係は税務上の損金と企業会計(GAAP)の違いで解説しています。

銀行からの見え方

見られる点内容
家賃の上乗せ効果家具家電付きで家賃をどれだけ上げられたか。空室期間は短くなったか
費用の波開業年度に少額資産を一度に費用にすると、営業利益が一時的に落ちる
償却前利益備品の償却費は足し戻されるが、入替え費用は毎年の支出として見られる
資産の評価家具家電は換金価値が乏しく、実態の評価では簿価どおりに見られないことがある

少額特例を使えば税負担は早く軽くなりますが、その年の営業利益と経常利益は下がります。開業初年度に大きく利益が落ちる場合は、「備品の一時費用化によるもので、家賃収入は計画どおり」と説明できる資料を用意しておくと安心です。家具家電は数年ごとに入替えが必要になるため、入替え費用を毎年の資金計画に入れておくことも、銀行に返済余力を示すうえで欠かせません。償却費と返済能力の関係は減価償却費と銀行の見方、短期賃貸の位置づけは民泊・短期賃貸の税金も参考にしてください。

実務のチェックポイント

  1. 品目ごとに細目を当てはめたか(主として金属製か、接客業用か、ルームエアコンかパッケージ型か)
  2. 請求書を品目ごと・1単位ごとの金額が分かる形で受け取ったか
  3. 入居者への家具家電の貸付けとして、少額特例を使える前提を確認したか(買取りの約定がないかも含む)
  4. 中小企業者等の特例を使う場合、年300万円の上限と青色申告などの要件を確認したか
  5. 賃貸借契約に、家具等が貸付けの目的物に含まれることを明記したか
  6. 家具の使用料を家賃に含めるか別名目にするかを決め、消費税の扱いを確認したか
  7. 入替え費用を資金計画に入れ、開業初年度の利益の落ち込みを銀行に説明できるようにしたか

まとめ

  • 家具・家電は器具及び備品。ベッド8年、冷蔵庫・洗濯機・ルームエアコン6年、テレビ5年、カーテン・寝具3年など細目で違う
  • 普通の賃貸住宅の家具は「その他のもの」。接客業用(5年)は旅館などで直接使うものに限られる
  • 入居者への家具・家電の貸付けは、主要な事業として行われる貸付けの例とされ、少額特例の除外に当たらない。買取りの約定がある場合などは例外
  • 家具付きで家賃に含めれば非課税、別名目の使用料は課税。契約書の書き方で変わる
  • 裁決事例では、家具は建物とは別の動産とされた。家具等を貸付けの目的物に含めることを契約で明確にしておく

家具家電付き物件の備品の処理から、開業初年度の決算書の見え方まで、不動産投資家向けサービスでご相談いただけます。

よくある質問

家具家電付きの賃貸物件で、10万円未満の家電は一度に経費にできますか?
令和4年4月1日以後に取得した資産で貸付けの用に供したものは、原則として少額減価償却資産の特例などの対象外です。ただし、法人税基本通達7-1-11の3は、不動産貸付業を営む法人が建物の賃借人に家具・電気機器などを貸し付ける行為を「主要な事業として行われる貸付け」の例に挙げており、この場合は除外されません。個人も同様の考え方ですが、規模や実態で判断が分かれうるため、顧問税理士と確認してください。
ワンルームに置く家具一式(ベッド・机・椅子・カーテン)は、合計額で10万円かどうか判定しますか?
判定は、通常1単位として取引される単位ごと(1個、1組、1そろい)に行います。ベッドと机のように別々に取引されるものは、それぞれの金額で判定するのが基本です。一方、応接セットやカーテン(1部屋分)のように、組やそろいで機能するものはまとめて判定します。請求書に品目ごとの金額が分かるようにしておくと判定しやすくなります。
家具家電の使用料を家賃と別に受け取ると、消費税はどうなりますか?
国税庁の質疑応答では、入居者の選択にかかわらずあらかじめ設置した家具等の使用料を、賃料に含めて受け取る場合は非課税とされています。一方、家賃とは別の名目で家具・エアコン等の使用料を受け取る場合は、あらかじめ設置しているかどうかにかかわらず課税と整理されています。入居者の選択で家具を設置する場合は、賃料に含めても合理的に区分して課税です。

※本記事は2026年10月18日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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