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M&A・事業承継に強い税理士の選び方|7つのチェックポイントと面談で聞くべき質問

「会社を売るか、子どもに継がせるか。誰に相談すればいいのかわからない」。オーナー経営者の方から、よくこう言われます。M&A仲介会社、銀行、顧問税理士、弁護士。相談先はたくさんありますが、それぞれ立場も得意分野も違います。

中でも税理士は、事業承継・M&Aで最も身近な相談相手です。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」も、経営者はまず身近な支援機関に相談すべきで、実際には顧問の士業等専門家、特に顧問税理士に相談することが多いだろうと述べています。

一方で、同じガイドラインは、DDやバリュエーションといったM&Aの業務は税理士の本来の業務に直接は含まれず、M&Aに積極的に関わる税理士は限られるとも指摘しています。この記事では、「M&A・事業承継に強い税理士」を見分けるためのチェックポイントと、面談で使える質問をまとめます。

この記事の結論
  • M&A・事業承継に強い税理士は、申告の正確さに加えて、株価・手取りの試算・組織再編の税務・DD・経営者保証と銀行まで見通せる人
  • 最重要は、売却・承継の方法ごとに手取りを数字で比較できること。税金だけでなく、退職金、社会保険料、銀行の評価まで含めて考えられるか
  • 仲介会社やFAとは立場が違う。税理士は依頼者の側に立って価格・条件・税務を確認する役割を担える
  • 面談では、手取りの試算、退職金の考え方、DDの経験、経営者保証の扱いについて具体的に質問して見極める
  • M&A関連の業務は顧問料とは別の報酬になることが多い。何を頼むかを決めてから見積りを取る

なぜM&A・事業承継には「一般的な税理士」では足りないのか

日々の記帳や申告と、M&A・事業承継では、求められる知識と経験が大きく違います。M&A・事業承継には、次のような論点があります。

論点判断を誤ったときの影響
売却の形(株式譲渡・事業譲渡・会社分割)の選択手取りが数千万円単位で変わる。株式譲渡は20.315%、事業譲渡は会社に法人税がかかり、個人に移すとさらに課税
役員退職金と株式の価格の分け方過大な退職金や実質的に退職していない場合の退職金は、損金にならないおそれがある
自社株評価(相続税評価と取引価格)親族への移転で贈与税・相続税が想定外にかかる。低額譲渡のみなし課税
組織再編・持株会社化適格要件を外れると資産の含み益に課税。不自然な再編は否認されるおそれ
DD・表明保証売却後に補償を求められる。買い手側では簿外債務を引き継ぐ
経営者保証・借入売却後も保証が残る。承継後に融資が止まる

これらを横断して判断できるかどうかが、「M&A・事業承継に強い」かどうかの分かれ目です。

M&A・事業承継に強い税理士を見分ける7つのチェックポイント

1. 方法ごとの手取りを数字で比べられるか

もっとも大切なポイントです。株式譲渡、事業譲渡、親族への贈与・相続、廃業など、選択肢ごとにオーナーの手元にいくら残るかを試算できるかを確認してください。中小M&Aガイドラインも、株式譲渡・事業譲渡のメリット・デメリットを総合的に勘案した助言やスキームの提案を税理士に期待し、経営者個人に所得が生じた場合は所得税・住民税のほか、国民健康保険料などへの影響にも留意するよう述べています。手取りの比較の考え方は廃業と売却の比較で解説しています。

2. 役員退職金の実務と、否認の事例を知っているか

M&Aや承継の場面では、役員退職金を組み合わせることがよくあります。退職金の金額の妥当性、分掌変更や顧問として残る場合の「実質的な退職」の判断など、公表裁決や裁判例を踏まえて説明できるかを見てください。退職金の設計は退職金スキームとはで扱います。

3. 自社株評価と「取引価格」の違いを説明できるか

相続税評価額、税務上の時価、M&Aでの取引価格は、それぞれ別の物差しです。親族への移転と第三者への売却で、どの株価を使うのか、低い価格で譲渡するとどんな課税が起きるのかを説明できるかを確認しましょう(相続税評価額・税務上の時価・M&A価格はなぜ違うか)。

4. 組織再編・持株会社化の経験があるか

承継の準備として、持株会社をつくる、会社分割で事業と不動産を分ける、といった組織再編を行うことがあります。適格要件の判断を誤ると、思わぬ課税が生じます。過去に関わった再編の件数や内容を聞いてみましょう。

5. DD(デューデリジェンス)やバリュエーションに対応できるか

ガイドラインは、公認会計士の役割として、財務DDや譲渡対価の基礎となるバリュエーションを挙げています。税理士でも、税務DDや財務の論点整理に慣れているかどうかで、交渉の場での力が違います。自分で対応できない場合に、どの専門家と連携するかが明確かどうかも大切です。

6. 経営者保証と銀行の見方を理解しているか

M&Aや承継で見落とされがちなのが、借入と経営者保証です。ガイドラインも、税理士に対し、経営者保証ガイドラインとその特則に沿った対応について必要に応じて助言することを期待しています。承継後に融資が止まらないよう、銀行が決算書をどう見るかを理解している税理士かどうかを確認しましょう(事業承継と経営者保証)。

7. 仲介会社・FAとの役割分担を説明できるか

M&A仲介会社やFAは、相手探しと交渉のプロです。一方、税務相談は税理士の業務です(税理士法2条)。強い税理士は、仲介会社・FAの提案を依頼者の側から確認する役割を引き受け、必要ならセカンドオピニオンを出せます。中小M&Aガイドラインも、仲介契約・FA契約を結んだ後でも、士業等専門家などにセカンドオピニオンを求めることを有効としています。仲介とFAの違いはM&A仲介とFAの違いを参照してください。

株主構成の整理から、承継・売却まで一緒に考えます

M&A仲介役員・FAS出身の公認会計士の経験をもとに、株主構成の整理、株価算定、親族内承継、外部への売却とデューデリジェンスまで支援します。初回のご相談は無料です。

事業承継・M&A支援を見る

面談で聞くべき質問リスト

初回の面談で次のような質問をすると、M&A・事業承継への理解度がよくわかります。

質問見るべきポイント
うちの会社を売った場合と、子どもに継がせた場合、手取りはどう違いますか?税金だけでなく、退職金、社会保険料、借入・保証まで含めて試算の方法を説明できるか
役員退職金はいくらまでなら妥当ですか?会長として残る場合はどうなりますか?功績倍率などの考え方と、実質的な退職の判断を具体的に話せるか
自社株の評価額はどのくらいですか?M&Aの価格とはなぜ違うのですか?相続税評価と取引価格の違いを、わかりやすく説明できるか
M&Aのとき、DDではどこを見られますか?税務・財務・労務の典型的な指摘事項と、事前の準備を挙げられるか
売却後に経営者保証が外れなかったら、どうなりますか?最終契約での定め方、金融機関への事前相談の必要性に触れるか
M&Aや承継の業務の報酬は、どう決まりますか?業務範囲・期間・人数で見積もる考え方を、事前に説明してくれるか

答えの「正しさ」だけでなく、わからないことを、わからないと言えるか、専門外の領域で誰と連携するかを説明できるかも、大切な判断材料です。

税理士・専門家に相談する時期の目安

  • 承継・売却を考え始めたとき(5年前〜):株価の把握、株主構成の整理、手取りの比較は、早いほど選択肢が広がります(事業承継のロードマップとチェックリスト)
  • 仲介会社・FAと契約する前:手数料の体系、専任条項、セカンドオピニオンの可否を一緒に確認します
  • 基本合意(LOI)の前:価格の内訳、退職金の扱い、売却の形の税務を確認します
  • 最終契約の前:表明保証・補償、経営者保証の解除条項、価格調整の条項を確認します
  • 今の税理士に不満があるとき:まずはセカンドオピニオンで、指摘の違いを比べるのがおすすめです(税理士のセカンドオピニオン)

M&Aに関連する業務は、顧問業務とは別の専門性が必要で、別途の報酬になることが多いと考えてください。報酬は、株価算定、手取りの試算、DD、契約書の確認など、頼む範囲・期間・関わる人数で決まります。顧問料の考え方は税理士報酬の相場と決まり方も参考になります。

クレフティの場合

最後に、私たちクレフティについても短く紹介します。代表の相亰は、税理士・公認会計士として監査・税務を経験したのち、ベンチャーのM&A仲介会社で役員を務め、M&A仲介の実務を内側から見てきました。

事務所には、大手FASで金融機関を中心にFA・財務DD・バリュエーションを手がけ、プライム上場企業の投資戦略室でM&Aの会計税務を検証してきた三浦(公認会計士・税理士)、大手監査法人で監査・M&A支援を経験し上場企業の常勤監査役も務める桃原(公認会計士・税理士)、税務相談・相続対策・M&Aを担当し事務所の品質管理を担う藤倉(税理士)、ベンチャーCFOとしてIPO準備・資本政策を担ってきたパートナーの髙橋(公認会計士・税理士)が在籍しています。株価算定、事業承継の支援、デューデリジェンス、セカンドオピニオン、M&A資金の調達支援まで対応しており、専門職の会社(年商5,000万円)の9,000万円のM&Aで、政府系金融機関と地方銀行の協調融資(買収資金と統合後の運転資金)の承認を支援した事例もあります。

もちろん、専門家との相性は人それぞれです。この記事のチェックポイントを使って、何人かと面談して比べてみてください。そのうちの一つとしてクレフティを選んでいただけたら嬉しいです。初回のご相談は無料で、担当者がお話を伺い、その後は担当の公認会計士・税理士やコンサルタントが対応します。

まとめ

  • M&A・事業承継に強い税理士は、申告の正確さに加えて、手取りの試算、退職金、自社株評価、組織再編、DD、経営者保証と銀行まで見通せる
  • いちばんの見極めポイントは、方法ごとの手取りを数字で比較できるか
  • 仲介会社・FAとは立場が違う。税務の判断と契約条件の確認は、依頼者の側に立つ専門家に頼む
  • 面談では具体的な質問をして、事例と数字で答えられるか、専門外の領域で誰と連携するかを確認する
  • 相談は早いほど選択肢が広がる。M&A関連の報酬は、頼む範囲を決めてから見積りを取る

事業承継・M&Aのご相談は、事業承継・M&A支援のページからお問い合わせください。

よくある質問

M&Aや事業承継は、今の顧問税理士に相談すればよいですか?
最初の相談先として顧問税理士は自然な選択です。中小M&Aガイドラインも、まず顧問の士業等専門家(特に顧問税理士)に相談することが多いとしています。ただし、DDやバリュエーションは税理士の本来の業務に直接は含まれず、M&Aに積極的に関わる税理士は限られるとも指摘されています。顧問税理士の経験が足りない場合は、M&A・事業承継に詳しい税理士や公認会計士にセカンドオピニオンを求めるとよいでしょう。
M&A仲介会社に税金の相談をしてもよいですか?
一般的な説明を聞くことはできますが、個別の税額の計算や申告の判断などの税務相談は、税理士法上、税理士(税理士法人)の業務です。仲介会社は取引をまとめる立場で、手数料も成約に連動することが多いため、税務の判断は売り手側の立場に立つ税理士に確認するのが安全です。
M&Aに関する税理士の報酬は、顧問料に含まれますか?
含まれないことが多いと考えてください。中小M&Aガイドラインも、M&Aに関連する業務が通常の顧問業務の範囲外となる場合は、事前に業務内容や報酬について了承を得る必要があり、別途の報酬が相当なケースも多いとしています。株価算定、手取りの試算、DD、契約書の確認など、何をどこまで頼むかを決めてから見積りを取りましょう。

※本記事は2026年10月18日時点の法令・制度に基づく一般的な解説です。個別の状況により結論が異なるため、実行前に専門家へご相談ください。

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